「おとり」を使った新薬?

西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
アトピー性皮膚炎の研究は、日々、いろいろな機関が行っているわけだが、今日は、最近、Webで見かけた記事について考えてみたい。
          
      
●アンジェスが大幅反発、NF-κBデコイオリゴアトピー性皮膚炎治療薬のフェーズ3症例登録が完了
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20160119-00000083-stkms-stocks
        
この日の朝方、自社開発品で核酸医薬であるNF-κBデコイオリゴDNAを用いたアトピー性皮膚炎治療薬(軟膏製剤)について、国内で実施中の第3相臨床試験の症例登録が完了したと発表しており、治験の順調な進捗を好感した買いが入っている。
同試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象に、有効性と安全性を確認する、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験。昨年3月から被験者への投与を実施していたが、この度、最後の被験者への投与が開始され、症例登録が完了。今後は、観察期間の終了後にデータ解析を行い、良好な結果が得られた場合には、国内で中等症以上の顔面のアトピー性皮膚炎を適応症として承認申請を行う予定としている。なお、アンジェスはアトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAの独占的販売権に関して、塩野義製薬<4507>と契約している。
          
          
今回の記事にある「NF-κBデコイオリゴDNA」とは、簡単にいうと、免疫の異常を引き起こすタンパク質(NF-κB)に、デコイ(おとり)として結合させ、炎症関連遺伝子の働きを未然に防ごう、というもののようだ。
イメージすると、ヒスタミンの受容体をあらかじめ塞いで(ブロック)、炎症反応を抑えようとする抗ヒスタミン剤のようなものなのだろう。
臨床による効果が、どれだけに及ぶのか、詳細な記事は出ていなかったので分からないが、記事を読んだ読者の方は、「ステロイド剤に変わる新薬」と捉える方もいるかもしれない。

だが、炎症反応を「どの段階で抑えるのか」は、炎症そのものの度合いを随分と異ならせる。
例えば、ステロイド剤と抗ヒスタミン剤は、同じ炎症を抑えようとする働きからくるが、抗原抗体反応の段階で対応するのか、放出されたヒスタミンの反応を防ぐのかは、その効果がかなり違っている。
今回の薬剤が、どの程度の有効性を示すのかは不明だが、その効果の範囲はしっかり確認しておくことが大切だろう。
また、アトピー性皮膚炎の「痒み」は、免疫反応以外を起点として起こる場合もある。
痒みの神経線維、脊髄のグリア細胞が慢性的な痒みを誘導する、最近、あとぴナビで大阪大学の先生を血管壁について取材した内容からは未熟な血管が炎症性物質を漏らすことで生じる痒みなどもあり、その原因が多岐にわたることは忘れない方が良いだろう。

もっとも、こうした研究が進んで行くことは、少なくとも既存の薬剤が抱える問題点を解消しようとして考えれられていることもあり、今後の推移を見守りたいと思う。

                                
おまけ★★★★北のつぶやき

今日の西さんが最後の方で書いていた血管壁に対する取材は、あとぴナビの3月号(春号)で特集として紹介する予定です。
血管壁とアトピーの関係、そして冷えの原因にも関わっていること、入浴による影響はそこにどのように関わるのか、非常に興味深い内容です。
ぜひご覧くださいね。