エコチル調査とアトピーとアレルギー

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
さて、平成23年より環境省による、全国で10万組以上の親子に参加してもらう大規模調査「エコチル調査」が実施されています。
以前、ブログでも取り上げたことがありますが、エコチル調査の正式名称は、「子どもの健康と環境に関する全国調査」といい、子どもの健康に影響を与える環境要因を解明することを目的に、平成23年1月から13年間の追跡調査によって行われるものです。
子どもの健康に影響を与える環境要因の解明のほか、小児の脆弱性を考慮したリスク管理体制の構築や次世代の子どもが健やかに育つ環境の実現、ライフサイエンス分野の国際競争力の確保などの成果が期待されています。
調査期間は13年間と長いのですが、データを収集していく中で判明したことは随時、報告されているようです。
            
          
●妊娠中の喫煙で幼児が肥満に? 環境省が親子10万組規模で調査中
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160107-00000012-resemom-life
        
環境省は、次世代の子どもたちが健やかに成長できる地球環境を未来に残すことを目的に、全国で10万組以上の親子に参加してもらう大規模調査「エコチル調査」を平成23年より実施している。
「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)は、子どもの健康に影響を与える環境要因を解明することを目的に、平成23年1月から13年間の追跡調査によって行われるもの。子どもの健康に影響を与える環境要因の解明のほか、小児の脆弱性を考慮したリスク管理体制の構築や次世代の子どもが健やかに育つ環境の実現、ライフサイエンス分野の国際競争力の確保などの成果が期待されている。
平成23年より3年間で参加者を募り、全国15都市10万3,106人の母親の参加同意者を確保した。今後調査では、出産時のデータ収集や、子どもの各成長段階のデータ収集、収集データの化学分析、結果解析などが進められるという。平成26年11月からは詳細調査もスタート。全国10万組の親子の中から親子5,000人をピックアップし、「家庭のアレルギー物質・化学物質の測定調査」や「子どもを対象としたアレルギー検査や発達検査」が実施されている。
たとえば、子どものアレルギー検査については、乳児期の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関連性や、離乳食の開始時期と食物アレルギーなどとの関連性について仮説を立てながら検証を進めている。現在、データ収集を行っており、2~3年後には「アレルギーの原因となる食品を食べさせる時期を遅らせた方がアレルギーは減るのか、増えるのか」といった疑問の答えがわかってくるという。
また、親子から考える子どもを取り巻く環境についても調査を実施中。母親やパートナーの喫煙による子どもの直接受動喫煙の割合や、母親の喫煙と幼児の肥満の関連性、妊娠中の飲酒の影響、普段子どもとともに過ごす時間の長さ、子どもと過ごす時の携帯等の使用時間などさまざまな環境要因を調査対象にあげている。
         
なお、Webサイトで公開されている資料「10万組の親子から考える子どもをとりまく環境について」によると、妊娠中の喫煙は低出生体重児のリスクがあり、幼児期の肥満のリスクとなっていることがわかる。資料では、このリスクが発生する要因を胎盤循環の不全からくるものとさまざまな事象、仮説を参照に述べたほか、喫煙や飲酒、母親のICT利用が子どもの成長や発達にどのような影響をおよぼしているのか、今後のエコチル調査で解明するとしている。
          
       
このエコチル調査は、非常に興味深い調査です。
アレルギー疾患の多くは、環境が発症要因、悪化要因として関わっているとされていますが、科学としてその理論、機序が判明しなくとも、統計データとしてその事実が証明されれば、事実を元に、理論などを確立させていくこともできるでしょう。

気になる点としては、データの収集と、その解析を行う「方向性」が平成23年の「情報」を元に定められている、ということでしょうか。
例えば、アトピー性皮膚炎の場合、発症要因として、アレルギー的要因から皮膚機能の要因へと注目され始めたのは、ここ数年のことです。
記事中にある「乳幼児の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関連性や」という部分は、アトピー性皮膚炎を「アレルギー疾患」として捉えていることを示しているわけですが、最近の研究では、アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギーが最初に関わるケースよりも、皮膚機能が原因として関与、その後、症状が悪化する過程の中で、アレルギー的な要因が関わってくる(つまり、アレルギー的な要因は、発症要因ではなく悪化要因として関わる説)という考え方もあります。

もっとも、乳幼児のアトピー性皮膚炎に限れば、アレルギー的な要因が主に関わっているケースも多いでしょうから、今回の調査によって判明することも多いと思いますが、心配なのはアレルギー的な要因が関わらないケースが含まれることでアレルギー的な要因が排除されたり、逆に、アレルギー的な要因が関わっていることが多いことで皮膚機能の要因が排除されることです。
本来、アトピー性皮膚炎の発症は、年齢や生活環境により、その原因が異なることが多いのですが、一律に原因を当てはめることは、多様性を示すアトピー性皮膚炎の病態にそぐわないだけでなく、誤った原因が特定されることは、誤った治療法へと誘導される恐れもあります。

エコチル調査は非常に有意義な調査だと思いますが、疾患に対して、調査の対象となっている要因が「発症要因」として関わっているのか、あるいは「悪化要因」として関わっているのか、柔軟な分析が行われることを望みたいところです。

                       
おまけ★★★★東のつぶやき

環境要因の問題は、個人のレベルで解決できないことも多く、(例えば、アスファルトの粉塵が原因、となった場合、全国の道路を改善する、あるいは車の利用を制限する、といった解決手段は、社会全体で取り組んで行く必要があり、個人では解決できないレベルのため)
問題が特定された場合、行政を交えて社会全体がその問題の解決に向けて、行動していく体制づくりも行って欲しいと考えます。
いずれにしても、アトピー性皮膚炎を取り巻く環境が少しでも良い方向に前進してくれることを望みたいと思います。