最新の研究から、アトピーを考える(8)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
昨日の続きで、なぜIgEの受容体の一つ、ガレクチン3が今のアトピー性皮膚炎の増加に関わっているのかについて考えてみましょう。
        
             
▼IgEと繋がるB細胞が悪循環を引き起こす
         
このガレクチン3の受容体は、いろいろな細胞に存在します。誰もが血液中に持っている「B細胞」もその一つです。B細胞にはIgEを含めた「抗体」を作る機能があります。
食物アレルギーのようなI型のアレルギー反応は、アレルゲンがIgEの受容体の一つである「FcεR1」を介して、皮膚の組織に存在する肥満細胞とIgEが結びついた場合に生じ、ヒスタミンが放出されることで炎症が生じて痒みに繋がります。これに対してガレクチン3の受容体と結び付くと、B細胞はIgEを過剰に生産することが研究により明らかになっています。
さらに、アレルゲンと結合することで放出されたヒスタミンは、B細胞を刺激してIgEの産生を増強させることが確認されています。一般的に蕁麻疹のようなⅠ型(即時型)のアレルギー反応は、アレルゲンがIgEと反応することで炎症が作られても、一度IgEと結合したアレルゲンは活性を失いますので、次の反応に繋がることは基本的になく、一過性で終わることが多いのですが、ガレクチン3を介して生じるルートは、複数の炎症反応が連鎖的に絡み合うことで、B細胞にも刺激を与え続けます。
つまり、アレルゲンとそのアレルゲンに対するIgE抗体がガレクチン3の受容体そのものを刺激することで、IgE自体が過剰に作られ、そのIgEでアレルギー性の炎症反応が起きて痒みが連鎖的に継続することが、一過性の痒みである蕁麻疹とアトピー性皮膚炎の違いとも言えるでしょう。そして、この連鎖的に継続した状況が、アトピー性皮膚炎の悪循環を生みだす要因となっています。
         
          
ここでのポイントは、「ガレクチン3の受容体と結び付くと、B細胞はIgEを過剰に生産することが研究により明らかになっています。」という部分でしょう、
一般的な抗原抗体反応(免疫反応)は、抗原に対してTリンパ球の指令によりBリンパ球が抗体を産生する、という仕組みですが、このガレクチン3の受容体を介した場合には、抗原が存在していなくても、IgEを過剰に生産することが分かりました。
そして、そこで過剰に作られたIgEが、抗原と反応することで炎症が生じ、痒みを感じる、同時にB細胞をガレクチン3の受容体で結びつくことでさらに刺激し、IgEを増強する、といった流れが作られます。
IgEが増強される=アレルギー反応を示す要因が増える、ということにつながります。つまり、「アレルギーが作れた」ということです。
アトピー性皮膚炎の炎症は、掻くことで次の炎症を生み、その炎症がまた次の炎症を生む、といった悪循環の輪を形成することで悪化していくケースが多いわけですが、このガレクチン3の受容体は、アトピー性皮膚炎の病気としての原因だけでなく、症状の原因にも深く関わるため、悪循環の輪を形成する大きな「キー」になっているとも考えられます。

明日は、健常な人には少ないIgEと繋がるB細胞がなぜアトピー性皮膚炎の方は作られてしまうのか、という部分を見ていきましょう。

                     
おまけ★★★★大田のつぶやき

IgEの受容体については、免疫の専門家にとっては常識なことでも、皮膚科医は十分理解していないケースも多いようです。
最近は、IgE産生に関与するサイトカイン(インターロイキンなど)の研究も進みつつありますが、できるだけ広い目で捉えていきたいですね。