アトピーの方は、なぜ乾燥が良くないのか(3)

今日も昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
乾燥による問題の一つ「細菌叢の乱れ」について考えてみたい。
         
         
●お肌の乾燥による問題点
         
3.皮膚の細菌叢が乱れる
         
乾燥した肌状態、特に掻き壊しが見られた場合、本来、皮膚が持つ皮脂膜による弱酸性の状態を保つことが難しくなる。
皮膚は、腸内と同じく、常在菌がフローラ(細菌叢)を形成することで、病原性を持つ細菌が繁殖するスペースを作らないようにして守られておるのじゃが、この弱酸性の状態が保つことができなくなると、日和見菌と言われるどこにでもおる菌の中で「悪さ」をする菌が繁殖するスペースが空くようになってしまう。
そうなると、健常な方とは違う細菌叢が形成される。
慶應大学の先生(米国の研究員の先生)が発表した論文によれば、アトピー性皮膚炎の方は、健常な方とは違い、黄色ブドウ球菌やボービス菌などの菌が多く占めるようになっておることが確認されている。
        
そして、この黄色ブドウ球菌が定着すると、やがて黄色ブドウ球菌から「排泄物」が出始める。菌も生きておるわけじゃからの。
そして、この「排泄物」の一つであるデルタ毒素は、アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こすことになる原因であるIgEを増強することが他の研究で確認さておる。
        
大まかな流れを整理してみると、
        
肌が乾燥する

バリア機能が低下する

細菌叢が乱れる

黄色ブドウ球菌のデルタ毒素などがIgEを増強、アレルギー的な要因を生み出す

アトピー性皮膚炎の症状が悪化する
                 
ということになる。
       
そして、この流れは、アトピー性皮膚炎の方に限った話ではない。
もし、健常な方が、この状態に陥いるとどうなるのじゃろうか?
         
それは、最後の「アトピー性皮膚炎の症状が悪化する」という部分が、「アトピー性皮膚炎が発症する」ということになるのじゃ。
ここ二十年ほどでアトピー性皮膚炎は急激に増加してきたとされる。
昔は、アトピー性皮膚炎は小児の疾患と認識されておったこともあるのじゃが、この新たに増加してきたアトピー性皮膚炎は、小児だけでなく成人にも多くみられた。
この成人型のアトピー性皮膚炎の多くは、こうしたバリア機能の低下から発症しておるのではないか、と考えられておるようじゃ。
         
実際、慶應大学だけでなく、京都大学でもアトピー性皮膚炎の発症にはフィラグリンが関係しており、アトピー性皮膚炎は実はアレルギー性疾患ではなかった、という研究報告も3年前にあった。
つい先日は、東北大学の研究で、アトピー性皮膚炎の発症には、大気中の化学物質が関係しておった、という報告もあった。
こうして多くの研究機関が、アレルギー的な要因からアトピー性皮膚炎が発症するよりも、皮膚の機能低下が原因でアトピー性皮膚炎を発症していることを裏付ける研究報告を行っておるようじゃの。
        
        
では、こうした「肌が乾燥する」という状態はどのように対処していけばよいのじゃろうか?
明日は、乾燥肌の対処について述べたいと思う。

                          
おまけ★★★★博士のつぶやき

今日、取り上げた細菌叢の乱れから生じるアトピー性皮膚炎の症状悪化、そしてアトピー性皮膚炎の発症については、いずれも正しい対策を行う必要があり、なかなか困難な原因とも言える。
特に、今の一般的な生活習慣はエアコンなどの使用による乾燥の環境下が作られやすいこと、そして、睡眠や運動、食生活習慣の悪化などが、余計に細菌叢を乱しやすい状況にあるからじゃy。
正しい、生活環境、そして正しい生活習慣を心がけて欲しいと思うの。