ワセリンでアトピーが予防できる?(2)

昨日は、理化学研究所からリリースされたアトピーの記事と、その内容を報じた一般紙の記事の二つを紹介した。

 

 

 

 

 

 

 

 

                               
一般紙の方は、一見すると、ワセリンにアトピーの予防効果がある=ワセリンはアトピーに効果がある、と読み手を「誤った誘導」するように書かれておるのじゃが、実際には、ワセリンが重要なのではなく、「皮膚のバリア機能」という部分が重要、ということじゃ。

皮膚のバリア機能とアトピー性皮膚炎の関わりは、ここ一~二年、あとぴナビでもさまざまな論文記事を紹介してきた。
昨年も、慶應大学が発表した「黄色ブドウ球菌とアトピーの関係」、今年の2月にはつくば大学の皮膚の死細胞がアレルギーに関与する、という記事も取材した。
これらの研究は、その研究自体の主体は異なるわけじゃが、研究から結論として導かれる部分(バリア機能の低下(障害)がアトピー性皮膚炎に大きく関わる)は同じであることが分かる。

今回は、バリア機能の低下に対する臨床として、JAK阻害剤の他に、ワセリンを用いておったため、「ワセリン」という「単語」が大きく取り上げられたのじゃろうが、過去に行われた予防研究の論文からみても、大切なのは「ワセリン」ではなく、「保湿剤」であること、もっと言えば、「バリア機能を低下させないこと」にあると言っても良いじゃろう。
            
            
●乳児のアトピー予防には保湿剤有効 世界で初の発見
http://www.sankei.com/life/news/141002/lif1410020014-n1.html
         
乳児の全身に保湿剤を塗るとアトピー性皮膚炎の発症を抑える効果があるとの研究結果を、国立成育医療研究センターのグループが1日、米国の専門誌に発表した。乳児期のアトピーは食物アレルギーなど他のアレルギー発症の誘因と考えられており、研究グループの大矢幸弘医長は「他のアレルギー疾患の発症予防につながるか、研究を進めたい」としている。
研究の対象は、親や兄弟がアトピー性皮膚炎を発症したことがあるアトピーの発症リスクが高い乳児118人。生後1週間以内に、半数の乳児には市販されている保湿剤を1日1回以上全身に塗り、半数には塗らなかった。
その結果、生後32週(約8カ月)の時点で、保湿剤を塗った乳児は塗らなかった乳児よりアトピーを発症する割合が約3割低かった。
アトピー性皮膚炎の予防法としては、妊娠、授乳中に母親が食物制限する方法などが研究されているが、予防効果は明らかになっていない。
            
        
この記事は、一年半前の2014年10月に国立成育医療研究センターから発表された研究報告の記事じゃ。
内容を読めば、ポイントが今回の理化学研究所の発表と同じ部分にあることは容易に推測できるじゃろう。
アトピー性皮膚炎に対する予防効果として考えた場合、バリア機能を正常に保つ、という視点からみれば、大切になってくるのは「ワセリン」ではなく、「保湿」であること、さらに、その「保湿」により補える「モノ」が何かを考えていくと、角質層の水分保持をどのように行うのか、これがバリア機能に関わってきて、結果的に「アトピー予防」の観点から意味があることが分かるじゃろう。

ワセリンは確かに「カバー力」で考えれば抜群の効果があるし、健康保険適用される保湿剤でもああるから、入手も容易といえるじゃろう。じゃが、注意が必要なのは、ワセリン自体は、水分を含まない油脂性のみのアイテムであるから、元々水分が不足している肌に塗布しても、水分不足を「強力に補うことができない」という点、そしてワセリン自体は石油から作られる鉱物系の油脂であり、アレルギー反応を示したり、長期連用による「ワセリン焼け」などの皮膚ダメージを伴う恐れがある点、が挙げられるじゃろう。

アトピー性皮膚炎の方が「予防」という意識の元、そのケアを考えていく場合には、「保水」という基本があって、さらにそこに重ねて、水分蒸散を軽減する「保湿」がある、それらが一体となって「スキンケア」というものを形成しておることを意識した方が良いじゃろうの。

                    
おまけ★★★★北のつぶやき

今年の2月に報道された筑波大学の死細胞とアレルギーの関係については、すでに取材を行っています。
今度のあとぴナビ夏号(6月発行号)では、詳細が掲載されますので、興味のある方はご覧くださいね。