アトピーの治療にステロイド剤は必要か?考察(3)

今日も、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、ステロイド剤が抱える問題点について考えてみたい。

▼アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の問題点とは?

アトピー性皮膚炎の治療として使用するステロイド剤の問題点は、その多くが「反復継続使用による問題点」といえるじゃろう。
短期使用の場合、薬剤が持つ副作用の問題は生じるじゃろうが、実際にそのリスクが1回、2回の使用で頻度が高く現れるか、というとそうではない。
また、外用薬のステロイド剤が抱える問題点として、内服薬として使用されるステロイド剤の問題点と同一視する傾向が以前はあったが、そうした薬剤自体の使用で起きうるリスクとは、外用薬と内服薬では使用頻度を鑑みても、同一でないことは確かじゃろう。
確かに、短期使用で副作用が現れるケースもあるが、それはレアケースじゃろう。
そして、そうした「薬としての問題点」をアトピー性皮膚炎の症状に当てはめることで、本来、問題視されるべき部分を誤ってきた、ということもある。
ステロイド剤が抱える問題点とは、最初に述べたように、反復継続使用によって生じる「アトピー性皮膚炎」という疾患そのものに対するものなのじゃ。

1.免疫抑制作用による問題点

もっとも大きな問題点から述べるが、ステロイド剤やプロトピック軟膏など免疫抑制作用により効果をもたらす薬剤に共通した問題点が「免疫を抑制することで、皮膚の菌叢を乱すこと」じゃ。
アトピー性皮膚炎の9割以上に、何らかの感染症がみられる、という統計データがあるが、昨年の慶應大学の発表でも、アトピー性皮膚炎の場合、健常な肌と比較して黄色ブドウ球菌やボービス菌での菌叢の形成が行われることが確認されておる。
さらに、数年前の海外の論文では、黄色ブドウ球菌が出すデルタ毒素が、体内のIgEを増強、アレルギー反応を生じさせるきっかけになることが分かっておる。
つまり、ステロイド剤など免疫を抑制する薬剤を長期連用することで、皮膚の菌叢が少しずつ乱れ、黄色ブドウ球菌など健常ではない菌叢が中心となった場合、それらの菌が体内のアレルギー的な要因を増強させることで、「アトピー性皮膚炎が発症する」あるいは「アトピー性皮膚炎の症状が悪化する」ということじゃ。
ステロイド剤の長期連用者が、その使用を中断すると「リバウンド症状」が現れることがある。
この症状を、ステロイド剤を使用する医師はステロイド剤の副作用ではなく、「アトピー性皮膚炎が悪化した状態」と言い、ステロイド剤を否定する医師はステロイド剤の副作用による悪化、と言う。
確かに、その両面がみられることもあるのじゃろうが、もっとも大きな理由は、ステロイド剤の長期連用により、体内のアレルギーの感受性が高まったことが原因と言えるじゃろう。
当然、ステロイド剤の使用中は、いくらアレルギーの要因(IgE)が増えようとも、それをステロイド剤の持つ免疫抑制作用が抑えてくれる。じゃが、ステロイド剤を中断すれば、増え続けていたアレルギー的要因は、その「タガが外れた」状態になることで、一気に「活動」を始め、その結果、炎症が広がる、ということじゃ。
これは、アトピー性皮膚炎という元の疾患が悪化したこととも言えるが、その原因はステロイド剤を「使用したこと」にある。そして、同時にステロイド剤が持つ免疫抑制作用により皮膚の菌叢を乱した結果であることから、ステロイド剤の副作用とも言えるじゃろう。
ここが、ステロイド剤による問題点をややこしくしておる部分ではないじゃろうか?
薬剤が持つ副作用、内分泌など目に見えた生体への影響が問題なのではなく、免疫抑制作用による皮膚の菌叢を乱す、といったワンクッションおいた間接的な影響が問題なため、それをステロイド剤が持つ直接の副作用とは認識されず、かといって、アトピー性皮膚炎そのものの悪化という観点からみれば、その原因はステロイド剤の使用にあるわけじゃから、両者が入り乱れた「結果」リバウンドにつながっておる、と考えられるからじゃ。

そしてさらに、ややこしくなる点を言えば、こうした「長期連用」の期間は、一律な影響として現れないことじゃ。
なぜなら、皮膚の菌叢で考えると、日常生活内の他の要因も複雑に絡んでくる。
汗、睡眠、食事の内容、入浴の仕方、エアコンなどの使い方、衣類を洗う洗剤、部屋のハウスダストなど、多くの要因により左右される。
したがって、同じランクのステロイド剤を同じ頻度で同じ量を使用したとしても、Aという人とBという人の菌叢の乱れは同一にはならん。
早く乱れる人もいれば、そうした乱れが「起きない」人も中に入る。
もちろん、その期間が10年、20年となれば、どこかを境に起きなかった人の菌叢が乱れ始める、ということもあるのじゃが、皮膚の状態は、5年後だけ見れは、AとBの人では大きく違ってくることもある。
ステロイド剤を肯定するする医師は、乱れが起きづらかったBという人の症例から「ステロイド剤は上手く使えば副作用は起きない」と言い、ステロイド剤を否定する医師は、短期間で菌叢が乱れたAという人の症例を元に「ステロイド剤には副作用がある」とする。
これは、両方が正しく両方が間違っておる、とも言える例じゃ。

そしてもう一つ覚えて欲しいのは、ステロイド剤による影響は、必ずしもこうした菌叢に対するものだけではない、ということじゃ。
明日は、その他のステロイド剤が抱える問題点を述べてみたい。

                      
おまけ★★★★大田のつぶやき

ステロイド剤の問題点を考える場合、解明されていない部分も多いわけですが、エビデンスで示されている部分も多くあります。
黄色ブドウ球菌とIgEの関係などは、解明されている部分に該当するでしょう。
研究する医師側も、新しい情報を柔軟に受け入れながら、新たな部分を解明して欲しいところです。