七夕の日にアトピーを考える

今日は、七夕じゃの。

 

 

 

 

 

 

                                
調べてみると、七夕の話は、日本や中国以外にもあるようじゃが、細部は国によって異なるようじゃ。
題材が同じでも、それを伝える国によって、内容が異なるのは、面白いところじゃの。
おそらく、伝承が始まったときの内容と、今、伝わっておる内容は全く同一ではなく、少しずつ変化しておるのじゃと思うが、そういった変化は、人々の生活習慣の中で加わってきたことを考えると興味深いところじゃ。

アトピー性皮膚炎についても、疾患自体が一般的に認知されるようになってから、まだそれほど長い時間が経っておるわけではない。
もちろん、疾患自体は古くからあったようじゃが、対人口比率で考えると、ここ十年~二十年で急激に増加してきたのは確かじゃやろう。

昔から存在していたにも関わらず、ここ最近で急激に増加した、ということであれば、やはり疾患そのものの原因は、昔と比べて現在の方が「多くなっている要因」に求めるのが自然なのじゃろう。
もちろん、その要因が単独ではなく、また、複数の要因の組み合わせにより、その影響の現れ方が異なる場合、それを読み解くのは容易ではない。容易ではないからこそ、いまだに、アトピー性皮膚炎、という疾患自体の「全体像」がはっきりしていない、ということにつながっておるのじゃろう。

少し前のブログでも、アトピー性皮膚炎の簡単な歴史について書いてみたが、アトピー性皮膚炎が、増加し始めたころは、疾患としての認識は「アレルギー疾患」の位置づけじゃった。
ぜん息、鼻炎など、他のアレルギー疾患と同一ラインの中の一つと考えられたわけじゃな。
その大きな理由は、アトピー性皮膚炎の炎症が生じる原因に「IgE」が関わっていたこと、そして、同じくIgEが関わる疾患がアレルギー疾患が主であったことにあるのじゃろう。
また、その治療方法も、炎症を抑える薬剤が功を奏したのも、アレルギー疾患としての位置付けになった要因の一つと言える。

じゃが、その後、患者数が増加することで、当初考えられていた病態とは違うケースが増え始めた。例えば、IgEが標準値内でも症状が強く現れておったり、逆にIgEが標準の十倍以上あっても、アトピー性皮膚炎はもちろん、他のアレルギー疾患の症状を含めて現れていないケースが出てきたことで、アレルギー疾患以外の原因も模索されるようになってきたように思う。

先日のブログに書いたように、アトピー性皮膚炎は恐らく何タイプかに分別されるのではないじゃろうか?
一つは、アレルギー的な要因が強く現れておるタイプ。食物アレルギーなどを併発している乳幼児に多いパターンじゃな。
もう一つが、皮膚のバリア機能の低下をきっかけに、アトピー性皮膚炎の症状が現れてくるタイプで、これは乳幼児期のアトピーがいったん収まってから成人になって再発、あるいは、成人以降で初発するようなタイプに多いと思うの。
もちろん、全く他のタイプ、というのもあるじゃろうし、両者が入り混じっていることもあるし、成人以降の発症でもアレルギー的な要因が強いタイプもおるのじゃろうが、ざっくりと分けると、こうした分類になるように思う。

最近では、皮膚の角質層における水分保持機能に着目した、セラミドやフィラグリンの不足がアトピー性皮膚炎の方に多く見られることから派生した研究、あるいは、90%以上のアトピー性皮膚炎の人に見られる黄色ブドウ球菌を中心とした研究などが進むことで、アレルギー的な要因以外の捉え方も多くなってきておる。

最初に、七夕の話に少し触れたのじゃが、今とは違い記録媒体も安定していない昔の時代、伝承のほとんどは口伝え、だったに違いない。したがって、話が伝えられていく中で、伝える人、伝えられる人、それぞれの主観が入ることで、大元の話とは少しずつ変化してきたことも否めないじゃろう。
アトピー性皮膚炎も、増加してきた当初はアレルギー的な要因が中心で、今は、皮膚機能の研究が中心になってきておるが、あと10年たてば、さらに違った原因や見方が研究され、実証されても不思議ではないじゃろう。

どうしても、病気の治療は、白か黒、治るか治らないか、といった二者択一で結果を求めることが多いと思うが、特にアトピー性皮膚炎のように、複合した原因が絡み合うような疾患の場合、一つの原因に対する治療が、他の原因に対する治療にマッチしていなければ、症状が一進一退することも多く、二者択一では結果が求めづらいこともあるじゃろう。

ヒトの体は「正直」じゃ。
風邪を引けば熱が出る。お酒を飲み過ぎれば頭痛が残る。睡眠不足が続くと目の周りにクマができる。
アトピー性皮膚炎による「痒み」という症状も、その症状が現れる(結果)ようになった「原因」により生じておることは確かじゃろう。
原因の特定は、なかなかに難しいものじゃが、増加してきた背景を考えると、今の社会生活の中に、その原因の多くが潜んでおることも確かじゃろう。
生活環境と生活習慣、今の体にとって、どういった影響(良い影響、悪い影響、いずれも)を与えておるのかをしっかり考えていくことは大切じゃろうの。

                       
おまけ★★★★西のつぶやき

今日の博士のブログには、IgEの話が出てきたが、血液検査における基準値とは、その基準が全ての人に100%当てはまる、というものではない。
なぜなら、基準値を求めるために行われている作業とは、「健康そうに見える人」を集めてきて検査を行い、高低それぞれ25%を除外した数値が基準値となっているからだ。
もっとも、目安となる指標として「基準値」は大切なものであることは確かなのだが、実際の症状に比例していない場合、基準値以外にも目を向けることは必要になってくるのではないだろうか。