虫歯があるとガンになりづらい?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                       
体が持つ免疫機能は、外敵と言える細菌やウィルス、真菌に対するヘルパーT細胞Ⅰ型(Th1)と、本来無害な非自己に対するヘルパーT細胞Ⅱ型(Th2)の二つに大別できます。
アトピー性皮膚炎が関係しているのはTh2の方ですが、体内で働く免疫機能は何種類もあり、それらは相互に影響を与えあっていることが分かっています。
例えばTh1とTh2もシーソーの関係にあり、Th1が上がればTh2下がる、Th1が下がればTh1が上がる、という相互関係が見られます。
もっとも、ステロイド剤を使用している方の場合、免疫機能、全てを抑制する働きによって、Th1、Th2の両方ともに下げる傾向がありますから、こうした免疫機能間のバランスも、他の因子により左右されることは確かでしょう。
こうした免疫機能間のバランスについて、興味深い記事がありましたので、紹介したいと思います。
              
             
●リスクが68%低下 「虫歯」がある人はがんになりづらい
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140522-00000009-nkgendai-hlth
          
虫歯というと、不潔、不健康といったネガティブなイメージを持つ人がほとんどだろう。涙が出るほど激しい痛みに襲われ、七転八倒した経験がある人もいるはずだ。だが、そんな虫歯が命に関わる重大病の予防に役立っているという。
虫歯が多い人はがんになりづらい──。思わず目を疑ってしまうような報告がある。米国で最も権威のある「米国医師会雑誌」に掲載された論文によると、虫歯の本数が多い人は、少ない人に比べて口腔や咽喉のがんになるリスクが68%も低かったという。
この論文の著者は、別に「歯槽膿漏(のうろう)などの歯周病はがんのリスクを高める」というデータも発表している。一体、どういうことなのか。「健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな!」(KADOKAWA)の著者で、「六号通り診療所」(渋谷区)院長の石原藤樹氏はこう説明する。
「虫歯と歯槽膿漏はどちらも口腔内の細菌感染症なので、同じ病気だと考えている人が多いのですが、実は異なる性質を持っています。虫歯はミュータンス菌などのグラム陽性通性嫌気性連鎖球菌による感染症です。この細菌が歯にくっついて歯垢しこう)をつくり、その中で増殖して砂糖などの炭水化物を分解して乳酸を出し、歯のエナメル質を溶かします。一方、歯槽膿漏は歯の土台の部分にグラム陰性嫌気性菌という別の細菌が増殖することで起こります。原因となる細菌の種類が違うのです」
            
■歯周病はしっかり予防すべし
             
原因菌の違いは、細菌の感染と戦う免疫反応の違いを生む。免疫の調整役である〈ヘルパーT細胞〉というリンパ球には、Th1、Th2、Th17といった種類がある。虫歯では主にTh1が免疫反応の主体となり、歯槽膿漏などの歯周病ではTh2とTh17が主体になる。
虫歯に関係するTh1は発がんを抑制して体を守る方向に働き、歯周病に関わるTh2とTh17は逆に発がんを刺激して育てる働きがあることがわかっている。
つまり、虫歯菌を持っているだけならがんを抑制する免疫が高まり、がんになりづらくなる。歯周病はしっかりと予防して、虫歯菌だけとうまく付き合うことができれば、がんの予防につながる可能性があるのだ。
「論文では、口や喉のがんについての報告だけですが、歯周病はがんだけでなく糖尿病などの生活習慣病との関連も指摘されています。口腔内の環境が全身に影響を与えるということですから、虫歯に関わるヘルパー細胞が他の部分のがんを抑える可能性もあります」(石原氏)
だからといって無理に虫歯になる必要はないが、症状が軽い小さな虫歯なら無理して治療しなくていいかもしれない。抗生物質で虫歯菌を除菌すると、かえって免疫のバランスを崩してがんのリスクを増やすことも考えられる。
もちろん、発がんリスクを高める歯周病を予防するために、正しい歯磨きは大切だ。
             
                     
記事のポイントは、まず虫歯と歯周病は、原因菌が異なること、虫歯の原因菌は対応する体の免疫力の働きがガンの予防に役立つが、歯周病の原因菌に対応する免疫力は発ガンを刺激することがあるので、歯周病はしっかり対応しましょう、というところでしょうか。

このように、免疫機能には相互間の働きで、体に対してプラスやマイナスの要因が生じることが分かります。
アトピー性皮膚炎の場合、免疫機能の部分で考えると、例えば、熱が出る感染症(風邪など)にかかった場合、アトピー性皮膚炎の症状がいったん落ち着くことがありますが、これも、Th1とTh2のバランスの関係から生じていると思われます。

同時に、免疫機能を全て調整するような薬剤、例えばステロイド剤やプロトピック軟膏の場合、アトピー性皮膚炎に対するプラスの影響と同時に、他の要因に対するマイナス要因も考えておくことは大切でしょう。
これからの時期、皮膚の感染症が増えやすい季節ですが、感染症に対する免疫機能は主にTh1の働きによるものです。したがって、薬剤により免疫機能全体を抑えている場合には、感染症の対策はしっかり行うようにしたいところです。

                     
おまけ★★★★東のつぶやき

記事の最後に、多少の虫歯はあっても良いのでは?とありますが、アトピー性皮膚炎の場合、IgEが関わっていることが分かっていますから、以前、IgEの免疫が本来対応する寄生虫が体にいることで、アトピー性皮膚炎の症状が落ち着くのでは、という研究がなされたことがありますが、その後、特にそういった治療法が用いられることはありませんでした。
虫歯も、その対応で抗生物質を生じることはマイナス点になることは確かですが、だからといって虫歯を放置してよいか、というと、体調悪化にいたることを考えると、他の点でマイナス面がありますから、歯周病も虫歯も、まずはしっかり日頃の予防をしっかり行うことが大切であることは言うまでもありません。