アトピーの治療にステロイド剤は必要か?考察(5)

今日は、今回のテーマの最後じゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          
アトピー性皮膚炎患者は、ステロイド剤とどのように付き合うことが課題なのかを考えてみたい。

▼ステロイド剤とどのように付き合えば良いのか?

まず、これまで述べてきたことじゃが、

1.ステロイド剤は、痒みを効果的に抑える働きがある
2.ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎を「直接」治す機能はない
3.ステロイド剤は、長期連用により、免疫抑制作用からアトピー性皮膚炎に対する発症、悪化の要因になることがある
4.外用のステロイド剤使用で、内服のステロイド剤のような副作用がみられることは稀である(使用期間、ランクなど例外を除いて)
5.アトピー性皮膚炎の場合に問題となるステロイド剤の副作用は、薬として持つ副作用よりも、免疫抑制作用を起因とするリスクが問題となる
6.アトピー性皮膚炎患者にステロイド剤治療を施した場合、リスクを抱える患者は一部である(おそらく1割程度)
7.アトピー性皮膚炎治療に対して、ステロイド剤は絶対必要な薬剤ではない

ということがある。
これらを踏まえたうえで、あとは「使用する患者」が判断することが必要かもしれんの。
なぜなら、現在の皮膚科医における治療において、ガイドラインを遵守する以上(ガイドラインに沿った治療であれば、万一の際の訴訟などのリスクが軽減される、など)、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎という病気を治さなくても、痒みという症状を治して患者が満足するのであれば、それが「優先」すべきこととなるからじゃ。
さらに、そうしたステロイド剤治療において、リスクを抱える患者が、ステロイド剤を使用した患者の一部ならばなおさらじゃろう。
つまり、病院でのアトピー性皮膚炎治療は、基本として薬物治療が容認され、積極的に処方される現状がある、ということじゃ。
もちろん、一部の患者に悪化するリスクがあることは処方を施す医師側も、現在では認識をしておるはずじゃが、絶対数が少ない以上、ベネフィットを優先することになるのはいたしかたないことかもしれん。
じゃが、ステロイド剤を使わなくてもアトピー性皮膚炎が治るのであれば、リスクを抱える薬剤の使用を第一選択肢にもってくる「ベネフィット」は、リスクが万一生じた際の「大きさ」を考えると、必ずしも患者側に容認させるべきもの、とは言えないはずじゃ。
その使用の選択肢は、あくまでベネフィットとリスクを享受する「患者側」にあってしかるべきじゃろうの。

ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎の治療において「意味がない治療」ではない。
多くの患者はその恩恵を受けておることは確かじゃ。
じゃが、同時に、現在、増加している皮膚のバリア機能を発症要因とするアトピー性皮膚炎に対しては、ステロイド剤の使用に伴う皮膚の菌叢への影響が、アトピー性皮膚炎そのものの発症、そして悪化要因につながっておることは、エビデンス上、明らかになってきておることでもある。
ステロイド剤による「リスク」の頻度と深刻さ、そしてアトピー性皮膚炎の治療に果たす役割、起きうるマイナス点を鑑みて、自分が行う治療の第一選択肢として使うのかどうかは、それらのプラスとマイナスの要因を総合的に判断して、自分で選択することは、今後、必要になってくるじゃろうの。

目安として言えるとするならば、

1.短期のステロイド剤治療は、アトピー性皮膚炎悪化に対するリスクは高くない
2.長期のステロイド剤治療は、アトピー性皮膚炎悪化に対するリスクは高い

ということから、「使用期間」で判断することも一つの方法かもしれん。
ただ、注意して欲しいとするなら、皮膚に存在するステロイド剤を吸収する受容体は、反復継続した使用により消滅することが確認されておるから、「使用する」ことに対するリスクも考えた方が良いかもしれんの。

あとぴナビとしては、

1.ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎治療に不必要な薬剤ではない
2.しかし、ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎治療の第一選択肢として必ず用いられるべき薬剤でもない
3.アトピー性皮膚炎の治療と症状の治療は、必ずしも一致しておらず、不可欠になるのは「アトピー性皮膚炎の治療」であること

これらが必要ではないかと考えておる。
リスクとベネフィット、これは薬剤である以上、常につきまとうものじゃ。
じゃが、唯一無二の薬剤ではないのじゃから、リスクを優先して治療法を選択することは決して間違いではないと思うの。

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

ステロイド剤の治療は、アトピー性皮膚炎に患者にとっても、医師にとっても「楽」な治療法であることは確かです。
特に、もっとも大きな悩みと言える「痒み」を解消できることは両者にとって意味は大きいと言えるでしょう。
しかし反面、ステロイド剤の影響が現れ始めた場合、そこから脱却するのには、「相当な苦労」を患者側は強いられます。
患者側に「必要」な治療は、患者側で判断することも大切でしょう。
そして、治療を施す側も、治療を施す上で「有利な情報」だけでなく、使用する患者側にとってリスクがある情報は、しっかり伝達することも大切ではないでしょうか。