医学の進歩が医療体制を崩壊させる?

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                             
医学は日々進歩しており、過去に「難病」「不治」とされた疾患が克服された事例は暇がないといって過言ではないでしょう。
アトピー性皮膚炎を考えても、アレルギーを原因とする考え方から、最近は皮膚のバリア機能や細菌叢に原因を求めるように変化しています。
こうした「進歩」は喜ばしいことですが、その進歩が「維持」されるかどうかは、別問題のようです。
            
          
●【衝撃】ガン治療の革命的な特効薬ニボルマブ / 高額すぎて年間3500万円の医療費 → 総額の95%以上を国民が負担
http://buzz-plus.com/article/2016/03/16/nivolumab/
         
ガン治療の特効薬として期待されている、革命的な薬「ニボルマブ」(オプジーボ)。いままでの抗ガン薬と異なる「まったく新しい作用」でガン治療にアプローチする薬で、日本赤十字社医療センター化学療法科部長の國頭英夫氏も、その可能性に対して大きな期待を寄せているようだ。
         
・約3500万円もの医療費が必要
ガンで亡くなる人が多い日本において、「ニボルマブ」の登場は医療に革命的をもたらすと言っても過言ではないだろう。しかし、ひとつだけ大きな問題が生まれている。あまりにも薬価が高額すぎるのだ。保険を無視して定価で計算した場合、「ニボルマブ」を1年間使用すると約3500万円もの医療費が必要となる。
         
・5%以下の自己負担で使用可能
3500万円……。とんでもなく巨額だ。いくらガン治療の特効薬とはいえ、それだけの費用を払える人はほとんどいまい。しかし、日本には国民健康保険や社会保険などの保険制度と、高額療養費制度がある。その制度を使用することにより、3500万円の5%以下の自己負担で「ニボルマブ」が使用できるという。
          
・効果が期待できるガン治療ならば
3500万円の5%ということは、単純計算で年間175万円の自己負担で「ニボルマブ」が使用できることになる。國頭氏によると、実質の負担額は130万円ほどだという。もともとが3500万円という金額を考えれば、130~175万円でも高額なのは間違いない。しかし、それで効果が期待できるガン治療をすることができるならば、その「ニボルマブ」を治療薬の選択として選ぶ医師や患者は多くなるだろう。
            
・残額は国民が負担する
しかし、忘れてはならないのが「3500万円の95%はだれが負担するの?」という点だ。皆さんご存じのとおり、健康保険や高額療養費制度から出される医療費は、国民が負担することになる。國頭氏は「年間3500万円×3人のトータル1億円を超すコスト」と語っている。以下は、医学書院に掲載された、國頭氏のコメントである。
        
・國頭英夫氏のコメント
「総額を考えると、事の大きさに愕然とします。日本の非小細胞肺がん患者を年間10万人と推定します。早期がんなどを除き,ニボルマブの対象になる人は5万人程度はいるでしょう。皆に1年間投与すれば,その合計額は1兆7500億円です。現在の日本の医療費は約40兆円で、薬剤費は約10兆円ですよ? もとがこれだけのところにいきなり年間2兆円弱の負担が増すなんて、どう考えたって無理がある」
「薬価を下げることは現実問題として難しいでしょう。新薬の開発には加速度的に膨大な費用がかかるようですし、「成功した薬剤」で開発コストを回収しなければ製薬企業の商売だって成り立たない。まあ、それを考慮してもニボルマブは高すぎだと思いますが。でも事実、薬価を仮に半分にできたところで、破綻は避けられません。薬価高騰はそんなレベルを超えてしまった。そして、その大本には「医学の進歩」があるわけです」
       
・年間ニボルマブ費用データ
ニボルマブ総額 3500万円
ニボルマブ患者負担額 130万円
ニボルマブ国民負担額 3370万円
         
・日本の年間医療費用データ
医療費 40兆円
薬剤費 10兆円

想定: ニボルマブ(5万人) 1兆7500億円
            
・さまざまな問題が山積み
特効薬の薬価が高すぎる、使用する患者が増えれば増えるほど国民の負担が厳しくなる、新薬開発コストを考えるとすぐ薬価を下げることはできない。さまざまな問題が山積みの「ニボルマブ」だが、今後、薬価に動きが出るかどうか、注目していく必要がありそうだ。
          
             
記事にあるように、仮にこの「ニボルマブ」が画期的な薬剤だと仮定しても、その薬剤を患者が「使用していく」ことを維持させるためには、現在の医療保険の体制に「ヒビ」を入れる恐れがある、ということです。
特に少子高齢化が問題視されている現在の日本の現状から考えると、社会保障費が財政に負担を与える割合が大きくなる将来、こうした医療費の高騰を「補填」することが維持できるかは、疑問とも言えます。
とはいえ、年間3,000万円(このままの価格と仮定して)もかかる医療費を実費で負担できる「患者」は、ガン患者の一部に過ぎないでしょうし、高額医療費の負担制度そのものは、貧困層の割合が増加している日本において、なくすことはできない制度とも言えます。
もし、高額医療が受けれない、貧困層がそうした治療を受けなかった場合、どうなるのか?、これは患者と医療機関の双方ともに利益がない状況とも言えるでしょう。
患者は治療が受けられない直接的なリスクを負いますし、医療機関も受診患者数が減ることで「売上」を維持できなくなります。医療機関で治療として使われる頻度が減れば、高額医療を提供する製薬メーカーも、開発にかかった巨額な費用の回収が見込めなくなり、「医療」の分野で形成されている「経済」そのものが成り立たなくなる恐れも出てくるでしょう。
当然、行政もそういったことは百も承知ですから、無理にでも高額医療費の負担制度は維持しようとして・・・・・あとは、いわゆる「悪循環」が形成され、そのまま悪循環が回れば回るほど、やがては「破たん」が近づいてくることになります。
非常に矛盾した状況ではありますが(医学が進歩すればするほど、その進歩を(経済的な面で)支えられなくなる)、「見て見ぬふりをすることができる」今の時期に(問題を将来に先送りできる状態の時)に、しっかり問題を見据えて議論することも必要なように思います。
「将来」は「今」の積み重ねで成り立っています。そして「将来」はさらに先の「将来」に繋がっています。
「今」考えなければならないこと、実行しなければならないことは、「今」行うべきなのでしょう。

                              

おまけ★★★★大田のつぶやき

この「医療の進歩に伴う悪循環」は、アトピー性皮膚炎の「悪循環」に似た状態を生んでいるとも言えます。
薬剤(ステロイド剤など)の長期使用に陥った患者の場合、薬剤によるリスク(ステロイド剤がIgEを増強する、感染症を誘発する、など)が「悪循環」を形成する、といったケースです。
悪循環は、それを「回す」ための「キーポイント」が存在します。
アトピー性皮膚炎の症状悪化に対する「キーポイント」は、バリア機能、皮膚の細菌叢を中心に考えていくことが大切なわけですが、ところどころで存在するキーポイントを「正しく把握」して対処するようにしていきましょう。