アトピー性皮膚炎にステロイドは本当に必要なのか?(4)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、今回のテーマの最後になります。
昨日は、ステロイド剤の治療を反復継続して続けることが、症状の治療にはつながっても病気の治療に必ずつながるとは言えない、ということが問題点であることを述べました。

そして、この「問題点」の答えが、今回の新聞記事に示された「数値」ということが言えるでしょう。
「ステロイド剤を使用せずに経過を観察した」結果、乳幼児で75%、成人で80%もの症状の改善もしくは治癒に至った、とあります。
さらに乳幼児の場合は、23.7%が「完全に治癒した」とあるように、ステロイド剤で治療した場合の改善率とは大きく乖離した結果が出ています。

本来、アトピー性皮膚炎の原因は、個々人により異なり多岐にわたります。
特に、昔はアレルギーを原因として発症すると考えられていたのが、最近では「アレルギー」は症状である「痒み」の原因に過ぎず、アレルギーを引き起こす原因、つまり「アトピー性皮膚炎」の病気としての原因は、皮膚機能に潜んでいることが京都大学や慶応大学の研究で明らかになってきています。
もちろん、日本皮膚科学会が定めるガイドラインに記されている「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、?痒のある湿疹を主病変とする疾患であり」という定義で見れば、皮膚機能のみが原因とはいえず、中にはアレルギーを素因とした皮膚疾患もあることは確かでしょう。
しかし、いずれにしろ、アトピー性皮膚炎という疾患により生じる症状は「痒み」がもっとも患者を悩まさせるものであり、「痒み」をなくすことがアトピー性皮膚炎を治療していく上で重要であることは確かです。
今の医療は、この痒みという症状が改善されることが、アトピー性皮膚炎という病気を治癒させる「王道」と考えていることが、ある意味、「過ち」につながっているといっても良いでしょう。

本来、病気が治癒することで症状は治まるものです。
しかし、アトピー性皮膚炎の場合には、症状を抑えることで病気が治る、と考えているわけです。
風邪で言えば、風邪を治せば高熱は下がる、という認識のはずが、なぜか高熱を下げれば風邪は治る、という治療が標準治療として行われていることが、一部のアトピー性皮膚炎患者(アトピー性皮膚炎全体から見れば10%程度の患者に)に「弊害」もたらしているといえるのではないでしょうか?

最近は、「プロアクティブ療法」を皮膚科医は推奨したがっているようです。
これは、簡単に言えば、ステロイド剤などを使用して症状が落ち着いた後も、一定期間、薬物治療を続けて、炎症が再発しないようにする治療法のことです。
ステロイド剤の大きな問題点は、長期連用による弊害から生じることがほとんどです。
この「プロアクティブ療法」は、本来、短期使用でリスクが最低限で済んだはずなのに、あえて長期連用する「リスク」を抱え込む恐れがあるのです。

なぜ、ステロイド剤治療を使用せずに経過観察しただけの方が治癒率が高くなったのか、あえてそこに「ステロイド剤治療」を加えることで、どういった「メリット」があって、どういった「デメリット」があるのか、しっかり考えて欲しいところです。
少なくとも、治療を施す側の医師は「メリット」は見えても、「デメリット」は見えていないのでしょう。
プロアクティブ療法で失敗した患者の多くが、症状が落ち着いてから一定期間ステロイド剤やプロトピック軟膏の塗布を続けて、やがて症状が元の状態よりも悪くなった時、医師からこう言われたそうです。

「元々もっていたアトピー性皮膚炎が、再燃したから、悪くなった」

20年以上前から、ステロイド剤治療を慢性的に受け続けた患者が聞いてきた言葉が、そこには変わらずありました。キーワードは「ステロイド剤の長期連用」という共通項です。
プロアクティブ療法を患者に施した医師は、結果的にプロアクティブ療法が症状の再発を招いた(=自分が行った治療法が誤っていた)、という説明を患者にすることは決してありません。もちろん、中にはプロアクティブ療法以外の原因が潜んでいることもあるかもしれませんが、再発の原因からプロアクティブ療法を「除外できる理由」もないことを患者側は知っておくべきでしょう。
そこに、「痒みを治す」ことを考える医師の姿はあっても、「アトピー性皮膚炎の原因」を考える医師の姿を見通すことはできません。
痒みを治す治療、アトピー性皮膚炎を治す治療、それぞれの治療が持つ「意味合い」と「違い」を正しく把握することはとても大切ではないでしょうか。

                    
おまけ★★★★博士のつぶやき

プロアクティブ療法は、最近の皮膚科医で行われる機会が増えているようじゃ。
もちろんそれが奏効を示すケースもあるのじゃろうが、逆にリスクを抱えるケースも出てきておる。
もちろん、使用の頻度は少しずつ間が空いてくるわけじゃが、ステロイド剤の場合、皮膚の細菌叢を乱すことで、体内のIgEを増強させることが分かっておるから、リスクを抱える時には、頻度の問題ではなく、使用したかどうかが問題になることは忘れないようにして欲しいの。