掻けば掻くほど無性に痒くなる?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
アトピー性皮膚炎の方の多くは、経験があると思いますが、それまではなんともなく普通に過ごしていたのに、いったんある場所を掻き始めると、次から次へと痒くなり始め、血が出ても掻くことが止まらなくなる、といった状況が生まれることがあります。
こうした「痒みの連鎖」に関する記事をWebで見つけたので紹介しましょう。
         
            
●なぜ皮膚は掻けば掻くほど「無性に」かゆくなるのか?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141024-00010000-php_s-bus_all

■「イッチ・スクラッチサイクル」とは

かゆみを語るうえで、もっとも重要な問題がある。それが、「無性にかゆくてたまらない状態」を引き起こす最大の元凶である「イッチ・スクラッチサイクル(itch-scratchcycle)」だ。
「イッチ(itch)」とは「かゆみ」、「スクラッチ(scratch)」は「掻く」という意味である。そしてイッチ・スクラッチサイクルとは、「かゆい」→「掻く」→「掻いた部分が傷つく」→「傷ついた部分に炎症が起きる」→「症状が悪化する」→「もっとかゆくなる」→「さらに掻き壊す」→「掻いた部分がもっと傷つく」→……という悪循環のことを指す。
要は、掻けば掻くほどかゆくなるということだ。
イッチ・スクラッチサイクルについて説明する前に、大前提となる皮膚の基本構造について簡単に書こう。
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっている。
表皮は、一番外側で外界と接している部分。真皮はそのすぐ内側にあり、コラーゲンなどのタンパク質がその大部分を占めている。皮下組織は、皮膚の三層構造のうちもっとも内側にある組織で、大部分が皮下脂肪からなる。なお、表皮の一番外側の外界と接している部分は、「角質層」と呼ばれ、皮膚のバリア機能を果たしている。
かぶれや虫刺されなどは、表皮で起こる。また、じんましんは真皮で起こる炎症である。一口に「皮膚の炎症」といっても、病気によって違いがあるのだ。
イッチ・スクラッチサイクルに話を戻そう。イッチ・スクラッチサイクルは、特にアトピーのようなアレルギー性のかゆみに深く関係している。
図の左、「かゆみ」の部分を見てほしい。
アレルギーで最初に起きる反応は、「マスト細胞の脱顆粒」である。「マスト細胞」や「脱顆粒」についての詳細は次章に書くが、ここでもごく簡単に説明しておこう。
たとえば花粉のアレルギーのある人が、花粉と接触すると、全身のどこにでも存在するマスト細胞に花粉の分子がくっつき、それに誘発されてマスト細胞中の顆粒が放出され、中にあったヒスタミンが組織中にばらまかれる。するとかゆくなる。これが「かゆみ」の始まりである。
そして、「掻破は」つまり「掻く」「掻き壊す」が起こり、「表皮細胞が傷つく」。すると今度は、傷ついた表皮の細胞を修復するために、「サイトカイン」と呼ばれる「インターロイキン1(IL-1)」や「腫瘍壊死因子α(TNF-α)」といった化学伝達物質が出てくる。そしてこれらのサイトカインが出ることで、炎症が起き、「皮膚炎の悪化」を呼ぶ。
また、サイトカインが出たことで、「軸索反射」という反射も起きる。軸索反射についても、改めて次章で書くが、かゆみを増幅するしくみの1つと考えていただきたい。
掻いたことで、さらにその部分の炎症が強くなる。そして、「皮膚炎が悪化」し、さらに「かゆみ」が増す。そしてさらに掻き壊す。これを延々と繰り返していけばどんどん皮膚炎は悪化し、かゆみから抜け出せなくなっていくだろう。
無性にかゆくてたまらない、掻いても掻いてもすぐにまたかゆくなる。つまり、このイッチ・スクラッチサイクルを抜きにして、かゆみは語れないのだ。
         
         
こうした連鎖的な痒みの多くは、角質層を掻き壊して真皮までダメージが及んだ段階でようやく止まります。
これは、痒みが収まったから、ではなく、真皮まで掻き壊したことで、痛みが強く生じるようになるからです。
なぜなら、痒みと痛みは同系統の神経経路で脳まで伝えられますが、体は痒みよりも痛みの方を優先するため(症状としてのリスクは痛みの方が高いため)、痛みが生じるようになると痒みが「隠れる」ことになるからです。
例えば、顔が痒くてつい「叩いて」しまう、というのも痒みを痛みで紛らわそうとする無意識の行動の一つと言えるでしょう。
無論、この状態で痛みがあるから痒みの炎症がなくなったわけでなく、単に痒みが脳まで伝わりづらくなっていただけ、ということですので、痒みを痛みで「置き換える」ということに、さほど多くの意味合いはありません。
したがって、痒いのを痛みで紛らわそうとする行為は、肌へのダメージを与えるだけで、得策の方法とはえいないことが言えるでしょう。
顔を叩く行為は網膜剥離のリスクもありますから、顔を叩くことは絶対に行わないように注意しましょう。

                         
おまけ★★★★東のつぶやき

痒みについて、以前よりも多くのことが解明されるようになりましたが、それでもまだ謎の部分はあります。
こうした痒みの経路から、痒みに対する解決の糸口が見つかることもあるかもしれません。
記事にあるような、イッチ・スクラッチサイクルもその一つと言えるでしょう。
ただ、注意いただきたいのは、痒みの連鎖反応がマイナスだからといって、痒みを抑える免疫抑制作用を持つ薬剤の治療を行うことが正しいのか、というと昨日まで大田君が書いていたように、ステロイド剤やプロトピック軟膏を使用することで生じるデメリットは、アトピー性皮膚炎そのものを悪化させる恐れがあるので注意が必要でしょう。