最新の研究から、アトピーを考える(9)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                
今日は、健常な人には少ないIgEと繋がるB細胞がなぜアトピー性皮膚炎の方は作られてしまうのか、ということについて考えましょう。
         
        
▼なぜIgEと繋がるB細胞が作られてしまうのか?
      
では、なぜIgEと繋がるようなB細胞が体内で作られてしまうのでしょうか?
その答えが、B細胞の「表面」の状態にありました。
アトピー性皮膚炎の方の血液を調べてみると、B細胞の表面(surface)にIgEを発現している「sIgE+B細胞」(表面IgE陽性B細胞)が多く存在していることが確認されました。逆にアトピー性皮膚炎の症状が見られない方の血液にはsIgE+B細胞はほとんど存在しておらず、表面にIgEが結合していないB細胞「sIgE-B細胞」(表面IgE陰性B細胞)が圧倒的に多かったことが分かりました。
つまり、アトピー性皮膚炎の炎症を悪循環させる要因の「輪」には、このsIgE+B細胞が深く関わっていたのです。
そして、健康な方に多い「sIgE-B細胞」は、ある条件により「sIgE+B細胞」に分化していくことが分かったのです。その条件は複数のものがありますが、その中の一つにサイトカインの一つである「インターロイキン4(IL-4)」が関与していることが判明しました。
インターロイキンとは、免疫反応などを機能させるために細胞間のコミュニケーション機能を果たすタンパク質因子です。「4」がつくインターロイキン4は、アレルギー反応に関わる因子で、B細胞や肥満細胞の分化に関わっています。このインターロイキン4が増加することで健常な方の「sIgE-B細胞」は、アトピー性皮膚炎の方に多い「sIgE+B細胞」へと分化してしまうことが研究により明らかになりました。
さらに、インターロイキン4は、B細胞に対して、3番目の受容体であるガレクチン3の発現を促し、同時にガレクチン3はインターロイキン4を増加させることが分かりました。
つまり、インターロイキン4が健常な方の表面にIgEが発現していないはずのB細胞に、IgEを発現させた状態へと分化させ、ガレクチン3とインターロイキン4の相互作用が、体内におけるIgEの増強を生み出していた、ということです。
この流れが、アトピー性皮膚炎の原因の二つ目、「免疫機能の異常状態(異常状態の大元は、sIgE-B細胞がsIgE+B細胞に分化すること)」です。
ここで問題になってくるのはインターロイキン4が増えてくることにあるわけですが、なぜインターロイキン4は増加するのでしょうか?
         
        
今日のポイントは、健常な方は表面にIgEを発現していないB細胞が多いが、アトピー性皮膚炎の方は、表面にIgEを発現しているB細胞が多い、ということ、そしてこのIgEを発現しているB細胞へと変貌する要因が「インターロイキン4」に関係していること、という部分でしょう。
昔は、アトピー性皮膚炎は「アレルギー体質」が関わっていた、つまり家族のアレルギーの病歴などがポイントだったのが、最近は家族にアレルギーの病歴を持つ方がいないにも関わらずアトピー性皮膚炎が発症してきた、つまりアレルギーが原因でアトピー性皮膚炎を発症しているのではなく、アトピー性皮膚炎に罹患したからアレルギーを発症するようになった、という答えがここにあると考えられます。
つまり、これまで一切アレルギーの症状が見られなかった健常な方でも、sIgE-B細胞がsIgE+B細胞へと変化することで、アトピー性皮膚炎(アレルギー)を発症する可能性がある、ということです。

明日は、sIgE+B細胞へと変化させる要因であるインターロイキン4が増加する理由について述べましょう。

                         
おまけ★★★★南のつぶやき

 

インターロイキン4を標的とした治療薬が、アトピー性皮膚炎の治療として使われるケースも海外であるようです。
ただ、気をつけなければならないのは、インターロイキン4も、体が作り出しているタンパク質である、ということです。
インターロイキン4は、体に対して常にマイナスの作用をもたらしているわけではありません。
なぜ、インターロイキン4を身体が作り出そうとしたのか、そこにポイントがあることを忘れないようにしましょう。