アレルギー薬の長期連用が認知症に関係する?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
さて、薬物はベネフィットに応じたリスク(副作用)があることは、よく知られていますが、アレルギーで用いられる薬剤のリスクに関する海外の記事がありましたので紹介したいと思います。
            
          
●不眠症・花粉症などの一般薬の過剰摂取で認知症のリスクが高まることが判明
http://gigazine.net/news/20150127-dementia-drugs/
        
不眠症・アレルギー性鼻炎などの症状を緩和するために用いられる一部の薬で、長期間にわたって過剰に服用することで認知症が引き起こされるリスクが存在していることがわかりました。
         
■BBC News – Dementia ‘linked’ to common over-the-counter drugs
http://www.bbc.com/news/health-30988643
   
この報告書は米国医師会が発行する医学雑誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)」に掲載されたもの。以下のリンクから参照できる報告書では、不眠症やアレルギー性鼻炎、抑うつ症などに対処する抗コリン薬を年配者が長期間にわたって過剰に服用することによって、アルツハイマー症などの認知症を発症するリスクが飛躍的に増加する傾向が明らかにされています。ただし、別の専門家は「パニックになるべきではない」との助言を寄せています。
         
◆過剰な摂取で高まる発症リスク
         
一般的に全ての薬には多かれ少なかれ副作用が存在しているもので、それは今回取り上げられている抗コリン薬にも同様のことがいえます。抗コリン薬は、脳内で情報を伝達する神経伝達物質のアセチルコリンが受容体に結合するのを阻害する働きを持つ薬物なのですが、その副作用として口の渇きや記憶障害などの症状があることが以前から知られてきました。
今回発表された研究結果では、そのような副作用に加えて認知症の発症リスクが高まっている状況との因果関係が見受けられることが明らかにされています。
調査を実施したワシントン大学のShelly L. Gray医学博士らによる研究チームでは、65歳以上で認知症の兆候を示していない被験者3434名の健康状態を追跡調査することでその影響の実態を調査しました。チームでは、各被験者の診療記録および投薬記録から抗コリン薬の投与状況を調査。そしてその後に認知症と診断された状況を比較してその影響の度合いを調査しています。
その結果、最も多く服用されていた薬は、抗うつ薬や花粉症の症状などを和らげたり睡眠補助薬としても用いられる抗ヒスタミン薬、そして失禁抑制薬などだったことがわかり、さらにそのおよそ20%は医師の処方箋を必要とせずに購入できる一般用医薬品(OTC医薬品)だったことが明らかになっています。調査を行った被験者のうち、797名が認知症の症状を発症しました。
調査結果をもとに研究チームは認知症発症のリスクが高くなるケースを、「1:抗うつ薬のドクサピンを1日あたり10mg」「2:睡眠補助薬のジフェンヒドラミンを1日あたり4mg」「3:尿失禁治療薬に含まれるオキシブチニンを1日あたり5mg」のいずれかを最低でも3年以上にわたって摂取した場合と見積っており、医師や薬剤師に対しては予防手段の検討や別の治療方針の採用を助言しています。また、仮に別の手法が見つからない場合には、上記の薬剤の投与を可能な限り少量かつ短期間とすることを求めています。
Gray博士は治験者の数名から死後解剖の承認を得ており、「実際の脳の状況を調査することで結果を裏付けるような影響の存在があるか確認したい」と語っています。
        
◆実際の因果関係の調査はこれから
       
この結果に対し、イギリスのAlzheimer’s Research UK(英国アルツハイマー研究所)のSimon Ridley博士は「興味深い結果ではありますが、それらの薬が認知症を引き起こしたという証明はなく、決定的なものではありません」と語っています。また、同研究所のDoug Brown博士は以前からも同様のリスクに対する懸念が存在していたとしたうえで、「まだ現実のものであるかどうかはわかりません。仮に本当であった場合でも、長期的な服用によるものなのか、それとも短期的な服用で生じた限られた事象なのかは明確ではありません」として、薬の服用に潜んでいる危険性を正確に理解するための徹底的な調査を行う必要性を述べています。
Brown博士はまた、医師や薬剤師に対してはこの潜在的な因果関係について理解を深めること、そしてこの件について不安を持っている人はまずかかりつけの医師と相談し、自らの判断で薬の摂取をやめないようにとアドバイスを行っています。
この問題については、さらなる調査のための資金援助が集まり始めており、上記の薬やそれ以外の薬と認知症発生との関連性に対する調査が行われることになっています。また、イギリスの医薬品・医療製品規制庁(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency)もこの件の推移に注目するとしています。
          
          
もうじき花粉症の季節がやってきます。また、アトピー性皮膚炎の方の場合、抗アレルギー薬を長期間連用されている方もおられると思います。
記事には、リスクの度合いが分からない以上、慎重に判断すべき、とも書かれていますが、少なくともリスクが存在することは確かだと思います。
最近、認知症は高齢化社会の中、増加傾向にあります。
もしかすると、その一因が、こうした薬剤の長期連用にあるのかもしれません。
いたずらに恐れる必要はありませんが、情報として知っておいてもよいでしょう。

                     
おまけ★★★★東のつぶやき

アレルギー薬は、神経伝達物質の一部をブロックすることを目的に作用しています。
当然、アレルギー反応に関わる神経伝達物質は、その反応のみの働きしかないわけではないため、他の働きをブロックすることもあるのでしょう。
いずれにしろ、薬剤の長期連用には、ベネフィットとリスクのバランスを考えることは大切でしょう。