グリチルリチン酸を配合すると低刺激性になる?

商品開発担当の中田です。

 

 

 

 

 

 

 

                          
あとぴナビのアイテムは、アトピー性皮膚炎の方のご利用が多く、アトピー性皮膚炎にマイナスの影響を与える恐れが「強い」成分はNGとしていますが、その成分の一つに「グリチルリチン酸」があります。
配合成分として、甘草、グリチルリチン酸、GK2(グリチルリチン酸2k)などの表記が該当します。
グリチルリチン酸の大きな特徴として「抗炎症作用」があります。

ヒトの腎臓の上にある副腎から放出されているホルモンは代表的なものが3つあります。
糖質代謝ホルモン、塩類代謝ホルモン、そして性ホルモンです。
アトピー性皮膚炎の薬として代表的なステロイド剤は、この「糖質代謝ホルモン」を合成して作られた薬剤です。
そして、グリチルリチン酸は、「塩類代謝ホルモン」と酷似した構造式を持つことで知られています。
塩類代謝ホルモンは、文字通り、塩類の代謝に関わるホルモンですが、薬理作用として抗炎症作用を有しています。
もっともその抗炎症作用は、ステロイド剤で使われている糖質代謝ホルモンほど強くはありませんが、糖質代謝ホルモンと同じ免疫抑制作用による抗炎症作用があります。

グリチルリチン酸は化粧品に配合を許されている原料ですが、この「抗炎症作用」を目的に配合されるケースが多いようです。
化粧品を使用した場合、お肌に合わないなどの影響がみられると、赤みなど炎症が生じます。
しかし、グリチルリチン酸を配合しておくことで、この赤みなどの炎症をあらかじめ抑えることができます。
赤みがおきない=刺激が少ない、と表現するメーカーが多く、ここで「低刺激性」と謳うことになります。

しかし、実際には炎症が起きない=刺激が少ない、ではなく、炎症が起きないように免疫反応を抑制しているだけでと言えるでしょう。
実際、グリチルリチン酸が配合されている化粧品で、グリチルリチン酸を除いた場合、一定の割合で配合成分が合わない方が赤みなど炎症を生じさせることがある、と言われています。

そしてアトピー性皮膚炎の方に問題なのは、このグリチルリチン酸が持つ「抗炎症効果」が、ステロイド剤で用いられている「糖質代謝ホルモン」と同じく、「免疫抑制作用」に基づくものである、ということです。
免疫作用を持つため、皮膚に塗布することで、刺激性を少なく「感じさせるよう」にはできますが、同時に皮膚の免疫そのものも低下させますので、短期間の影響は少なくても長期連用していくと、免疫力低下に伴う皮膚の細菌叢が乱れると、それがアトピー性皮膚炎そのものの悪化要因になることがあります。

とはいえ、グリチルリチン酸自体は、比較的高分子のため、健常な皮膚から吸収されることはなく、吸収されない=効果がない(抗炎症効果をもたらさない)=副作用もない、ということになります。
ただ、アトピー性皮膚炎の方で、かき壊しなどによりバリア機能が著しく低下している肌の場合には、吸収されることがある=免疫抑制作用による炎症やかゆみを抑える効果が期待できる=副作用が生じやすくなる、となります。
健常な皮膚には意味がない、バリア機能が低下した肌では効果と共に副作用のリスクがある、その配合目的が、他の成分による免疫反応による炎症を抑制することにある、というのであれば、使用される「メリット」と「デメリット」を考えた場合、少なくともアトピー性皮膚炎の方にとっては、その「バランス」が適正とは言えないとも言えるでしょう。

実際、短期使用で問題が生じるケースはあまり聞きませんが、長期連用されている方の場合、使用中断後にステロイド剤の使用中断後と同じような「リバウンド」症状が現れるケースがあります。
もちろん、ステロイド剤ほどの効果がない=副作用も弱い、ということですが、ステロイド剤の長期連用のケースの場合、悪化因子となる割合は9割以上と考えられていますが、グリチルリチン酸の場合は3割程度、と考えられています。

お手持ちの化粧品が「アトピー性皮膚炎の方用」として販売されていたものであれば、配合成分にグリチルリチン酸が配合されていないかを一度、チェックするようにしましょう。

                             
おまけ★★★★中田のつぶやき

「炎症が生じる」だから、「炎症を抑える成分を配合する」という考え方は、果たして低刺激性、と言えるのでしょうか?
もちろん、万人に炎症が生じない、という成分はあまり多くなく、特徴ある成分で一定の「有効な効果」を示す成分の場合、どうしても一定の割合で(少ない割合かもしれませんが)、「マイナスの影響」を示すことになります。
痒みを「抑える」ことがアトピー性皮膚炎の症状の治療にはなっても、病気の治療にはつながらないのと同じような意味合いであることを忘れないようにしましょう。