2016年12月号の記事より(2)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

 

            
今日は、昨日の続きです。まずは、スキンケアから見ていきましょう。

               
●12月に気をつけたいアトピーケアについて
(2016年12月号、あとぴナビより)
         
        
■12月に行いたいアトピーケアについて
        
▼スキンケア
       
スキンケアで注意したい点は、角質層の水分が不足していないか、をチェックすることです。。
アトピー性皮膚炎の原因(発症や悪化)は主に「アレルギー的な要因」と「皮膚機能的な要因」の二つに大別されます。
この中で「皮膚機能的な要因」の中心になるのが、皮膚の※ 細さいきんそう菌叢の乱れから生じるバリア機能の低下です。
細菌叢の乱れが黄色ブドウ球菌やボービス菌の定着を許すことで、黄色ブドウ球菌が出すデルタ毒素がIgEを増強、アレルギー的要因を強化することで炎症を生じやすい環境を生み出します。
こうした皮膚のバリア機能の低下が生じるもっとも大きな要因が何かというと、角質層の「水分保持低下」です。
健全な状態の角質層を顕微鏡で拡大してみると、レンガがキレイに積み重なった状態になっています。しかし、アトピー性皮膚炎の方の角質層は、レンガを繋げる細胞間脂質が不足することで、レンガが「崩れた」状態になっています。
このレンガをキレイに積み重ねていられるかどうかに関わっているのが「角質層内の水分」なのです。
角質層内の水分を保持するためには、セラミドやフィラグリンなどの因子が重要なのですが、何らかの保持する因子が不足したりすることで、角質層内のレンガがキレイに積み上げられない状態になっています。
つまり、バリア機能を低下させている大きな原因は、角質層内の「水分」が足りているかどうか、にあると考えてよいでしょう。
        
アトピー性皮膚炎の方が行うケアで、この「角質層内の水分」に注目した場合、誤ったスキンケアで多いのが「水分の補給が足りない」状況です。
水分が不足した状態の肌は、肌自体が持つ防護機能により、固くなることが多くなります。そうすると、水分が浸透しづらくなったり、固くなった肌が「割れた状態」のところに水分が浸みて痛みを感じたりします。
そのため、固くなった肌を柔らかくできる「油分系」のアイテムでスキンケアする方が多くなります。病院で「保湿剤」としてもらう「ワセリン」は、石油から作られた鉱物系の油分系アイテムですが、油分系のアイテムは、水分を全く含んでいません。そのため、塗布することで肌が柔らかくなり、一定の満足感は得られますが、バリア機能の観点からいえば、水分が足りない状況に変わりはなく、バリア機能の改善は望めないことになります。
        
乾燥した砂場(乾燥肌)に、シート(油分系アイテムで保湿)をかぶせても、砂場はすぐに潤うことはありません。まず、砂場に水分を撒いて(保水系アイテムで保水)からシートをかぶせることで、はじめて砂場は潤います。
アトピー性皮膚炎の方の肌も、基本的に水分が不足した状態ですので、ワセリンなど油分系アイテムだけをスキンケアアイテムとして使用することは、バリア機能の低下、というアトピー性皮膚炎の悪化要因に対して、大きなプラスを生むことができない状態を続けている、と考えてよいでしょう。
       
そして、もう一つ注意が必要なのが「保水が不足」した状態です。
ローションや化粧水、ジェルで、保水はしっかりしています、という方も、実は、必要な水分量が足りていないケースがほとんどです。
乾燥によりバリア機能が低下した状態の肌は、「決定的に水分が不足した状態」と考えた方が良いでしょう。
水分系アイテムを肌にサッとつけてなじんだ状態は、角質層にとって必要な水分量には達していない、と考えるべきです。
炎症を伴い、さらに粉を拭いたような乾燥状態がみられる肌の場合、必要な水分量は「ベタベタになるぐらい」の量を時間をかけて肌になじませていくことが求められます。
痒みを知覚する神経線維は、角質層が乾燥することで表皮内に侵入しますが、いったん侵入した神
経線維は角質層内が「潤った状態」になり、なおかつそれが「維持される」ことで、真皮内に戻っていくことが分かっています。また、角質層のレンガをキレイな状態で支えるための細胞間脂質に必要な水分量も相当な量が必要とされています。
従来、サッと保水を「すませている」アトピー性皮膚炎の方は、そこで行っているローションや化粧水、ジェルの量を2?3倍に増やし、さらにそのケアを2?3回反復して行って、ようやく必要な量が角質層に与えられることになります。
         
夏の汗をかく時期であれば、汗によりある程度の皮脂膜が形成され、同時に汗によって角質層に一定量の水分補給ができていますが、汗をかかない寒い時期になると、特に乾燥を伴うアトピー性皮膚炎の方の場合、自ら行うスキンケアの機能は著しく低下します。
「保水」に重点を置いたケアを行うように注意しましょう。
        
十分な保水が行えていれば、あとは、与えた水分が蒸散しないよう肌に「シートをかける」つまり、油分を含んだアイテムで「保湿」を行いましょう。また、掻き壊しが多い状態の方は、「シート(保
湿ケア)」が薄いと、すぐに剥がれてしまいますので、厚めの「シート(たっぷりの保湿ケア)」で
「保護」を行うようにしましょう。
         
アトピー性皮膚炎の方の肌状態に、もっとも求められているのは「健全なバリア機能」であり、健全なバリア機能は「健全な角質層」を指します。そして健全な角質層を維持するためには、角質層内の「水分」がもっとも重要になることを忘れないようにしましょう。
アトピー性皮膚炎の方に必要なのは「保水」であり、「保湿」や「保護」は「保水」を助けて、高めるための方法です。
角質層の水分不足に注意しましょう。
          
          
スキンケアについては、これまで何度も述べてきましたが、お肌のバリア機能を保つ上では、「基本」となる保水にしっかり注意した方が良いようですね。
明日は、入浴です。

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎の方が感じる乾燥は、そこから生じる「痒み」の質が、健常な方の乾燥肌とは大きく異なります。
一般の乾燥肌の対策は、表面上は、乾燥を和らがせることは可能でも、それを持続させること、そして乾燥により生じた皮膚の「異常状態(バリア機能の低下、痒みの神経線維の問題など)」の解消まではつながることが難しいのが現状です。
アトピー性皮膚炎の方、個人個人の状況に合わせた適切な対策を行うようにしましょう。