今の状態で、お薬を使うべきか?(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、昨日の続きです。

昨日、述べたように、アトピー性皮膚炎に対して、ステロイド剤が有効かどうかは、多くの場合、その原因が「単発」なのか「複合」してあるのか、により異なってくる面があると言えるでしょう。
ただ、炎症が継続することで、掻き壊しも続きますから、バリア機能が徐々に低下した状態を継続するという悪循環は、皮膚機能にとっても良い状態とは言えません。
そうした観点から見れば、皮膚の状態が悪い場合に、ステロイド剤などの効果的な薬剤で炎症を抑える、という治療法は必要な場合もあることは確かです。

難しいのは、こうしたステロイド剤で「治せる部分」と、ステロイド剤で「治せない部分」が、どのくらいの比率で抱えているのかを知ることが困難な場合が多く、実際には、ステロイド剤治療を行ってみないと、その結果が分からない、という部分でしょう。

ステロイド剤の場合、炎症を抑える効果は高くても、アトピー性皮膚炎という病気そのものを考えた場合、IgEを増強させる恐れがあったり、先に述べた感染症を増悪させる恐れがありますから、効果とリスクのバランスを見極めることが大切になってきます。

また、こうした皮膚機能は、多くの場合、適切なスキンケアを行うことで徐々に解消される部分を持っています。問題は、解消までに時間がかかることで、その間、一定の症状を持続させてしまう、という部分がありますが、薬剤による「ダメージ(リスク)」を受ける恐れがない、というメリットもあります。

つまり、ステロイド剤を使用するかどうかは、自分の症状に対してステロイド剤が有効に働く部分、そしてリスクが生じる部分を見極めて、リスクがほとんど生じない、という場合には(多くの場合、原因が単発、あるいは軽微な場合)、ステロイド剤で短期に症状を抑えてしまう、という治療は有効と言えます。
原因が複合して考えられる場合、あるいは感染症が悪化した状態で持続している場合には、ステロイド剤を短期で効果的に使うことが難しいと考えられるため、仮にステロイド剤を使用するにしても他の方法を併用して行うこと、そして一定期間以上のステロイド剤の使用は慎重に行うことが必要になってくるでしょう。

多くのアトピー性皮膚炎の場合、ステロイド剤やプロトピック軟膏による治療は、「アトピー性皮膚炎を治す」という目的から考えると、必要不可欠ではありません。
なぜなら、それらの免疫を抑制させる薬剤は、先に述べたように、間接的にアトピー性皮膚炎に有効性をもたらすことはあっても、直接的にアトピー性皮膚炎を治す効果をもたないからです。
例えば、風邪を引いて高熱が出た場合、熱を下げる解熱剤は「不可欠」なものかというと、決してそうではありません。熱そのものは風邪の原因である細菌やウィルスの体内で増殖する環境を妨げる目的を持っており本来、「風邪を治すために生じている症状」であるからです。
しかし、極端に体力が弱った状態の方が、高熱で消耗が続くことが結果的に生体に大きな影響をもたらすこともありますから、そうしたケースにおいては、仮に細菌やウィルスの増殖を妨げることができなくなっても、消耗を避けることを優先することが必要な場合には、「熱を下げる」ことを優先して行うことが必要になることもあります。
アトピー性皮膚炎の場合も、炎症反応を抑えることを優先させた方が良い状態の場合もあり、ステロイド剤の治療が不要、ということでもありません。
ただ、症状を抑える治療が病気を治す治療である、といった考え方には注意しないと、病気の原因が解消されない=炎症反応が繰り返し起こる、といった場合に、常にそうした炎症反応を抑えるためにステロイド剤を使い続けることになり、ステロイド剤を使用することによるリスクが高まる「長期連用」に至ることが懸念されることになります。

では、今回ご相談いただいた方はどうすれば良いのでしょうか?
長くなったので、続きは明日にしたいと思います。

                           
おまけ★★★★南のつぶやき

アトピー性皮膚炎を治すために、「症状」に対する治療を行うのか、「病気」に対する治療を行うのかは、実は大きなポイントになります。
多くの方は、症状の治療=病気の治療、と考えることが多いのですが、ここがイコールでない場合、受けていた治療が「誤りだった」と考えてしまうことがあります。
でも、医師は治療を行う場合、「症状の治療」だと意識して治療を施していることが多く、病気が治ることはどちらかというと、症状を抑えている間に自然に治ってくれる、ことを半ば期待している面があります。
そのため、病気が治りにくい疾患に対しては「つきあっていく」という言葉を使うことになりますが、患者は「つきあっていく」ことを望まず、あくまで「病気を治す」ことを最終目的地点においていることで、齟齬が生じることもあるようです。
病気と症状の違いは、患者も認識するようにすることが必要かもしれませんね。