寄生虫療法?注意を(2)

西だ。

 

 

 

 

 

 

 

                            
今日は昨日の続きだ。

アトピー性皮膚炎の免疫的な要因で考えると、その中心となるのはIgEだ。
IgEの本来の働きの一つには寄生虫に対する免疫としてのものがある。
つまり、寄生虫がいなくなることで、IgEが他の働き、つまり自己免疫反応を起こすことがアレルギーの原因となる、という考え方は以前からあった。
実際、日本でも害の少ない寄生虫をアトピー性皮膚炎患者に移植することで、IgEが本来の働きを取り戻し、アトピー性皮膚炎の治療に役立つ、ということで実際に臨床が行われたこともあるようだが、結局のところ定着しなかった。

その原因の一つは、まずアトピー性皮膚炎の原因は免疫システムのみが関わっているのではなく、皮膚機能の異常状態も大きな要因だったため、その要因が中心のアトピー性皮膚炎の人には効果がなかった、ということが挙げられるだろう。
もう一つが、本来、寄生虫との共生はヒトにとって普通の状態ではない、ということも考えられる。
菌群の場合、病原性の菌群とそうでない菌群に分けられ、病原性でない菌群はヒトとの共生により、メリットも生じる。
だが、寄生虫の場合、ヒトに対しては「無害」なものではない。
無害でないからこそ、免疫システムが働くわけだが、自然感染する場合は別にして、人工的に感染させた場合、その背景(寄生虫に感染するような生活環境)が元々別になっているため、体の働きが、ヒトが望む形だけで動いてくれるわけではない。

記事にも、ぜん息などには効果がなかった、とあるように、複数の原因が関わっている場合、一つの原因を解消させることが、全ての解決につながるわけではない、ということだ。
また同時に、寄生虫に感染することで生じる「マイナス点」が人体にどのような影響をもたらすのかが分からない以上、安易に寄生虫感染のみの方法を取ることは、リスクも相応にあると考えた方が良いだろう。

もっとも、こうした免疫のバランスを考えることだけでみれば、大切なことであることは確かだ。
ヒトは便利な生活を追い求めるあまり、「健康な生活」とは一線を画した状態の生活環境を作り上げることがある。
寄生虫も元々は、宿主があってこそ生き延びられる生物であり、宿主が受け入れなければその存在は難しくなる。
もし一つの「種」がそうした環境がなくなることで全滅した場合、その種に「依存」してきた他の生物にも影響が現れ、それが連鎖的に関係してくると、元々の宿主に対してもマイナスの影響が見られる、ということは決してあり得ない話ではない。
記事にある「寄生虫の不在が病気を引き起こしている」という部分は、決して無視してよい話ではないということだろう。

ただし、気をつけて欲しいのは、こうした治療法が肯定され、巷で行われていくようになった場合、それが行われてはじめて分かる「弊害」も考えなければならない、ということだ。
ヒトは生物である以上、環境に適応しようとする能力は備えている。
その能力が発現するまでに相応の時間はかかることが多いが、今の菌群が不在の環境、寄生虫が不在の環境にも「適応」することは十分に考えられる。

そうした中で、個々人の生活、そして生活環境を「健康」を前提に良い状態に維持、構築できることを考えることがもっとも大切なように感じる。

                          
おまけ★★★★博士のつぶやき

寄生虫や菌群の問題は、これからも多くの研究がされることじゃろう。
じゃが、おそらく、その研究は大元の問題を全て解決するまでには至らないように思うの。
西君が書いておったように、一つの病気に対して原因が一つの場合は、その原因を解消できれば問題は解決するが、一つの病気に対して原因が複数考えられる場合、一つの原因が解消されても病気の解決には至らない。逆に、「原因不明」として、解消された原因もその後、その問題意味が薄れる、といういこともある。
アトピー性皮膚炎はどちらかというと、単体の疾患と言うようり「症候群」的な意味合いが強い疾患じゃ。
グローバルな視点から考えていくことが必要じゃろうの。