乳児への抗生物質と食物アレルギーの関係とは?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
アトピー性皮膚炎の方にとって、皮膚の細菌叢の問題は、アトピー性皮膚炎の発症や症状の悪化に大きく関わる要因だけに、しっかり考えていかなければなりません。
最近は、抗菌など「菌を防ぐ」対策を身近に行う方が増えてきていますが、菌そのものは、私たちの生活に密接に関わっていますので、菌を防ぐことが常に有効とは言えません。
もちろん、病原性の菌については、その対策を行うことは大切ですが、有益な菌もいますし、無害な菌の中にも「何らかの役割を持った菌」もいます。
小児の食物アレルギーと抗生物質の記事を一つ紹介しましょう。
            
          
●食事アレルギー 1歳以下での抗生物質が引き起こしていたかも!?
http://news.ameba.jp/20160926-162/
        
今や医療に欠かせない抗生物質。しかし、ペニシリンが発見されたのは1928年(※1)。まだ発見されてから100年もたっていない。今元気に生活している90歳のおじいちゃんおばあちゃんが生まれたときには抗生物質などなかったのである。
ペニシリンの発見から、一気にたくさんの抗生物質や抗菌薬が発見・開発され、2015年は全世界で406億ドルもの販売額であったと言われている(※2)。
         
▼抗生物質の発見によって不治の病が治るようになった一方…
        
ペニシリンの発見以前には、不治の病と言われていた結核や、大流行したペストなどは抗生物質の登場によって今や怖い病気ではなくなっている。
しかし、抗生物質や抗菌剤は、使い勝手がいい反面、必要以上に使われることがしばしば問題となり、薬が効かない薬剤耐性菌が非常に増えている。また、薬剤耐性菌以外にも抗生物質による影響はたくさんあるようだ。
        
▼1歳未満の抗生剤投与歴が食事アレルギーの発症リスクになる
        
アメリカのサウスカロライナ薬科大学の研究チームが、「1歳までに抗生物質の投与を受けた子どもは、食事アレルギーの発症を起こしやすい」という研究結果を発表した。
この調査では、少なくとも1つの食事アレルギーを持っている子ども1,504人と、持っていない子ども5,995人を比較検討し、抗生物質投与の影響を見ている。
それによると、抗生物質を1歳未満で投与された子どもは、投与を受けていない子どもより食事アレルギーを発症するリスクが1.21倍高いという結果である。これは抗生物質の処方回数に比例し、5回以上の処方を受けるとなんと1.64倍にリスクが跳ね上がるという。最近では他にも、子どものころの抗生物質の投与は肥満やぜんそくのリスクを増やすということもわかっている。
        
▼抗生剤により腸内細菌叢が変化することが原因との説
       
抗生物質がどのような機序によって食事アレルギーを引き起こすのかは不明ではあるが、おそらく腸内細菌叢の変化によるものではないかと推測されている。
正常な腸内細菌と体が反応することで正常な免疫機能が生まれると言われており、腸内に細菌のいない無菌マウスの研究により証明されている。腸内細菌叢の変化により、免疫機能の異常が起こり、免疫が暴走してアレルギーが発生してしまうのではないかという説が有力である(※3)。
医療において抗生物質は今や欠かせないものであり、低い乳児死亡率(1歳未満の死亡率)を維持できる要因であるのも間違いないだろう。ただし、薬にはリスクが伴い、特に子どものころの影響が大人になって出て来ることもあると頭に入れておいた方がいいだろう。人間の成長のためには病気のリスクが多少あっても、菌とうまく付き合っていくことが大切なのかもしれない。
          
     
記事にあるように抗生物質が腸内の細菌叢を乱すことで、免疫機能の異常を引き起こし、食物アレルギーが発生するのではないか、と考えられているようです。
抗生物質と食物アレルギーの相関関係は、日本でも研究が進められているようですので、アレルギーが引き起こる原因は別にしても、何らかの関係があることは確かでしょう。
そして、こうした細菌叢を「乱す」状況は腸内だけに限らず、皮膚においても起こり得ます。
例えば、ステロイド剤やプロトピック軟膏は、免疫を抑制する薬剤です。
皮膚表面における免疫機能を抑制する=皮膚の細菌叢を乱す、ということにつながりますから、結果的に、黄色ブドウ球菌など、アトピー性皮膚炎にとってやっかいな菌の増殖を促すきっかけになったり、それら黄色ブドウ球菌が出すデルタ毒素により、体内のIgEを増強、アトピー性皮膚炎発症の原因になることもあります。
また東欧の研究では、小児が馬糞などに接する環境で育つことで、アトピー性皮膚炎やぜん息の発症率が大きく低下した、という研究がありますが、これも菌との有益な関係性を示すものと考えて良いでしょう。
記事の最後に書かれているように「人間の成長のためには病気のリスクが多少あっても、菌とうまく付き合っていくことが大切なのかもしれない。」という部分は忘れないことが大切でしょう。

                          
おまけ★★★★博士のつぶやき

菌は、それぞれ役割を持っておることがある。
菌が出す「排泄物」が、実はヒトにとって有益だったりすることもあるのじゃ。
もちろん、「悪さ」をする菌もおるのじゃが、悪さをする菌への対策は、同時に有益な菌をも殺すことは忘れないようにしたいものじゃ。
薬の「使いすぎ」は弊害をもたらす恐れがある、ということじゃな。