大気汚染が痒みの神経線維を伸ばす?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
アトピー性皮膚炎の方にとって、角質層の乾燥状態は、痒みを知覚する神経線維を真皮内から角質層内に伸ばすことにつながり、外部からの刺激で掻き壊し、バリア機能を低下させる、という問題につながりやすい項目です。
この痒みの神経線維は、大気中の化学物質によって影響を受けることが東北大学の研究で分かってきたようです。
         
            
●大気汚染物質がアトピー性皮膚炎の症状を引き起こすメカニズムを解明‐痒みの制御をターゲットとした新規治療法開発の可能性‐
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/11/press20161111-01.html
       
東北大学大学院医学系研究科の日高高徳医員(医化学分野・皮膚科学分野)、小林枝里助教(医化学分野)、山本雅之教授(医化学分野・東北メディカル・メガバンク機構 機構長)らは、大気汚染物質がアトピー性皮膚炎の諸症状を引き起こす仕組みの一端を解明しました。これまで、大気汚染とアトピー性皮膚炎の患者数や重症度に相関があることが知られていましたが、その理由は不明でした。今回の成果により、大気汚染物質が転写因子AhRを活性化させることで神経栄養因子arteminを発現させ、皮膚表面の表皮内へ神経が伸長し、過剰に痒みを感じやすい状態を作り出すことがわかりました。過剰な痒みにより皮膚を掻いてしまうことで皮膚バリアが破壊され、皮膚から多くの抗原が侵入してアレルギー性皮膚炎を引き起こすと考えられます。本研究の結果は、これまでアトピー性皮膚炎の治療に対症療法的に使われてきたステロイド剤などに加えて、AhRの活性を抑える化合物や、arteminの働きを抑える物質をアトピー性皮膚炎の治療薬として利用できる可能性を示しています。
この成果は2016年11月21日(日本時間22日午前1時)以降に英国科学雑誌「Nature Immunology」のオンライン版で公開されました。
          
       
アトピー性皮膚炎が近年、増加してきた背景には、以前にはなかった生活内、あるいは環境内の要因が深く関わっていると考えられています。
今回の研究結果で、大気汚染物質が、痒みを誘発することにつながることが分かったことは、アトピー性皮膚炎の「原因」解明にも役立つのではないでしょうか?
記事の最後にあるAhRの活性を抑える化合物やarteminの働きを抑える物質を薬剤として開発するまでには、相当な時間が必要でしょうし、また、今回の研究結果は、単独の因子としてアトピー性皮膚炎に関わっているのではなく、バリア機能など他の発症要因や悪化要因に影響を与える項目でもあるので、決定打となるかは難しい部分があるかもしれません。
しかし、少なくとも大気汚染物質がアトピー性皮膚炎の発症、あるいは悪化要因として深く関わっているのであれば、それを取り除くこと(大気汚染物質がない生活環境)は、一つの解決策につながってくるのではないでしょうか?
今後の研究結果に期待したいと思います。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

ヒトが一日に摂取する化学物質は、食品添加物や農薬など、消化器から吸収されるものは1~2割程度であって、ほとんどが、呼気から吸収される大気中のもので、8割以上を占めておる。
したがって、大気中の汚染物質を、どのように除去していくのか、そして同時に社会的な働きかけとして大気中の汚染物質をどのように減らしていくのかは、大きな課題と言えるじゃろうの。