日本の医者がなぜかよく出す「薬」とは?(1)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
日本で行われている「標準治療」は、世界で行われている「標準治療」と必ずしも一致しないケースがあります。
もちろん、エビデンスに基づいて判断されているわけですので、誤った治療と言うわけではありません。
しかし、他の各国ではエビデンスに基づき、逆に「処方が慎重になった」ような部分があったとしても、日本では、その外国の判断には目を向けず、旧態以前に続いているところがあるようです。
そこには、「医療」と「医業」の難しいせめぎ合い、のようなところもあるようですが、今日は関連する記事を紹介しましょう。
記事の全文は長いので、二日に分けて掲載します。
        
         
●海外の医者は処方しないのに、日本の医者がなぜかよく出す「薬」一覧
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51781
       
▼ロキソニンは飲まない
        
「日本人は風邪で医者にかかっても、とにかく薬をもらいたがる傾向があります。これが実は大きな問題なのです」
こう語るのは、日米の医療システムに詳しい医師でミシガン大学教授(家庭医学)のマイケル・フェターズ氏だ。
「たとえばウィルス性の風邪の場合、抗菌薬(抗生物質)を飲んでも効果はありません。抗菌薬はウィルスではなく細菌を殺す薬だからです。これを使うと逆に、腸にいる良い細菌を殺して下痢になったり、かえって治りが遅くなることもある。
それでも日本では患者が薬を出してもらうことを期待するから、医者も意味がないとわかっていながら処方している。本来は必要がなければ、『薬は出せない』とはっきり伝えるべきです」
フェターズ氏の指摘するように、日本では安易に処方されているけれども、アメリカをはじめとする欧米各国では処方されていない薬の代表は風邪の場合の抗菌薬だ。
そして抗菌薬をむやみに使用すると、さまざまな問題が起きることがわかってきている。
      
神戸大学大学院医学研究科教授の岩田健太郎氏が語る。
「抗菌薬の処方には、薬剤耐性菌の問題が伴います。抗菌薬を使うと、同時に体内にその耐性菌が増えることになります。要するに抗菌薬を使えば使うほど、抗菌薬が効かない体質になるのです。
このことは、実際の医療現場でも問題になっていて、体が弱って細菌性の病気になった患者さんが薬剤耐性菌のせいで抗菌薬が効かず、苦しむ事態も起きています」
他にも日本では大量に使われているが、欧米では処方されない薬はたくさんある。たとえば、鎮痛剤のロキソニン。
「この薬は非常に効き目が鋭く、痛み止めとして有効であることは確かです。ただし、消化器への負担も非常に大きいという欠点もあります。
血便が出た患者さんの話をよく聞いてみると、ロキソニンを長期にわたって服用していたケースが実際によくあります。
欧米ではこのような鋭い副作用を懸念してロキソニンはほとんど処方されていません」(ナビタスクリニック・佐藤智彦氏)
「熱冷ましでロキソニンやボルタレンが処方されていますが、胃潰瘍の原因になるほか、腎機能の低下で排尿困難になる可能性もあります。しかも、長く使い続けると心臓のリスクにもなるといわれているので、使い方には注意が必要です」(前出の岩田氏)
       
    
ウィルスと細菌の違い、抗生物質と抗ウィルス剤の働きの違いなどは、Webでも情報が出ていますので、分かっておられる方も多いかもしれません。
しかし、記事にはロキソニンの例が載っていますが「欧米ではこのような鋭い副作用を懸念してロキソニンはほとんど処方されていません」という部分が、日本と欧米の「病気」に対する認識の違いとして現れているように思います。

鎮痛剤は、病気により生じた「痛み」という症状を「抑える」働きがあります。
しかし、鎮痛剤は「痛みの原因となった病気を治す力」は基本的にありません。
ところが、鎮痛剤を服用した患者は、痛みが治ることで「病気も治った」ように感じてしまう方が少ないのが現状です。
風邪をひいて高熱が出て関節の痛みも強い、そういうとき、日本の医者は比較的、安易に解熱鎮痛剤を処方します。
そして、薬を飲んで熱が下がって関節の痛みも和らぐと患者は、「風邪が良くなったきた」と勘違いすることがあります。
本当なら、痛みも減って熱も下がって「楽」になったときこそ、より体をゆっくり休める必要があるのですが、楽になったから動けるようになった、と考えてしまう方がいます。
薬は症状を「抑えている」だけですので、薬の効果が切れれば、基本的に症状は再発します。したがって、体が「辛い」と感じた熱や痛みは体自身が「出したい」と考えているわけですから(風邪という元の病気が治らない限り)、痛みや熱がなくなったから「動く」という選択肢は、実は「悪い選択肢」なのです。

アトピー性皮膚炎も、「アトピー」という病気の原因と、「痒み」というアトピーにより生じる症状は、全く異なります。そして、ステロイド剤やプロトピック軟膏など、治療薬として処方される薬剤は、「症状を治す」ことはできますが、「アトピー性皮膚炎という病気を直接治す」ことはできません(間接的に役立つことはあります)。

当然、いくら薬(ステロイド剤など)で症状(痒み)を抑えても、病気(アトピー性皮膚炎)が治らない限り、症状(痒み)を体が「出そう」とする状況に変わりはありません。
記事にあった「欧米ではこのような鋭い副作用を懸念してロキソニンはほとんど処方されていません」という部分は、薬を使うことで得られる「結果」に対してリスクが高い、と判断しているからこそ、といえるでしょう。
病気の治療と症状の治療の違い、そしてそこに用いられる「手法(治療法)」のメリットとデメリットは、治療を受ける患者側も意識した方が良いのかもしれません。

明日は、記事の後半部分を紹介します。

                       
おまけ★★★★大田のつぶやき

症状の治療が病気の治療につながらない、というわけでないので、それらの症状の治療は病気の治療とは言えない、ということではありません。
しかし、症状が治る=病気が治る、と患者側は考えがちですが、「治る」と「抑える」という行為によりで生じる問題の違い点は、十分に知った上で治療を受けることが、リスクを軽減していく上では大切だと言えるでしょう。