米国の永尾先生を取材しました。

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

                   
今年の4月22日に慶応義塾大学医学部から「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす」というプレスリリースは、ニュースなどでお聞きになった方も多いのではないでしょうか?
今回、あとぴナビでは、このリリース内容の詳細を知るべく、慶応義塾大学医学部に取材を申込み、研究の主体である米国National InstitutesHealthの永尾圭介博士が取材を受けていただくことになりました。

そして、先日、Skypeを使って永尾博士にお話をお伺いいたしました。大変興味深い今回の研究報告は、米国科学雑誌「Immunity」から4/21に電子版で発表されておりますが、一般の方には専門用語も多く、また英語で書かれた文章のため、今回お聞きした内容を元に記事にまとめてあとぴナビ秋号(9/1発行)にて紹介する予定です。また、速報版を来月(7月)のあとぴナビレターにてお知らせいたします。

今回は、先日取材させていただいた内容を、大切な部分と思われる要点のみかいつまんで紹介したいと思います。
まず、慶応義塾大学のプレスリリースは、Webにてご覧いただけますので、そちらをご覧ください。

                            

●アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす(慶応義塾大学)
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000t3i7-att/20150422_nagao.pdf

                       
そして、昨日の取材の際に永尾先生に資料を用いてレクチャーいただいた研究報告の要点は下記の通りです。

                         

●研究報告の要点

1.アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、正常な皮膚細菌巣にみられる多様性に満ちた菌種で覆われた状態とは違い、黄色ブドウ球菌とCorynebacterium bovis(C bovis – 真正細菌の一種)がほとんどを占めるようになる

2.黄色ブドウ球菌が湿疹病変を促進、C bovisがTh2反応を示すことでIgE抗体を産生するため、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因となっている。

3.マウスによる実験結果では、この黄色ブドウ球菌とC bovisで皮膚の菌種が占められるようになる原因は、皮膚の表皮を発育させる因子(EGF)、もしくはその受容体(EGFR)が欠損することにあることが分かっている。

4.2種類の薬の組み合わせによる治療を、上記のマウスに行ったところ、抗菌治療を行うことで、アトピー性皮膚炎の症状がなくなり、同時に、黄色ブドウ球菌やC bovisも減少、正常な肌の菌種のフローラに近づくことが分かった。

5.しかし、一度、抗菌治療を行い状態を落ち着かせたマウス(EGFを欠損させたマウス)に対して、抗菌治療を中断して無治療状態にすると、黄色ブドウ球菌とC bovisが増えてきて、症状も悪くなり、さらにその症状はリバウンド症状のような状態を示している

6.これらのことから、皮膚の細菌巣が異常な状態に陥ることが、黄色ブドウ球菌やC bovisなどアトピー性皮膚炎の方に特有の菌種を増加させることで、皮膚症状を悪化させる原因となっている。

7.いったん、皮膚の細菌巣が乱れると、炎症や痒みを誘発、そこで掻き壊しが生じることで、さらに皮膚の細菌巣が乱れる、という悪循環に陥ることになる。

8.皮膚の細菌巣を異常な状態へと陥らせないための対策が必要になる。

                                    
簡単に説明すると、こういった流れになると思います。
先生の方では、皮膚の細菌巣を異常な状態へと陥らせない対策としては、ステロイド剤などの薬剤で行うことは炎症を落ち着かせるメリットはあっても、細菌巣を乱す働きが薬剤にあるため、使用中断による症状悪化がみられやすくなり、あまりお勧めはしておられませんでした。
それよりも、一日二回の入浴で皮膚を清潔に保ち、適切なスキンケアを行う、といった皮膚の適切なケアを行う方が良いでしょう、とのことでした。

今後、この皮膚の細菌巣を正常に保たせるために、どういった手段があるのかを研究されていくそうです。
皮膚の細菌巣を正常に保たせる方法であれば、ステロイド剤やプロトピック軟膏などにみられる副作用もないため、患者の方にとっては、アトピー性皮膚炎の原因の治療として「安全性が高い」方法として行えるようになるかもしれません。
期待したいですね。

                               
おまけ★★★★北のつぶやき

今回書いたまとめは、私どもで取材した内容をまとめたものですから、もし、永尾先生の本来の趣旨と違う部分があった場合にはご容赦ください。9月号で掲載する要旨全文は、永尾先生に監修いただきますので、詳しくはそちらをご覧いただければと思います。