新生児から保湿でアトピーリスクが3割軽減(3)

今日も昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

                       
今回の朝日新聞の記事で気になった部分について、最後に書いておきたい。

まず最初の方に書かれておる「アトピーは乾燥などで皮膚の防御機能が乱れると発症すると考えられている」という部分じゃ。
この書き方では、読者は「アトピーは皮膚の防御機能が乱れなければ発症しないのか?」というように捉えてしまうじゃろう。
こうした記事の悪い点じゃが、発表した国立成育医療研究センターは、アトピー性皮膚炎の原因が皮膚の防御機能の乱れだけにある、とは考えておらんはずじゃが、一つの原因と考えられる、とする注釈部分を書いておらんために、読者に誤認させてしまう危険性がある、ということじゃ。
また、最後にも「アトピーの発症はその後、食物アレルギーやぜんそくなどが次々と現れる状態のきっかけになると指摘されており」とある。これは「アトピーマーチ」と呼ばれた、アレルギーの症状が次々移り変わるケースについて指しておると思うのじゃが、実際の臨床において、ここでイメージしておるであろう「アトピーマーチ」の状態になる患者は全体の一部に過ぎない。
また、皮膚の防御機能の乱れからアトピーが発症、その後食物アレルギーも、というケースより、小児の状態において食物アレルギーから蕁麻疹が現れ、それを繰り返すうちに、皮膚のバリア機能が低下、掻き壊しによる乾燥状態もみられるようになって、アトピー性皮膚炎の症状になってくる、というケースもある。

また、今回の研究において、発症のリスクは確かに3割減少しておるかもしれんが、それでも乳液状の保湿剤を塗った子どもでも3分の1は、アトピー性皮膚炎の症状が現れておる。
今回の新生児から「適切なスキンケア」を行うことは、アトピー性皮膚炎の予防に対して大きな効果を得ることができると思えるからこそ、新生児からスキンケアを行っても「脱落(少々、表現が悪いかもしれんが)」してアトピー性皮膚炎が発症した患者が「スキンケアが無駄だった」と勘違いしないように、記事は書いて欲しい。

アトピー性皮膚炎の原因は、皮膚の機能だけにあるのではない。
免疫機能の異常状態も、同じようにその発症要因の一つとして関わっておる。
例えば、最近、良く見かける腸内細菌の乱れによるアレルギー発症の研究は、今回の研究とは逆に、皮膚機能には着目しておらんことが多い。

本当ならば、皮膚機能の原因と免疫機能原因、そしてそれ以外に考えられる要因を大局的な観点から統合的に考え、個人差により原因が異なるケースを包括して治療や対策、そしてケアが行えるような仕組みづくりも、ぜひ考えて欲しいと思うの。

ただ、今回の研究結果で、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアの重要性が明らかになったのは良いことじゃろう。
あとは、その「スキンケア」の内容にも(保水と保湿の違い、など)研究が及んでくれると良いと思うの。

                            
おまけ★★★★博士のつぶやき

新生児のアトピー性皮膚炎の予防は、今回の研究で分かった皮膚機能に対するケアと同時に、免疫機能へのケアも考えることが大切じゃ。
免疫機能のケア、とは、簡単に言えば、成長途上にある新生児の免疫機能を「正しく成長させる」ということじゃ。
睡眠をしっかりとる、体を動かせてしっかり遊ばせる、そしてバランスの良い食事をしっかり食べさせる、昔から言われておる「良く寝て、良く食べて、良く遊ぶ」が実践できる生活のことじゃな。
アトピー性皮膚炎を予防するためには、毎日の生活習慣も大きく関わっておることは忘れないようにして欲しいものじゃ。