アトピー性皮膚炎にステロイドは本当に必要なのか?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
アトピー性皮膚炎で長年辛い思いをされている方が悩まれる問題の一つが「ステロイド剤の治療がどこまで必要なのか?」ということではないでしょうか?
状態が悪い時に、ステロイド剤を使用すれば、即効性はあるものの、継続使用を続けることでやがて効かなくなって、使用する前の肌状態よりも結果的に悪くなってしまった、という経験をされている方も多いのではないかと思います。

しかし、今の皮膚科における治療の方針は、皮膚科学会が定めるガイドラインに沿ったものになっているため、ステロイド剤による治療は「標準治療」として認められています。
そして、長年ステロイド剤治療を受け続けて、皮膚状態が悪化した患者に対して、ステロイド剤を処方した医師が説明するのが「その肌状態は、ステロイド剤治療により悪化したのではなく、元々のアトピー性皮膚炎が悪化しただけ。ステロイド剤は、専門医が処方すれば、副作用の心配はない」というものでしょう。

では、本当にステロイド剤の長期連用に対して、「専門医が処方すれば副作用の心配はない」という言葉に「エビデンス」が存在しているのでしょうか?
残念ながら、ステロイド剤は安全という前提で使われている現状の中、長期連用による「ダメージ」を検証するためのエビデンスを、処方する医師側が積極的に検証することはなく、「安全」を確約できるエビデンスはないのが現状です。
逆に、リスクに対するエビデンスは数多く論文発表されていますが、海外の論文を含めて、それら「マイナスのデータ」を、現在のステロイド治療を標準治療として行い続ける皮膚科学会は黙殺し続け、「自分たちの言葉が正しい(エビデンスはないが)」としている現状は残念でなりません。
そんな中、先日、面白い新聞記事がありましたので、紹介しましょう。
          
         
●アトピーにステロイド必須?
(2017年4月8日 毎日新聞記事)
            
アトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用剤を塗るのが標準的な治療法。大阪府の医師ら8人がステロイドを使用しなくても同程度の効果があるとの臨床研究結果を論文にまとめた。ステロイドを使いたくない親がいるだけに、改めて使用の是非に一石を投じる形だ。
医師らが新臨床研究論文
臨床研究をまとめたのは、佐藤小児科(堺市)の佐藤美津子医師や元国立名古屋病院の深谷元継医師ら8人。2015年、7医療施設でアトピー性皮膚炎の患者300人を対象に6ヵ月、ステロイド剤を使用せずに経過を観察し、使用前と後で症状がどう変化したかを調べた。
患者は乳幼児(0~1歳)118人、小児(2~12歳)80人、思春期以降(13歳以上)102人の3群。その結果、「症状がよくなった」か「完全に治癒した」改善率は乳幼児で75%、小児で52%、成人で80%だった。特に乳幼児では118人のうち28人がアトピー性皮膚炎の症状が消え、完全に治った。
一方、ステロイド外用剤を使った場合の効果を調べた古江増隆・九州大教授らが03年に発表した研究報告では、改善率は乳幼児で36%、小児で40%、成人で37%だった。
        
▼多い「自然に改善」
この比較結果を英語の論文で発表した佐藤医師は「ステロイド外用剤を使っても、使わなくても大きな差はないといえる。他に比べる論文がないので、確実なことが言える段階ではないが、少なくとも乳幼児ではステロイド外用剤を使わなくても自然によくなるケースが多い」と話す。
佐藤医師は3月半ば、大阪市で開かれた近畿小児科学会で発表した。会場の医師からは「ステロイド剤を使用せずに自然に治ったなら、アトピー性皮膚炎ではなかったのでは」「ステロイド剤を使っても、使わなくても、結果に大差がないならば、ステロイド剤を使ったほうがよく眠れたり、途中で皮膚をかきむしったりすることが少ないので、むしろ使ったほうがよい」などの意見が聞かれた。
こうした議論は、いまも皮膚科医師の間で続く。佐藤医師は「ステロイド外用剤の使用自体を否定するわけではない。ただ、ステロイドを使いたくないという親が少なからずいるので、そういう親が受診してきたら、その気持ちをくんだ治療法も考えてほしい」と学会で訴えた。
       
▼たんぱく質摂取を
基本的にステロイド外用剤を使わない方針の佐藤医師も単に放置するわけではない。皮膚の再生を促すために豆腐や魚、肉類でたんぱく質をしっかりと取るように指導している。母乳だけではたんぱく質が不足しがちなため、ミルクを足したり、離乳食にも豆腐や鶏のささみを利用したりする。かゆいときは我慢させず、かき過ぎない程度にかかせる。
アトピー性皮膚炎の1歳10ヵ月の息子を連れて佐藤小児科を受診していた母親(37)は「ステロイドも保湿剤も使わず、約1年で知らないうちによくなった。夜にかゆくて泣きましたが、気にせずに放置したら、泣かなくなった」と話す。親子が別々に寝て、夜に子どもが泣いても気にせずにいることも勧めている。佐藤医師は「乳幼児の場合は、湿疹を重大なものと思わず、焦らず、こんなものかと気長に待つ気持ちが大切」と話す。
       
▼患者に合わせ治療
一方で炎症が悪化しているときに医師がそのまま放置するのは難しい事情もある。近畿小児科学会で座長を務めた住本真一・大阪赤十字病院副院長(小児科部長)は、古江氏の研究とは対象が異なるとして、比較が適切かどうかという問題を指摘しつつ、佐藤医師らの研究にも一定の意義を認める。「ステロイド外用剤の適切な使用が有効な治療法というのが専門家のコンセンサス。しかし、ガイドラインの示す治療がすべてでもなく、医療の現場で患者さんの気持ちに合わせて治療するのも医師の技量です」
         
              
今回の記事のポイントは、「ステロイド剤を使用せずに経過を観察した」結果を論文にまとめたところでしょう。
記事の解説については、明日にしたいと思います。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

今回の記事は、近畿小児学会で発表された論文のようじゃが、ステロイド剤治療を施す医師側にとっては、ある意味、「耳の痛い」論文じゃろう。自分たちが行ってきた治療法が誤っている、と言われているのじゃからな。
かといって、原因も千差万別なアトピー性皮膚炎において、この「何もせずに経過観察する」治療法が必ず正解ということでもない。なぜなら、経過観察しているだけでは、良くならなかった患者もおるのじゃから。
どうしても、患者側は結論を導き出す時、右(治るのか)か左(治らないのか)で、選択肢を求める傾向があるが、そこには「自分の場合」という主語が必要になってくることは忘れないようにして欲しいと思うの。