ステロイドが怖くて塗れない人はどれくらいいるのか?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
長年アトピー性皮膚炎に悩む方にとって、ステロイド剤の連用は大きな「課題」とも言えるでしょう。
特に、ステロイド剤によって「ダメージ」を受けたと感じる人にとって、その使用に疑問を抱く方も多いと思います。
アメリカの研究ですが、ステロイド剤に対してどのような恐怖感を抱いているのか、について記事がありましたので紹介しましょう。
          
         
●アトピーでステロイドが怖くて塗れない人はどれくらいいるのか
https://medley.life/news/5979c956d4681a7f448b4570/
        
ステロイド薬には副作用もあります。皮膚に塗る外用薬で全身の副作用が現れることはまれですが、心配になる人はいます。アトピー性皮膚炎の患者やその保護者を対象とした報告の調査が行われました。
          
▼アトピー性皮膚炎でのステロイド外用薬恐怖症
             
アメリカのイェール大学の研究班が、ステロイド外用薬の「恐怖症」について文献の調査を行い、これまでに報告されている内容をまとめました。結果は皮膚科専門誌『JAMA Dermatology』に掲載されました。
研究班は、アトピー性皮膚炎の患者またはその保護者を対象として、ステロイド外用薬の恐怖症の割合や、医師の処方どおりに薬を使うこと(治療遵守)への影響などを調査しました。
          
▼少ない報告でも21%、処方を守らなかった人は29.3%
            
調査の結果、採用基準を満たす16件の研究報告が見つかりました。その内容として次の結果が得られました。
        
「局所副腎皮質ステロイド恐怖症の割合は21.0%(95%信頼区間15.8%-26.2%)から83.7%(95%信頼区間81.9%-85.5%)の範囲だった。恐怖症の定義には有意なばらつきがあり、心配になることとしたものから非合理的な恐怖感としたものまであった。」
            
恐怖症の定義は研究ごとにかなり違っていました。報告された恐怖症の割合は21.0%から83.7%まででした。
            
「恐怖症群と非恐怖症群で治療非遵守を比較した2件の研究では、どちらも恐怖症群の患者のほうが治療非遵守の率が有意に高かった(49.4% vs 14.1%および29.3% vs 9.8%)。」
             
恐怖症の人とそうでない人を比較して、治療遵守しているかどうかを調べた研究が2件ありました。1件の研究では、恐怖症がない人で14.1%、恐怖症がある人で49.4%が、処方どおりに薬を使っていませんでした。もう1件では恐怖症がない人で9.8%、ある人で29.3%が治療非遵守でした。
          
「患者が副腎皮質ステロイドについて情報を得たソースは臨床医、友人・親族、放送メディア、印刷メディア、インターネットだった。」
           
患者はステロイド外用薬の情報を、医師、友人・親族、テレビなどの放送、書籍などの印刷物、インターネットから得ていました。
研究班は恐怖症のある人やその情報源は「治療計画の遵守を増すための介入の標的とすることができるかもしれない」と述べています。
          
▼ステロイドが怖いですか?
          
ステロイド「恐怖症」についての研究報告を紹介しました。
ステロイドという名前に悪いイメージを持っている人は実際にいます。確かに、ステロイド薬には注意するべき副作用がいくつかあります。ステロイド外用薬の副作用の例として以下があります。
      
・皮膚の色が抜ける
・皮膚が薄くなる
・顔に血管が浮いて見える
・にきび
       
ステロイド薬を飲み薬や点滴として全身に使う場合に比べると、皮膚に塗るだけのステロイド外用薬が全身の副作用を起こすことはまれです。
ステロイド薬はもともと体が作っている副腎皮質ホルモンをもとにした薬です。副腎皮質ホルモンは生命維持になくてはならない重要な物質です。ステロイド薬は炎症を抑える作用などにより、アトピー性皮膚炎などの治療では非常に重要な手段となります。しかし、正しく使わなければ本来の効果を発揮することができません。
すべての薬には副作用があります。副作用が心配になるのは当然のことです。しかし、副作用が出ても症状を和らげるなどの対処法はあります。また、心配な気持ちを医師や薬剤師などに伝えて、知りたいことを教えてもらうのも大切なことです。
患者の「心配な気持ち」は治療を左右します。薬の作用だけでなく患者の受け止め方にも目を向けた研究が今も行われ、患者が満足できる医療が目指されています。
       
        
アメリカでも、アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の使用の問題点が指摘されているのは興味深いところです。
記事にあるように、ステロイド剤の問題点を「薬剤としての副作用」という観点からみると、その使用に対するメリットとリスクを正しく把握することが難しくなります。
ステロイド剤には、記事中に書かれているように、

・皮膚の色が抜ける
・皮膚が薄くなる
・顔に血管が浮いて見える
・にきび

などの副作用がありますが、アトピー性皮膚炎で考えると、これらの副作用がアトピー性皮膚炎の炎症を悪化させる「原因」とは直接関係ありません。
問題になるのは、ステロイド剤の免疫抑制作用により、皮膚の細菌叢が乱れたり、インターロイキン4の増加でsIgE+B細胞が増加したりすることで、IgEが増強されアレルギー的な要因が強くなることです。
これらのステロイド剤が炎症に対してもたらす影響についての研究は、過去、いくつも行われましたが、アトピー性皮膚炎に対して、リスクを伴う影響の研究が統合的に行われたことはありません。
今後、間接的なこれらの研究を「つなぎ合わせる」ための研究が進むことを望みたいところです。

               
おまけ★★★★大田のつぶやき

ステロイド剤の副作用の問題点を「軽く」伝える医師の多くは、こうしたステロイド剤が抱える直接の副作用がアトピー性皮膚炎に影響を与えないことを根拠にすることが多いようです。
しかし、日本でもアメリカでも、使用した患者から問題点が指摘されている、ということは、そこに実例が存在していることは確かです。
患者のための利益を優先して考えた研究が進んで欲しいところです。