大気汚染がアトピー悪化を誘発する?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
春先のアトピー性皮膚炎を悪化させる要因に、黄砂やPM2.5、そして花粉など飛散物質が関係することは昔から知られていました。
主に、掻き壊しなどによるバリア機能が低下した肌に、それらの飛散物質が付着し侵入することで免疫反応が生じて炎症、痒みにつながる、と考えられていましたが、今回、東北大学から大気汚染がアトピーを誘発する、という研究報告が出ていましたので紹介しましょう。
          
          
●大気汚染からアトピー誘発 東北大が仕組み解明
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/376799
         
大気汚染物質によってかゆみの感覚神経を伸ばす体内のタンパク質が増え、アトピー性皮膚炎を引き起こす仕組みを東北大などの研究チームがマウス実験で突き止め、15日付の英科学誌電子版に発表した。
アトピー性皮膚炎の患者は工業化に伴い増えることが世界各国で報告されているが、原因は分かっていなかった。現在は免疫抑制剤を皮膚に塗る対症療法が主な治療方法で、山本雅之教授(医化学)は「新たな薬の開発が期待できる」と話している。
チームは、すすなどに含まれる大気汚染物質と結合し活性化する「AhR」というタンパク質に着目。AhRを失わせたマウスと、正常なマウスの皮膚に、数週間にわたり大気汚染物質を塗って観察した。
すると、正常なマウスはAhRがないマウスより、かゆみの感覚神経を伸ばすタンパク質「アルテミン」が4~5倍多くなっていた。
チームによると、汚染物質と結合してAhRの動きが活発になり、アルテミンが増加。感覚神経が表皮近くまで伸びてかゆみを誘発し、アトピー性皮膚炎を引き起こす。
さらに、表皮をかいてできた傷から異物が侵入、かゆみが増すという。
         
          
痒みを知覚する神経線維が、角質層内の水分不足により伸びて、皮膚刺激に敏感になることは順天堂大学などの研究で明らかになっていましたが、今回、大気汚染物質に結合するタンパク質「AhR」も、この痒みの神経を伸ばす働きがあることが分かったようです。
今回の実験では正常な皮膚のマウスに大気汚染物質を塗布していますので、従来の皮膚バリア機能の低下から生じるアトピー性皮膚炎とは、別の視点から考える必要があるのかもしれません。
もちろん、大気汚染が深刻な地域とそうでない地域とで、アトピー性皮膚炎発症に有意差があるとしても、ゼロか100か、となることはありませんから、今回、考えられる要因とは、数多くあるアトピー性皮膚炎の原因の一つ、あるいは症状悪化の原因の一つとして考えた方が良いと思います。
大気汚染とは、化学物質が関係していますから、ある意味「文明」と密接な関係にあります。
電化製品、合板などの家具、そして車の排気ガスや、車のタイヤで削り取られたアスファルトなど、飛散が考えられる化学物質を考えると、それを皆無にすることは、今の社会生活を根本から「失う」ことにつながりますので、現実的ではないでしょう。
しかし、文明の発達とともに、アレルギー疾患が増加している背景には、こうした化学物質の問題は避けては通れないようにも思います。
個人レベルでの解決が難しい問題ですが、一つのテーマとしてこの問題は考えていきたいと思います。

                     
おまけ★★★★北のつぶやき

化学物質がアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患を悪化させることは、過去の臨床例や研究報告も数多くあります。
大気汚染とは違う視点ですが、あとぴナビでも、何度か特集で取り上げていますので、興味のある方はご覧ください。

●化学物質過敏症とアトピー
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=11

●生活環境を見直せばアトピーは改善できる
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=95