アトピーの治療にステロイド剤は必要か?考察(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
まずステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対してどのような役割を担っているのかを考えたい。

▼アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の役割とは?

一般のアトピー患者に、ステロイド剤はアトピーにどのような役割を担っているのかを聞けば、ほとんどの患者が「アトピーを治すため」と答えるじゃろう。
これは、アトピー患者のもっとも大きな悩みが「痒み」にあり、そしてステロイド剤は、この「痒み」をもっとも効率よく抑えることができるからじゃ。
じゃが、厳密に言えば、ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎を治しているのではなく、痒みを治しているに過ぎない。
例えば、風邪をひいて高熱が出て、解熱剤が処方されたとしよう。
当然、解熱剤を服用すれば、よほどのことがない限り、熱は下がる。じゃが、解熱剤は風邪の細菌やウィルスを「退治」する直接の働きを持っておるわけじゃないから、薬剤の効果が切れ、風邪が治っていなければ再び熱は上がることになるじゃろう。
このケースで、患者に「解熱剤は風邪を治す薬か?」と聞くと、多くの患者は、「NO」と答えるじゃろう。風邪という普遍的な疾患では、病気と症状の違いについて、おぼろげながらも患者側が把握しておるからじゃ。
ところが、アトピー性皮膚炎の場合、薬剤により「何が治せるのか?」という部分について、認識のズレが生じてくることが多い。

風邪の例と同じく、アトピー性皮膚炎(風邪)という病気により、痒み(熱)という症状が現れ、ステロイド剤(解熱剤)を使うことで痒み(熱)は引くが、アトピー性皮膚炎(風邪)そのものが治っていない限り、ステロイド剤(解熱剤)の効果が切れれば痒み(熱)は再び現れる、ということじゃ。
もっとも、患者が抱える不快な症状を解消することは全く意味がないわけではない。風邪の場合も高熱による体力の消耗を防ぐことができるし、アトピー性皮膚炎の場合も痒みを抑えることで生活のQOLが改善、例えば夜の睡眠がとれるようになることで、結果的にアトピー性皮膚炎という疾患そのものを体が治していくことに役立つ、という間接的な役割は持っておる。

じゃが、ステロイド剤が痒みを解消する働きは、免疫抑制効果による炎症→痒みの部分を遮断させることじゃ。これは、ステロイド剤に限らず、最近、アトピー性皮膚炎に方に使われることが増えてきたプロトピック軟膏のような「免疫抑制剤」も同じような働きで痒みを抑えておる。
ようは、炎症→痒み、を抱えておる患者にとっては、その部分の解消には役立っておるが、あくまで症状が解消されておるだけで、病気そのものをステロイド剤やプロトピック軟膏が治しておるのではないこと、そして、アトピー性皮膚炎の「痒み」は、炎症だけがもたらしておるのではなく、炎症以外による痒みついては、免疫を抑制しても意味がないから効かないケースがある、という課題が出てくることになる。

▼ステロイド剤の利点とは?

ステロイド剤治療の利点とは、「痒みを効果的に解消できる」という点があるじゃろう。
後述するが、受容体の問題などから、同じステロイド剤を使用した場合に徐々に効かなくなってくる、といった問題点もあるが、生じている痒みを多くの人が享受可能な短期に解消できる手段としては、ステロイド剤やプロトピック軟膏以上の手段はいまのところ無い、といっても過言ではない。
ガイドラインにも書かれておるが、抗アレルギー剤などは、その効果が弱く、万人が痒みを即時に解消するには程遠いと言えるじゃろう。
こうした「症状の解消」はステロイド剤の大きな利点じゃ。

では、こうした役割と利点があるにしろ、ステロイド剤にはどういった問題点が存在しておるのじゃろうか?
続きは明日じゃ。

                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

ステロイド剤の使用については、可否のどちらかで「決めよう」とする意見が多い。
確かに、アトピー性皮膚炎という「疾患」そのものの治療薬ではなく、アトピー性皮膚炎による炎症・痒みという「症状」に対する治療薬なのじゃから、病気の治療を前提に考えるならば、必要不可欠、とまでは言えない部分はあるじゃろう。
じゃが、疾患の病態はさまざまであり、例えば精神的に追い詰められた状態の患者に対して、まずは「症状」の治療を優先させるべき「段階の時期」であれば、ステロイド剤の治療は「有効」とも言える。
「何を治したいのか」を考え選択することも必要かもしれんの。