2015年、アトピー性皮膚炎を考える(3)

昨日は、アトピー性皮膚炎発症の基本的な原因について述べた。

 

 

 

 

 

 

                 
主に、アレルギー的な要因と皮膚機能の要因の二つがあるわけじゃが、実際のアトピー性皮膚炎発症に至る過程の中で、また、本来「軽症」で発症したアトピー性皮膚炎が慢性化していく上で、それらの要因がどのように絡みあっているのかについて考えてみたい。

                              

・乳幼児のアトピー

その発症契機は、主には、昔から知られておった「成長と共に治る」と言われておったアトピー性皮膚炎と考えてよいじゃろう。
乳幼児のアトピー性皮膚炎の多くは、アレルゲンが関与することが多い。
最初に「免疫反応」があって、そこから炎症が生じ、そして痒みに繋がる、というパターンじゃ。
昔と今と違う部分があるとすると、痒みから「掻き壊し」が生じたあと、ということが言えるじゃろう。

皮膚のバリア機能を低下させる生活内の要因を考えてみると「エアコン」など空調が完備されたこと、外で子どもが遊べない社会環境になったこと(遊べる場所や、犯罪の問題など)、そして食生活や就寝時間が遅くなったことが挙げられるじゃろう。
こうやってみると、昔は、皮膚のバリア機能を低下させる生活内の要因は多くはなかった。
子どもは外で遊んで汗をかき、空調はせいぜい扇風機かストーブ、こたつぐらい。
夜も早く寝て、おやつも今のようなスナック菓子ばかり、ということはなかったじゃろう。
つまり、アレルゲン→免疫反応→炎症→痒み、という一連の流れからアトピー性皮膚炎の症状が発症したとしても、その後、バリア機能の低下からくる二次的な悪化要因が少なく、最初のきっかけといえる「アレルゲン」を上手に排除することで(食事制限など)、掻き壊し→痒み、の悪循環の輪を形成させることが少なかった、と言えるじゃろう。

しかし、今の時代、いったん皮膚の掻き壊しが生じると、多くの外的な生活要因、環境要因がバリア機能の低下に拍車をかけることになる。
いったんバリア機能の低下が強くなると、今度は、「バリア機能の低下から生じるアトピー性皮膚炎」の部分を生み出す。
つまり、「二つの異なる原因」を元にしたアトピー性皮膚炎が絡み合うことになるわけじゃな。
こうなると、仮に免疫反応から生じる部分の治療を行っただけでは、いったん悪循環の輪に入りこんだバリア機能の低下から生じるアトピー性皮膚炎の状況は解消することが難しくなるし、皮膚のバリア機能の低下に対する治療だけ行っても、アレルゲンの部分が解消されない限り、「最初のきっかけ」を常に生み出しておることになる。

もっとも、食物アレルゲンだけでみると、3歳をピークに減少する傾向が、厚生労働省の調査で分かっておるから、たまたま食物アレルゲンの影響が少なくなってその「アレルギー的な要因」が解消されれば、バリア機能の低下に関わる要因を中心に対処を行えばよいことになる。
現在、病院で行う治療のほとんどは、「薬物治療(ステロイド剤やプロトピック軟膏など、免疫抑制剤による治療)」+「スキンケア」じゃろう。
後者の「スキンケア」がぴったり、その方の「足りない部分」に嵌り込めば、状態は大きく改善することが可能じゃ。

このように、小児アトピー性皮膚炎は、「自然回復」するための「ポイント」がいくつも存在しており、そのポイントを見落とさないようにすることで、回復は見込めるし、また多くの小児アトピーは、「成長とともに治っている」という状況につながっていくのじゃろう。
逆にいうと、小児のアトピー性皮膚炎の「症状」に関わっている「要因」を見誤り、必要な対処を行わないと、悪循環の連鎖の輪が断ち切れず、ずるずると症状を引きずったまま、薬物の長期連用に陥る恐れもある、ということじゃな。

では、成人のアトピー性皮膚炎の場合は、どうじゃろうか?
続きは明日じゃ。

                       
おまけ★★★★東のつぶやき

以前、ある小児科医の先生を取材した際、その先生は、小児アトピー患者が抱えるアレルゲンは、口からの摂取だけでなく、大気中を浮遊した目に見えない、食品の分子が肌に付着することで生じることを指摘していました。
小児の場合、こうした免疫を原因とする要因は多いわけですが、慢性化させる要因は、免疫よりもバリア機能の問題も大きいことは忘れないようにしましょう。