ステロイド剤が抱える問題点を間違えないこと(3)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は、今回のテーマのまとめを行いたいと思います。

昨日まで述べてきたように、皮膚科医のステロイド剤の副作用に対する見解は、薬剤そのものの副作用として捉え、それゆえに副作用の影響は小さい、ということで患者に説明するのが一般的です。
確かに、全身的副作用について、内服した場合の副作用で、外用の場合は、最強のステロイド剤を長期間使用する、など極端な使用を行わない限り、頻度が高い副作用とは言えないでしょう。
しかし、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因から考えたもっとも大きな要因は、昨日、書いたように、局所的副作用のところに書かれた、

・皮膚の感染症の誘発、増悪(にきび、カンジダ、ヘルペス等)

という部分にあります。
アトピー性皮膚炎の原因を考えた場合、アレルギー的な要因と皮膚機能の要因の二つがありますが、ステロイド剤が持つ働きをそれに加味すると、アレルギー的な要因に対してベネフィットの方が強くリスクは小さいと考えられます。
しかし、皮膚機能の要因で見た場合には、ベネフィットは炎症を抑え、掻かないことでバリア機能を維持させるという部分、リスクの部分は感染症を誘発しやすい、ということになりますが、このリスクの部分を皮膚科医は過小評価しているように思います。

特に、成人が突然アトピー性皮膚炎を発症したような場合、アレルギー的な要因よりも皮膚機能の要因の方が多く、そこには「感染症による症状の悪化」は少なからず影響を与えています。

感染症に罹患した場合、その治療法としてステロイド剤の使用は本来、適応ではありません。
医師によっては、炎症を抑えられることから、感染症に対してもステロイド剤を処方することがあるようですが、その場合、ベネフィットだけを受けられることは少なく、リスクである感染症を悪化させる、という要因は強く影響を受けていると考えてよいでしょう。

皮膚表面の状況がステロイド剤で「維持させている」ことが、患者自身にとっても、アトピー性皮膚炎そのものを治癒の方向に向かわせている、と勘違いした場合、繰り返し生じる炎症を常に薬剤で抑えることを目的としてステロイド剤が使われ、気がつくと、長期連用にいたっていた、というケースは実際の治療の現場では多く起きていると言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎の方が罹りやすい感染症は、主に黄色ブドウ球菌とヘルペスの二つがありますが、この両方の感染症ともに、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させやすい傾向を示します。
したがって、こうした感染症に罹患した場合、アトピー性皮膚炎の治療と感染症の治療は分けて考えて、優先順位的にはまず感染症の治療を行うことが必要になります。

アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の使用は(長期連用として)、どこに問題点があるのかを間違えないように考ることが大切でしょう。

                
おまけ★★★★北のつぶやき

ステロイド剤が抱える問題点、黄色ブドウ球菌のデルタ毒素の問題は、今月のあとぴナビの特集で取り上げていてます(14~17ページ)
興味のある方は、電子版でご覧ください。
●電子版 あとぴナビ2014年10月号
http://www.atopinavi.com/eb/index.html