2015年、アトピー性皮膚炎を考える(1)

今年も残すところ数日となった。

 

 

 

 

 

 

 

                     
今年は、アトピー性皮膚炎という疾患にとって、新たな糸口がいくつも見つかった年であったとも言えよう。
アトピー性皮膚炎をアレルギー以外の要因で捉えることは、一昨年から見られたのじゃが、今年は特にバリア機能や神経系に関する臨床研究が進んだのではないじゃろうか。

そこで、今年のまとめとして、今日から年末まで、最新のアトピーの研究を踏まえながら、アトピー性皮膚炎の原因と悪化要因などについて考察してみたいと思う。

                     
■アトピー患者を取り巻く環境を考える

アトピー性皮膚炎の原因は、昔はアレルギー疾患の一つと捉えられておったように、アレルギーが主要因と考えられておった。
じゃが、ここ数年で、その原因がアレルギーから皮膚の「状態」にあることが分かってきた。
一昨年、京都大学がフィラグリンに関する研究発表を行う際に、アトピー性皮膚炎はアレルギーではない旨を述べておったようじゃが、こうした皮膚機能を要因と捉えた考え方は、昔になかったわけではない。

例えば、アトピー性皮膚炎の方の肌には、統計学的にセラミドが不足しておることが十年以上前から分かっておったが、この場合、肌に異常がみられるアトピー性皮膚炎の方だけでなく、いったんアトピー性皮膚炎が改善して肌の異常状態が見られなくなった方にもセラミドの不足がみられたことから、掻き壊しなどの結果セラミドが不足したのではなく、多くのアトピー性皮膚炎の方の共通している要因として肌の異常に関わりなくセラミドの不足が見られた、とういことじゃな。
問題は、では全員のアトピー性皮膚炎の方に、こうしたセラミドの不足した状態がみられるのか、というと、そうではなく、セラミドの数値が「正常」なアトピー性皮膚炎の方もおる。
先の京都大学の発表においても、フィラグリンの不足状態をアトピー性皮膚炎の原因の一つとして捉えておったが、フィラグリンが不足した状態にあるアトピー性皮膚炎の方は半数弱、ということじゃった。

もう一つ、アトピー性皮膚炎の「歴史」を考えてみた場合、一つ言えることは、昔はアトピー性皮膚炎が、子どもに多い疾患で成長すれば自然と治る、と考えられておった時期がある、ということじゃな。
ところが最近は、乳幼児の発症後、成長してもアトピー性皮膚炎が治らないばかりか、逆に悪化するケースがあったり、成人以降において、アトピー性皮膚炎が発症しておる方もいて、今、「成長すれば自然と治る疾患」というイメージはかなり薄れたといってよいじゃろう。

じゃが、ここでも注意して欲しいのは、「成長と共に自然と治るアトピー性皮膚炎患者も大勢いる」ということじゃ。
どうしても、良くならなかった、悪化した例が取り上げられ、自然治癒した例は埋もれていく傾向があるのじゃが、アトピー性皮膚炎患者の大半は、自然治癒しているケースが多いのじゃ。

実際、厚生労働省の調査でも、全体のアトピー性皮膚炎患者のうち、ステロイド剤の治療により治癒状態にならない患者は1割程度、という報告がある。
また、他の研究機関でも重度のアトピー患者の数を数十万人と試算しておるところもあり、アトピー性皮膚炎患者全体の数が数百万人と言われておることを考えると、近似値の数字となっておるようじゃ。

つまり、「アトピー性皮膚炎」という疾患を考えた場合、その9割は発症後、治療の有無に関わらず、治癒状態になり、慢性化しているアトピー性皮膚炎患者は1割程度、ということじゃな。
この1割程度が多いのか少ないかは、各自の判断に委ねるしかないが、数十万人、という疾患数から考えると、決して少ない数字ではないじゃろう。

アトピー性皮膚炎に関する情報を見る限り、この「9割」と「1割」を、その立場に置いて、アトピー性皮膚炎患者全体に当てはまるものとする傾向がみられる。
しかし、考えてみれば、アトピー性皮膚炎発症後、短期間で治癒状態に陥り、その状態を維持できておる患者は、アトピー性皮膚炎のことで悩むこともなく、基本的には慢性化した患者のみが、治療法を変えながら、状態の悪化に悩むことになるわけじゃ。
つまり、アトピー性皮膚炎が治りづらい、とする情報そのものは、こうした治った患者の声が反映されていないだけであり、実際のところ、アトピー性皮膚炎という疾患そのものは「治りづらい」疾患ではない、ということじゃな。

もちろん、「治りづらい」状況を生み出した原因はあるわけだし、だからこそ、慢性化した患者がおられるわけじゃが、発症直後の状態だけでみると、多くのアトピー性皮膚炎患者は、「軽症」の状態で始まったことは確かじゃろう(ここでいう「軽症」とは、皮膚症状の激しさ、ではなく、疾患そのものの状態から見て)。

では、最初、多くの場合「軽症」で始まるアトピー性皮膚炎は、どういった原因から生み出されるのじゃろうか?
続きは明日じゃ。

                      
おまけ★★★★南のつぶやき

あとぴナビにご相談いただくアトピー性皮膚炎の方の多くは、「初期」の段階を越えている方が多い傾向があります。
これは、やはり発病当初は病院で治療を行い、そのまま良くなってしまえば、通院することも、あるいはアトピー性皮膚炎の情報を求めることはなく、繰り返す症状で悩み始めて初めていろいろな情報を集め始める、という傾向があるからです。
アトピー性皮膚炎の場合、発症要因と悪化要因は、異なることもありますから、初期の段階で「いかに治すか」ということを考えることは大切でしょうね。