アトピーの方は、なぜ乾燥が良くないのか(4)

昨日までで、肌が乾燥することでどういった問題点があるのかについて述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、この「肌の乾燥」にどういった対処を行えば良いのかを考えてみたい。
           
         
●アトピー性皮膚炎は、まず角質層内の「水分保持」を行うことが基本の対策になる
        
昨日までに取り上げたように、肌の乾燥状態は、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるばかりでなく、場合によってはアトピー性皮膚炎の発症にも関わってくることがある。
        
じゃが、そこで少し、逆に考えてみたい。
もし、お肌の乾燥状態を緩和させることができれば、どうなるのじゃろうか?
当然、「肌の乾燥」が、アトピー性皮膚炎の症状や発症の原因と考えられるならば、乾燥を緩和させることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善したり、時には予防につながることもあるじゃろう。
        
少し話がそれるが、お薬をお使いのアトピー性皮膚炎の方の多くは、この「乾燥の問題」を抱えておる。
お薬は、ワセリンが基材として使われておることが多い。
ワセリンとは、石油から精製された油で、皮膚の水分蒸散を抑えてくれる「スキンケア」の補助を行ってくれておる。
そして、べたつくぐらいカバー力が強い。
         
じゃが、元々、乾燥肌のアトピー性皮膚炎、つまり水分が少ない状態だったアトピー性皮膚炎の方に蒸散を抑える「カバー」を行っても、少ない角質層内の水分状態は蒸散を減らしてくれるだけで水分が増えてくれるわけではない。
ステロイド剤などの薬は、薬の成分(副腎皮質ホルモンや、免疫抑制剤など)によって、アレルギー的な炎症から生じる痒みは抑えてくれる。
じゃが、昨日述べたような「乾燥から生じる痒み」については十分な効果を発揮できん。
なぜなら、最初に炎症を原因として痒みが生じたわけではないからの。
        
じゃから、この「乾燥」が大きく関わるアトピー性皮膚炎の方の場合、「薬が効きづらい(アレルギー以外の痒みの原因を抱えているため)」という状態に陥ることもあるのじゃ。
これが慢性的なステロイド剤の連用につながると、短期間で見られなかったステロイド剤の問題点(副作用)も、現れるリスクは期間と共に少しずつ強まることになる。
特に、ステロイド剤やプロトピック軟膏の場合、優秀な(強い)免疫を抑えることで痒みを生じさせない効果がある反面、皮膚の免疫力も低下させることで細菌叢を乱しやすい、というリスクを抱えておる。
細菌叢を乱す要因は免疫力の低下だけではないから、短期間の薬剤の使用では、さほどの心配はいらんのじゃが、長くこの状態が続けば、やがて他の要因が重なると(季節的な要因や、環境要因、精神的な要因など)、一気に状態が悪化することもあるのじゃ。
ステロイド剤の中断による、リバウンド状態も、止めることが「他の要因(炎症を抑えられない)」の一つになることで、状態の悪化が著しいことが考えられる。
         
じゃから、まず、アトピー性皮膚炎の方が考えなければならないのは、角質層内の水分を「与える」ことになる。
ローションやジェル系のアイテムを使って、まずはしっかりと「保水」(水分を与える)を行うことが基本じゃ。
そして「保水」した上から、せっかく与えた水分が蒸散しないよう「保湿」(油分でカバーする)を重ねるようにしたい。
            
アトピー性皮膚炎の方で、肌のダメージが強いと、水分系のアイテムが浸みることを嫌い、油分系のアイテムのみでスキンケアしておる方が時々おるが、「水分不足」という誤ったケアになっておる方が意外と多い。
このように、「乾燥肌」の対策としては、まず「保水」が十分できているかをしっかりチェックして、適したアイテムで保水ケアを行うようにして欲しい。
         
そして、最後に、まとめとしてRさんの質問に答えておきたいと思う。
        
●健常な方の乾燥肌と、アトピー性皮膚炎の方の乾燥肌は、乾燥肌から生じる問題点をさらなる乾燥肌を生みだす問題点に繋げているかどうかの違い
           
ということじゃ。
もっと簡単に行ってしまえば、健常な方ならば、乾燥肌をある程度、自分の力で回復させる機能(いくつかある中の一つでも)を持っておるが、アトピー性皮膚炎の方の場合、乾燥肌を連鎖的な掻き壊しにより、さらに「悪化させた乾燥肌」にしてしまいやすい、ということじゃ。
乾燥肌対策は、特に冬の乾燥時期、アトピー性皮膚炎の方にとって、基本となることを忘れないようにして欲しいの。

                               
おまけ★★★★南のつぶやき

お薬をお使いの方で、薬を使いながら症状が悪化している、といったケースがあります。
そうした場合、薬の影響(マイナスの影響)ももちろん考える必要はありますが、それ以上に、お薬で水分不足が解消できていないケースも考えた方が良いでしょう。実際、お薬を使う前に「保水」をしっかり行うようになってから、症状が安定した例は数多くあります。
お薬を使用することはアトピー性皮膚炎の原因を直接解消することはなく、対症療法に過ぎませんから、第一に推奨したい方法ではありませんが、さまざまな状況が関係してお薬を使わざるを得ない方の場合には、「保水」を併用するように心がけましょう。