最新の研究から、アトピーを考える(10)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日が今回のテーマの最後になります。
sIgE+B細胞へと変化させる要因であるインターロイキン4が増加する理由について考えてみましょう。
         
          
▼インターロイキン4の増加は、なぜ起きるのか?
        
ここに、アトピー性皮膚炎が最近になって増加してきた背景が大きく潜んでいるといってよいでしょう。
インターロイキン4を増加させる要因はいろいろありますが、代表的なものが、
       
・睡眠不足
・運動不足
・化学物質
・栄養の偏り
・ストレスの増加
        
などです。
今の私たちの生活環境内では、一定量の化学物質を毎日体内に取り込んでいます。
その体内に蓄積された化学物質は、運動や代謝により体外に排出されていますが、運動不足や睡眠不足により、代謝が低下するとその化学物質を排出することが十分にできなくなり、それがインターロイキン4を増加させることになります。
つまり、慢性的な運動不足に陥る方が増え、夜型の生活習慣が定着した今の私たちの生活習慣そのものが化学物質の排出を困難にしているにも関わらず、体内に取り入れる化学物質そのものはどんどん増加している、こうした生活環境が、アトピー性皮膚炎を増加させるための下地となってきた面は否めないでしょう。
もし、インターロイキン4を増加させないための生活を送るためには、どうすれば良いのか?
          
・量と質を備えた十分な睡眠時間を確保する
・一定量の運動を行い代謝を確保する
・栄養を偏らせない
・ストレスを減らす
・化学物質が少ない生活環境下で生活する
        
といったことが必要です。
これらは、「時々、こうした生活を送る」のではなく、「時々、こうした生活が送れないこともある」といったように、通常の生活の基盤として行う必要があります。「週末だけ運動する」といった生活では十分ではない、ということです。
もちろん、こうした生活習慣、生活環境から受ける影響は、個人差があります。同じ生活環境、生活習慣で過ごしていても、一律の影響を受けるわけではありません。しかし、影響を受けていること自体は変わりなく、あとは蓄積された影響(解消される影響との差)が個々人ごとに異なる「許容量」を越えることで、「悪循環の輪」の形成が始まります。
アトピー性皮膚炎が「生活習慣病」の一つとして認識されつつあるのも、毎日の生活習慣、そして生活環境が大きく関わっているからです。
アトピー性皮膚炎の症状である痒みをもたらす「アレルギー」は、アレルギー体質とは関係ないケースが多く、今は健常である(と思われている)人でも、生活習慣、そして生活環境次第では、いずれ「作られる」可能性があります。
また、ステロイド剤やプロトピック軟膏も、合成された薬物=化学物質ですから、長期連用により、インターロイキン4を増加させる原因の一つになります。ステロイド剤など免疫抑制剤の使用により炎症や痒みを一時的に下げることはできても、使い続けるとインターロイキン4を増加させる流れの中でIgE産生そのものを増強する、結果的に痒みが続くことになり、さらなるステロイド剤の使用が求められ、それがIgEの増強をさらに求めてしまう・・・・短期の使用による影響は確かに大きくありませんが、長期に連用を続けることで、アトピー性皮膚炎を悪化させていく悪循環を形成してしまうこともあり、ステロイド剤が、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因の一つになっているケースもあります。また、免疫抑制剤は、皮膚における免疫機能を低下させることで、皮膚のバリア機能を低下、細菌叢を乱すことで黄色ブドウ球菌の定着によるデルタ毒素の影響からIgEを増強させる、という問題も抱えていますので、長期の連用は気をつける必要があります。
            
いずれにしても、こうしたインターロイキン4を作り出すような生活習慣や生活環境をどのように、よい状態で維持させるのかが大きな「鍵」と言えます。
もちろん、個々人で変えることができない(社会的な)生活環境の問題もありますが、少なくとも生活習慣は個々人の意識で変えることは可能です。早く寝る、運動する、バランスの良い食生活を送る、ストレスをためない、こういった生活は健康を維持するためには「当たり前」の生活とも言えますが、今の多くの人は、それらが行えていないからこそ、アトピー性皮膚炎のような、「作られるアレルギー疾患」が増えていることは忘れてはならないでしょう。
         
※参考文献/主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係(あとぴナビ2010年1&2月号、監修:木俣肇、医学博士)
          
            
昔のアトピー性皮膚炎と今のアトピー性皮膚炎の違い、そしてなぜアトピー性皮膚炎が生活習慣病の側面を持つのか、おわかりいただけましたでしょうか?
アトピー性皮膚炎の原因は一つに特定することが難しいのも、個々人の生活習慣が抱える問題点は個々人ごとに異なるからです。
そして、アトピー性皮膚炎を克服していくためには毎日の生活習慣、そして生活環境が大きく関わるのも、生活の中で「作られる要因」が多いからです。
アトピー性皮膚炎は確かに皮膚に症状が現れる「皮膚病」です。しかし、病気の根本的な原因を探っていく時、皮膚を治すだけでは不十分であることがおわかりいただけると思います。
今の皮膚科における治療は「皮膚の治療」に限定されています。
しかし、症状の治療としては「皮膚の治療」は正しくても、アトピー性皮膚炎という病気の治療として「皮膚の治療」だけでは「足りない」ことがあります。
病気の原因を正すことが病気の治療に繋がることは言うまでもありません。
皮膚の治療を行いながら、「病気の原因」も治療を行えるように考えていきましょう。

                             
おまけ★★★★博士のつぶやき

「症状の治療」を行うのか、「病気の治療」を行うのか、同じように思えても、実は異なる治療が必要だった、ということはアトピー性皮膚炎には多い。
病気の原因を抱えたままでは、症状の再発は防げないことも事実じゃ。
症状は病気に対して「身体が作る」ものであることを忘れないようにしたいものじゃ。