最新の研究から、アトピーを考える(7)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
昨日までで、皮膚機能の異常について述べました。今日は免疫機能の異常の原因について考えましょう。
ここからは、少し話が難しくなるので、解説を加えながら説明したいと思います。
        
         
■アトピー性皮膚炎の原因2 免疫機能の異常(体の問題)
         
▼痒みの主な原因は「アレルギー」が関係する
          
もう一つの原因が「アレルギー」です。
昔は、このアレルギーがアトピー性皮膚炎の主たる原因と考えられていましたが、最近増加しているアトピー性皮膚炎は、皮膚機能の要因の方が深く関わっていることが分かってきました。
ただ、皮膚機能の要因でアトピー性皮膚炎が発症した場合も、アトピー性皮膚炎の症状である「痒み」に関わってくるのは、やはりアレルギーになります。
また、このアレルギー自体が、現在の私たちの社会生活環境下においては、増強されやすいことも分かってきました。
        
▼アレルギーに主に関わる免疫「IgE」
        
「花粉」や「牛乳」「大豆」など、体内に入ればアレルギーを引き起こしてしまうーーーその人にとってのアレルゲン(抗原)が体内に侵入したとき、どういった流れでアレルギー反応が生じるのでしょうか?
イメージしやすく表現すれば、「アレルゲン(抗原)=敵が身体に入ってきた」と察知した免疫機能は、敵と「戦う」ための武器を作ります。その武器は「抗原」に対して「抗体」と呼ばれるもので、実態は「免疫グロブリン(Ig)」です。そして、アトピー性皮膚炎に関わる免疫グロブリンは、紅斑(Erythema)を現わす「E」のつく「IgE」と呼ばれています。また「E」はアルファベットの5番目の文字なので、それまでに見つかったIgG、IgM、IgA、IgDに次ぐ「5番目の抗体」という意味も込められています。
本来、こうした抗体は身体に対して有害なものに対して作られますが、アレルギーとして身体に作用するIgEの場合、無害なもの(ハウスダストや食品成分)に対しても過剰に生産されることで、炎症を生じさせることになります。そして、アトピー性皮膚炎の場合、この炎症が「痒み」につながっています。
            
▼IgEの受容体は3種類ある
         
抗原を攻撃する抗体であるIgEは、細胞に結合するための受容体をいくつか持っています。そして、アレルギーに関与するのは、主に3つの受容体になります。
(別図1を入れる)
図に書かれている3つの受容体の一つ目は「FcεR1」と呼ばれるもので、主に肥満細胞などに存在します。「高親和性受容体」といわれるようにIgEとの結びつきが強い受容体で、よく知られている「Ⅰ型(即時型)アレルギー」、つまり食物アレルギーやじんましんが引き起こされます。
昔は、このⅠ型の反応をアトピー性皮膚炎として認識しているケースが多かったのですが、その後、遅延型のアレルギーも関与していることが分かりました。さらに、2009年にはアメリカの病理学科学雑誌に発表された論文で、アトピー性皮膚炎には3つ目の受容体「Galectin-3(Gal-3)」(ガレクチン3)が特に関与していることが分かりました。
         
        
ここでの大きなポイントは、IgEの受容体は3つあること、そして、昔ながらのアトピー性皮膚炎には、一つ目の「FcεR1」と呼ばれる受容体の関与が考えられていたが、最近増加してきたアトピー性皮膚炎の場合には、三つ目の受容体「ガレクチン3」が関与している、という部分です。
もちろん、昔ながらのアトピー性皮膚炎の場合にも、ガレクチン3が関与しているケースはあったと思いますが、他の受容体が関与する割合が多い、と考えられます。
そして、今のアトピー性皮膚炎の場合には、主にガレクチン3が関与して症状が悪化、そして免疫反応の一部には「FcεR1」の受容体が関係する、といったように、関与の割合が異なっているように思います。
なぜ、この部分がポイントなのかと言うと、「FcεR1」が関与する痒みと、「ガレクチン3」が関与する痒みでは、その原因と解決に至る道筋が異なるからです。
続きは明日です。

                                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の原因が、アレルギーのⅠ型からⅣ型、やがて混合型へと変化してきた背景には、このIgEの受容体が深く関わっておる。
そして、それぞれの受容体の「役割」を知ることで、今のアトピー性皮膚炎の全体像が浮かんでくると言えるじゃろう。
難しい部分はあるが、アトピー性皮膚炎を克服していくためにはしっかり押さえておきたいポイントじゃの。