アトピーに黄色ブドウ球菌対策が有効か?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
アトピー性皮膚炎患者の多くが黄色ブドウ球菌罹患していること(90%以上)、さらに黄色ブドウ球菌から排出されるデルタ毒素が、アレルゲンとは関係なくIgEを増強、アトピー性皮膚炎発症の一因になっていることは、2013年にネイチャーに論文が投稿されていて、あとぴナビでも昨年の秋に紹介しました。
今回、それを裏付けるような研究が慶応大学の医学部で発表されていましたので、紹介したいと思います。

                               
●黄色ブドウ球菌対策が有効か=アトピー性皮膚炎―慶大など
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150422-00000003-jij-sctch

                                

アトピー性皮膚炎とよく似た症状を示すマウスを遺伝子操作で生み出したところ、皮膚に生息するさまざまな細菌群の中で黄色ブドウ球菌が異常に増えて発症に至ったと、慶応大と米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが21日付の米科学誌イミュニティ電子版に発表した。
アトピー性皮膚炎の患者では、症状がひどくなると皮膚の細菌群の半分以上が黄色ブドウ球菌で占められる例が知られる。今回のマウス実験の結果から、皮膚の細菌群を正常化することが新治療法になる可能性が示された。ただ、細菌を退治する抗生物質を使うと、腸内の細菌群に悪影響が及ぶとみられ、工夫が必要になるという。
慶応大医学部の永尾圭介元専任講師らが、皮膚の細胞の分化や機能を調節する酵素「ADAM17」ができないマウスを生み出したところ、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のような症状を示した。
離乳直後から抗生物質を投与し続けると皮膚の細菌群が正常な状態を保ち、皮膚炎の発症を抑えられたが、10週目で投与をやめると黄色ブドウ球菌が増えて発症した。

                                    
今回の発表では、黄色ブドウ球菌が増殖すると、なぜアトピー性皮膚炎が発症するのか、その機序にまでは触れられておりませんが、ネイチャーの論文を重ね合わせると、アトピー性皮膚炎が増加する部分の記述は似ており、やはりデルタ毒素が関係している可能性は高いように感じます。
この黄色ブドウ球菌による感染症は、アトピー性皮膚炎の発症要因となるだけでなく、症状の悪化要因にもなります。
注意して欲しいのは、黄色ブドウ球菌の感染症が見られないアトピー性皮膚炎患者も1割程度はいることから、この黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎全てに関わる、というわけではないことでしょう。
また、記事の最後では予防として抗生物質の投与を行っていますが、記事中にある皮膚の常在菌のフローラを乱すマイナス点以外にも、黄色ブドウ球菌の特徴して、抗生物質に耐性を持ちやすい、というものがあり、実際にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、院内感染として問題になることも多く、安易な抗生物質の乱用には注意が必要でしょう。

とはいえ、アトピー性皮膚炎の原因と症状の悪化が、アレルギー的な要因以外に目を向け、広くアトピー性皮膚炎の方の状況をカバーできることになることは、今後のアトピー性皮膚炎を解決するための道程には必要なことは確かです。
今後の研究を見守りたいと思います。

                         
おまけ★★★★北のつぶやき

この黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎の発症に関係している、というネイチャーの論文は昨年のあとぴナビの特集でご覧いただけます。
興味のある方は、下記のバックナンバー(電子版)をご覧ください。
※「アトピーと感染症の最新研究」(14~17P)

●電子版あとぴナビ2014年10月号
http://www.atopinavi.com/eb/201410_navi/index.html