皮膚のバリア機能とアトピーの関係とは?(1)

ここ数年、アトピー性皮膚炎の原因は、大きく変化してきたように思うの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
20年以上前までは、アトピー性皮膚炎という言葉自体が、まだ浸透しておらず、疾患自体もアレルギー疾患のⅠ型(即時型)に分類されることが多かったように思う。
その後、アレルギー疾患のⅣ型(遅延型)の要因もあることが分かり、Ⅰ型とⅣ型が混合した形、とも言われ、ちょうどその頃は、乳児期はアトピー、幼児期は小児ぜんそく、成人になると花粉症、といった「アレルギーマーチ」という言葉がいわれるようになった。

しかし、患者数が増えてくるとともに、研究が進んだこともあり、以前は、アトピー性皮膚炎とぜん息は、標的とする器官が「皮膚」か「気管支」かの違いに過ぎず(花粉症なら鼻腔、結膜炎なら目(結膜)など)、その原因は同じとされていたものが、炎症を引き起こす過程は類似していても、その原因は異なることが分かってきた。

その頃、ステロイド剤による影響が一時期、問題視されるようになり、「脱ステ」という言葉がアトピー患者の間で言われるようになったものじゃ。
そして、新しい免疫抑制剤であるプロトピック軟膏が承認、発売される頃に、今度は、ステロイド剤は安全な薬(専門医が使用すれば)として皮膚科学会がガイドラインを作成、今度は積極的にステロイド剤の使用、そしてプロトピック軟膏発売以降は、その使用が推進されるようになる。

この頃、アトピー性皮膚炎の原因は、やはりアレルギー疾患であるという認識が強く、その治療も免疫抑制による選択がほとんどじゃった。
しかし、一度、脱ステによるアトピー性皮膚炎治療の実態を知った皮膚科医の中で、全面的なステロイド剤やプロトピック軟膏の使用に慎重になる医師が現れ始め、その頃から、アトピー性皮膚炎の原因として、皮膚の機能(バリア機能)に関係する論文などが増え始めたものじゃ。ちょうど、数年前ぐらいになるかの。

そして現在は、アトピー性皮膚炎に対して、盲目的なステロイド剤治療を行う医師は激減したように思う。多少、プロトピック軟膏を中心に積極的な薬剤治療を行う医師はおるから、二分されている現状とも言えるが、十年前と比べると、アトピー性皮膚炎の治療として「皮膚の治療」だけでなく「生活環境」「生活習慣」を重視する医師が増えてきたように思うの。
そして、そうした生活環境や生活習慣を重視する医師は、ステロイド剤やプロトピック軟膏など免疫抑制系の薬剤は「必要最低限」に留める傾向があるようじゃ。
もっとも、皮膚科医の診療報酬制度を考えると、保険点数がつかない治療を行うことが難しく、基本的に薬剤の処方を行いながら、という姿勢は変わらなかったようじゃが、実際の薬剤使用においては、連用をできる限り避けるように指導する医師が増えてきたと思うの。

ステロイド剤やプロトピック軟膏など、免疫抑制剤がアトピー性皮膚炎治療の主体から少しずつズレ始めてきた背景の一つには、やはりアトピー性皮膚炎という疾患そのものが、アレルギー疾患という要因以外が重視されるようになってきた、ということも関係sているのじゃろう。

では、アレルギー疾患以外の要因が何か、ということについては、長くなるので続きは明日じゃ。

                      
おまけ★★★★西のつぶやき

一つの疾患に対する治療法は、常に研究がなされ、最適なもの、あるいは新しい方法へと変化していく。
特に新しい方法に変化していく中では、その「方法」による「影響」が生じることもある。
あまり具体的に書くことはできないが、アトピー性皮膚炎も新しい治療法が提案される過程の中で、多くの軋轢を生んできたようだ。
治療法ありき、なのか、患者ありき、なのか、結果は同じところに結び付くのかもしれないが、その結果が正しく結び付かない場合、その「悪い影響」は患者が背負うことにもなる。
治療は、あくまで治療を行う側のためにあるのではなく、治療を受けるための側にあることは忘れてはならないだろう。