日本の医者がなぜかよく出す「薬」とは?(2)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
今日は、昨日の続きです。記事の後半部分を紹介しましょう。
        
        
●海外の医者は処方しないのに、日本の医者がなぜかよく出す「薬」一覧
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51781
       

▼日本とロシアだけの抗がん剤
         
精神病薬の分野では日本と海外の処方の差ははっきりしている。
たとえばジプレキサという統合失調症の薬が日本ではよく処方されるが、アメリカでは「使用すると肥満や糖尿病が増える」ということで訴訟が起きており、あまり使われていない。
抗がん剤についても、日本の医療はガラパゴス化している面がある。新日本橋石井クリニックの石井光院長が語る。
「抗がん剤にTS1という飲み薬があります。これが今でも飲まれているのは日本とロシアだけです。これは5FUという’50年代に開発された最も古いタイプの抗ガン剤を、注射薬から経口薬に変えただけのもの。
TS1は殺細胞剤とも言われていて、がん細胞だけでなく、それを攻撃するべき免疫細胞まで弱らせてしまいます。TS1でがんの再発予防ができる可能性はほとんどありません。日本ではがん治療における免疫の大切さがまだまだ理解されていないのです」
経済的な面から、アメリカでは使用されていない薬もある。降圧剤のARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)が典型的な例だ。
新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が語る。
「アメリカでは高血圧の治療で最初に用いられる薬は利尿剤やカルシウム拮抗薬です。ARBは価格がそれらの薬に比べてはるかに高いのですが、その価格に見合った効果がないと考えられているのです」
アメリカでは民間の保険会社が病院を牛耳っており、コスト意識がしっかりしているのだ。薬剤師の宇多川久美子氏も医療制度の違いが処方の違いに現れると語る。
「日本人が無自覚に薬を飲んでしまうことの理由の一つに、手厚い医療保険制度があります。これは素晴らしい制度でありますが、同時にその薬が本当に必要であるかどうか考えることを妨げている面もある。
アメリカですと、保険がない場合は自費になりますし、保険に入っている人も自分で民間の保険に加入しているので、薬のコストやリスクについて自分でしっかり考える習慣があります」
日本の病院で当たり前に処方されていても、海の向こうでは誰も使っていない――薬の効能は、それほどあやふやなものなのだ。
      
▼日本ではよく飲まれているが、外国では飲まない薬の一覧
       
・ロキソニン【鎮痛剤】
アメリカの医者は痛みどめのロキソニンを処方しない。胃に対する負担が大きすぎ、ひどい場合は腸閉塞になるリスクがあるからだ。
        
・ジスロマックなど【抗菌薬(風邪の場合)】
風邪はウィルス感染なので、細菌に対する抗生剤は無意味であることは世界の常識。抗生剤の過剰投与は国際的な問題になっている。
      
・ARB(オルメテック、ミカルディスなど)【降圧剤】
米国では、高血圧の患者に対する第一選択肢は利尿剤。続いてカルシウム拮抗剤。価格の高いARBは日本ほどには処方されない。
             
・タミフル【インフルエンザ薬】
世界のタミフルの7割以上が日本で処方されている。異常行動などの副作用リスクを考慮して、無駄な投薬を避けるのが欧米流だ。
        
・コデインリン酸塩【咳止め】
一種の麻薬なので使用に注意が必要。米国では特に子どもへの使用は控えるように呼びかけている。強い依存性もあるので長期使用は×。
         
・TS1【抗がん剤】
最も古いタイプの抗がん剤を経口薬にしたもの。免疫細胞まで弱らせてしまうのが問題。日本とロシアでしか処方されていない。
        
        
外国で選択されている治療法が常に正しいわけではありません。しかし、日本で選択されている治療法を「選択肢ない理由」を明確に持っている、と部分が問題と言えるでしょう。
「医療」とは「医業」の上に成り立っています。
したがって、「医業」が存続できない状況(治療する側に利益が出ない状況)は、当然ながら「医療」も継続して成り立つことは難しくなります。
患者側からすれば、医療とは命に関わる以上、神聖なものを求める傾向がありますが、医療を施す側の意思がどうしても関わってしまうことがあることも、自己を守るためには知っておいた方が良いでしょう。

                      
おまけ★★★★西のつぶやき

以前、総合病院で勤務する部門の責任者の医師を取材した際、「医療」と「医業」について考えさせられる話を聞いたことがある。
それは、毎月、内科や外科、小児科など、各部署の責任者の医師が集められて行われる会議のことだ。そこでは、各科における「毎月の売上(診療費)目標」が達成されているかの確認がされ、達成されていない科においては、目標となる診療費を確保できる「検査」や「手術」などを行うように指示されるそうだ。
もちろん、いずれも患者が抱える疾患に対して選ばれる選択肢内での話だから、違法ではない。しかし、検査しない、手術しない、という選択肢もある状況の中、検査や手術が進められることになるわけだ。
ただ、それらの検査や手術を行わないと、病院の経営が成り立たなくなる、という現実があることも確かだ。
難しい問題だが、これからの時代、治療を受ける際、選択肢の問題と、メリットとデメリットの問題は患者側も考えていくことが必要なのかもしれない。