フィラグリンの朝日新聞記事より(2)

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は昨日の続きです。
             
             
●アレルギー皮膚から?
(朝日新聞 2014年6月23日朝刊より)
                     
■免疫異常は「結果」
               
皮膚のバリアー機能との関連が疑われるアレルギーは皮膚炎だけではない。
天谷雅行慶応大医学部教授は「英国の乳児でピーナツバターのアレルギーが起きた。調べると、皮膚に塗るベビーオイルにピーナツオイルが含まれていた」という。
食物は外敵ではなく、体の中に取り込まなければならないものだ。食べるたびに免疫が排除しようとして病気になっていたら生きていけない。食物アレルギーは食べてなるのではなく、初めは皮膚から侵入してアレルギーが起きるのではないか。こんな説が有力になってきた。
国内でも、せっけんに含まれていた小麦のたんぱく質が元でアレルギーになり、小麦のたんぱく質を含む食品を食べてアナフィラキシーショックを起こす事件があった。
新説では、まず、皮膚のバリアー機能の欠陥が先にあって、初めは皮膚からアレルゲンが侵入して免疫を刺激。その後にアレルゲンが鼻に入ると鼻炎や花粉症、のどに入るとぜんそくになるというわけだ。免疫の異常は原因ではなく結果だということになる。
フィラグリンだけでは説明がつかない場合もあるので、バリアー機能に関わる遺伝子がほかにもないか探されている。
        
■保湿で発病率減
         
この説に基づき、皮膚のバリアー機能を高めてアレルギーを防いだり、治したりできるかという研究も始まっている。
国立成育医療研究センターの大矢幸宏医長らは、アトピー性皮膚炎の家族を持つ新生児を保湿剤で皮膚のバリアーを守るグループとそうでないグループに分け、調べた。バリアーを守ると発病したのは33%で、やらなかった場合の発病率54%に比べ約4割減らせた。
京都大の椛島健治准教授(皮膚科学)らは、皮膚のフィラグリンの量を増やす化合物を初めて見つけたと発表した。遺伝的にダニのアレルギーで人間のアトピー性皮膚炎とそっくりな病気になるマウスに与えると症状がよくなった。人間の患者で効果を試す試験も始まっており、「5年後ぐらいには実用化できるのではないか」という。
アトピー性皮膚炎以外のアレルギーでも皮膚のバリアー機能が回復するとアレルゲンの侵入が止まり、過剰な免疫反応が治まる可能性がある。バリアーを守るにはどうしたらいいか。天谷さんは「ごしごし体を洗いすぎるのをやめ、首から下はわきの下と股だけせっけんを使えばいい」と勧める。天谷さんの研究では人間の皮膚は軽く水で流すだけで汚れが落ちるようにできているという。
                 
               
皮膚の機能がアトピー性皮膚炎に大きく関わっていることは、記事からも分かります。
ただ、一つ考えなければならないのは、アトピー性皮膚炎の原因を皮膚機能だけに求めると、他の要因に目が向かなくなることでしょう。
記事の中でも、「フィラグリンだけでは説明がつかない場合もあるので、バリアー機能に関わる遺伝子がほかにもないか探されている」とありますが、あくまで皮膚にこだわり過ぎると、「原因不明」という言葉が出てくることになります。
例えば、食物アレルギーでアトピー性皮膚炎の症状が悪化することは古くから知られていることですが、例えば、ステロイド剤などで皮膚の機能をどれだけ正常な状態に保ったとしても、原因となる食物を摂取することで、皮膚に炎症が生じ、そこから痒みが現れて、掻き壊しからバリア機能が低下、悪化した状態になることがあります。
この場合、痒み自体の原因は皮膚機能ではなく、アレルギー的な免疫上の要因で起きているわけですから、いくら皮膚機能が正常でも「痒み」そのものが抑えられることはありません。
もちろん、皮膚機能が正常であれば、掻き壊しにある程度耐えられる、ということはありますが、アレルギー反応が継続、つまり原因となる食物を摂取し続ければ、掻き壊しが続き、結果的にバリア機能は耐えられなくなるでしょう。

今の皮膚科の研究は、一つの疾患の原因を一つに求める傾向がどうしても見られますが、アトピー性皮膚炎の場合、実際の臨床の見地から考えても、複数の原因が関係していると考えざるを得ない現状があります。
アレルギー要因だけ見ていても、「原因不明」となる痒みが生じるように、皮膚機能の要因だけ見ても「原因不明」の痒みは生じてきます。
多方面から、個々に異なる原因を考えていくことがアトピー性皮膚炎に対しては大切、と言えるでしょう。

                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

今回の記事は、皮膚の機能をスキンケアでどのように正常に保っていくか、という視点からみれば、有効な点が多いと言えるじゃろう。
問題は、東君が書いておるように、アトピー性皮膚炎の原因を皮膚機能だけに求めることが危険、ということじゃな。
まだ解明されていない要因が今後、見つかると、アトピー性皮膚炎の原因はさらに違うところにあった、ということがあるかもしれん。
それぞれの原因がアトピー性皮膚炎に関わる、という事実があったなら、その複数の原因が関わる疾患としてアトピー性皮膚炎を考えることが大切、ということじゃろうの。