アトピーの治療にステロイド剤は必要か?考察(1)

今年の夏は、やはり暑い夏じゃったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         
台風も例年とは違った発生や動きをしとるし、天候の不順はアトピーの方にとって、症状の悪化につながることもあるので注意をして欲しい。

さて、アトピー性皮膚炎に対する「標準治療」は、皮膚科において「薬物治療」が中心になることは、昔も今も変わっておらん。
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会が作成した2016年版のガイドラインでもそのことは明記されておる。

                             
●アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf#search=’%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC+%E6%B2%BB%E7%99%82+%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3+%E6%9C%80%E6%96%B0′

                                 
このガイドラインの、「Ⅳ治療」の項目の中に薬物療法のことが書かれておる。

                               
3.薬物療法
(1)抗炎症外用薬
現時点において,アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で,有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤は,ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(topical calcineurin inhibitor;カルシニューリン阻害外用薬)である.その他の外用薬に,非ステロイド系消炎外用薬があるが,抗炎症作用は極めて弱く,接触皮膚炎を生じることがまれではなく,その適応範囲は狭い.アトピー性皮膚炎の炎症に対しては速やかに,かつ確実に鎮静させることが重要であり,そのためにステロイド外用薬とタクロリムス軟膏をいかに選択し組み合わせるかが治療の基本である.

                               
ガイドラインの中身については、逐一吟味しても仕方がないから言及はせんが、1999年に厚労省がガイドライン推進政策の一環として作られ2001年に改定されたものから、基本的な部分に大きな変化はないといってよいじゃろう。
しかし、現在、アトピー性皮膚炎の原因は皮膚機能の要因に大きく舵を切った研究がされておるのが現状じゃ。
京都大学、筑波大学、理化学研究所などでは、フィラグリンや皮膚のバリア機能、黄色ブドウ球菌などが原因でアレルギー的な要因を発症する、という研究が進んでおる。
また九州大学でも痒みを知覚する脳神経の分野で研究が行われておる。

ステロイド剤が抱える問題は、実のところ患者側と治療を行う医師側では、微妙な認識のズレがあるのが現状じゃ。
最近では、以前のようにステロイド剤一辺倒の医師も治療の現場では少なくなっており、最新の研究を踏まえたバリア機能を中心に考える医師も増えてきたようじゃから、そのズレは少しずつ小さくなっておるようじゃが、それでもガイドライン上からは、そのズレが修正されておる旨は読み取ることが難しい。

では、アトピー性皮膚炎の治療に対して、ステロイド剤はどのような役割を果たし、どのような利点があって、どのようなリスクを抱え、そして今後、どのようにステロイド剤治療に接していくことが課題なのじゃろうか?
今回は、そのあたりについて考察してみたい。

明日は、まずステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対してどのような役割を担っているのかを考えてみよう。

                          
おまけ★★★★大田のつぶやき

皮膚科学会が定めるガイドラインは、主に「皮膚科医が治療を行うための」ガイドラインです。
したがって、患者側に向けたもの、というよりも治療を施す医師側に向けたもの、と考えてよいでしょう。
日本では、アメリカほどの医療訴訟リスクはありませんが、ガイドラインに沿った治療であれば、「公式な治療」ですので、ガイドラインが否定されない限り、ステロイド剤の副作用を訴える患者の意見は通りづらくなり、皮膚科医の訴訟を受けるリスクは軽減されます。
ただ、医療行為による最大の利益を享受されるべきなのは患者側であることは確かでしょうから、患者側に沿った「ガイドライン」も、柔軟に考えて欲しいところです。