2015年、アトピー性皮膚炎を考える(4)

昨日は、乳幼児のアトピーについて、発症と慢性化のポイントなどをまとめてみた。

 

 

 

 

 

 

 

                   
今日は、成人の場合を見てみたい。

                    
・成人のアトピー

成人の場合、アレルゲンが関与して発症する方ももちろんおるのじゃが、大半の方は、皮膚機能の要因、つまりバリア機能の低下から発症することになるケースが多い。
成人になるまで、特にアレルギー症状で困らなかった方の場合、免疫機能も成人の段階では「完成」されており、大きく揺るぐことは少ない。
どちらかと言うと、生活環境内の要因の影響を受けた「後天的」な原因から、皮膚のバリア機能を低下させた場合はほとんどじゃろう。
アトピー性皮膚炎の方には、角質層のバリア機能を保持する役割を持つ、フィラグリンやセラミドの生成が少ないことが分かっておるが、これらは成人の方の場合も、幼少のころから「少ない」状態は続いていたはずじゃ。
アトピー性皮膚炎ではないが、冬場は乾燥しやすくかった、などという方は、そうした「素因」の影響を受けておった、と考えてよいじゃろう。
そうした「バリア機能を低下させる」要因を抱えたまま、プラスして「バリア機能を低下させる」外的な要因が加わると、アトピー性皮膚炎発症に至るまでの「バリア機能の低下」を生むことがある。

昨日の乳幼児のアトピーのところでも書いたように、そうした外的な要因は、現在の「便利な生活」の中に潜んでおる。
エアコンの普及、運動不足、食生活の乱れ、睡眠時間の不足、ストレスの増大、いずれも直接、間接的にバリア機能を低下させることになる。
もちろん、ヒトの体には、恒常性機能が備わっておるから、常に、そうした「マイナス点」を解消しようと働いておる。
じゃが、何かをきっかけに、自分の回復力を越える「負荷」が加わったときが、「危険」が生じた、と考えてよいじゃろう。
もちろん、そうした「負荷」の多くは一時的な場合が多く(一時的に仕事が忙しくなって、睡眠不足で疲れがたまった、など)、その負荷が解消されれば、バリア機能の低下からアトピー性皮膚炎を発症、掻き壊しから生じたバリア機能の低下がさらに状態を悪化させる、という悪循環を形成することなく、自然治癒するじゃろう。
乳幼児のアトピーと同じく、最初は「軽症」から始まることは、成人のアトピーも同じじゃ。
軽症の状態で、悪循環の輪を断ち切り、悪循環を生みだす「きっかけ」を解消できれば、アトピー性皮膚炎が慢性化することはなく、大勢のアトピー性皮膚炎患者は、このパターンに当てはまっておるのじゃろう。
もちろん、短期間に症状を現わすことを繰り返すことで、やがて慢性化した状態に陥る、ということはあり得るわけじゃが、初期の「軽症」のアトピー性皮膚炎が「治りやすい」ことも確かじゃろう。

問題は、積み重なる悪化要因が解消できず、バリア機能の低下から生じた悪循環の輪が「形成」されてしまった場合じゃ。
この場合、バリア機能の低下から、皮膚の細菌叢が黄色ブドウ球菌など健常な方とは異なる菌叢を示すことになる。
そして、皮膚に定着した黄色ブドウ球菌は、デルタ毒素により、体内のIgEを増強する。
そうなると、バリア機能の低下からIgEを増強、IgEがアレルゲンと反応することで炎症が生じる、という乳幼児とは逆のパターンで、二つの「アトピー性皮膚炎の発症要因」を抱えることもあるわけじゃ。

乳幼児の場合、成長と共に強化されていく免疫機能の要因が強く、成長の中で自然解消されやすいのが特徴じゃが、成人の場合、発症原因が「外的な環境要因」に依存しておることが多く、社会生活を営む上で、「犠牲」にできない行動(仕事など)がある成人の場合、その外的な環境要因を解消することが難しい場合が多い。
だからこそ、成人のアトピー性皮膚炎が「治りづらい」と捉えられるわけじゃが、逆にいえば、「バリア機能の強化」をしっかり行うことができれば、大半のアトピー性皮膚炎の症状は快方に向かうことができるじゃろう。

もちろん、アトピー性皮膚炎の原因は千差万別じゃから、バリア機能の強化では解消されない原因を抱えておる方もおるかもしれない。
じゃが、そういった方も、他の原因から痒み、そして掻き壊しが生じれば、結局のところ「バリア機能」に関わる問題を次に抱えることになる。
したがって、いずれにしろ、アトピー性皮膚炎の対処を行う上では、「バリア機能」を良い状態に保てるケアを考えることは必須とも言えるじゃろう。

明日は、最後のまとめじゃ。

                      
おまけ★★★★南のつぶやき

アトピー性皮膚炎の方の肌状況を考えた場合、バリア機能の低下をもたらしているもっとも大きな要因は、今日の博士がブログで書いていた角質層の「水分」です。
掻き傷がある場合、水分系のアイテムは、傷口に浸みやすく、水分系アイテムを敬遠される方も多いのですが、肌の機能を「回復」させていく上では、油分だけでは足りないことは意識するようにして欲しいと思います。