今の状態で、お薬を使うべきか?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、先日いただいたご相談を紹介いたします。
         
       
●ご相談内容
      
5歳の男の子で、生後間もないアトピーから1年ほど、ステロイド剤で治療、薬が効かなくなってきて強いステロイド剤に変わっていくので心配になって、Webでステロイド剤の危険性を知って使用を中断。リバウンド時期は乗り越えた。一年ほど小康状態を保っていたが、最近、首と肘、膝の裏側がジュクジュクして、感染症を心配して皮膚科医を受診したところ、ステロイド剤を処方された。先生からは一度、炎症を抑えた方が良い、と言われたのだが、ステロイド剤を使って炎症を抑えても良いのか?また昔のように、ずるずるとステロイド剤に依存していくのでは?と心配している。
        
        
上記のような内容のご相談でした。
こうした相談は割と多くあります。
まず、基本的に「炎症を抑える」という目的を優先するならば、ステロイド剤は有効性が高い薬剤と言えるでしょう。
短期間の使用であれば、基本的に大きなリスクを受けるケースも少ないと言えます。
問題は、「炎症を抑えた後にどうするのか?」ということになります。

ステロイド剤は免疫を抑制することで炎症を抑え、かゆみを軽減させる薬剤ですから、炎症そのものは効果的に抑えられます。ただ、「炎症を起こしていた原因」そのものがステロイド剤で解消できるわけではありません。
ステロイド剤で炎症が引いて、そのまま良くなった、というケースであれば、使用した方は、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎を治した、という「錯覚」に陥ります。
こうしたケースの場合、ステロイド剤で炎症を抑えて皮膚の状態が良くなったことと、アトピー性皮膚炎そのものが治ったことは、全く違う「経路」によりなされたことであることを理解しておくことが大切です。
もちろん、炎症を抑える=かゆみが軽減される、ということから、掻き壊しが少なくなり、皮膚のバリア機能を維持することで外部からの刺激を軽減、こうした外部からの刺激やアレルゲンなどが原因となっているアトピー性皮膚炎の場合、複合的な面でアトピー性皮膚炎そのものの炎症反応を引き起こす状態が解消できて、アトピー性皮膚炎も治った、ということはあるでしょう。
しかし、アトピー性皮膚炎の炎症をもたらす原因が皮膚のバリア機能とは違うところにもあった場合、ステロイド剤の「効き目」が薄れれば、炎症反応が生じることで、繰り返し炎症→痒み、が現れることになります。

つまり、皮膚のバリア機能が主な原因となっているアトピー性皮膚炎の場合には、こうしたステロイド剤の治療が有効になることはあるのですが、「全てのアトピー性皮膚炎」に適応できるわけはない、ということです。
例えば、食物アレルゲンが強い方であれば、皮膚のバリア機能を高めても、食物アレルゲンに反応する免疫機能が改善されることが、アトピー性皮膚炎を治すための条件として必要になってきます。

もう一つの注意点は、今回のご相談された方が心配されていた「感染症」に罹っていた場合です。
感染症も皮膚症状は炎症反応として現れますから、ステロイド剤の炎症を抑える力は効果的に働きます。しかし、免疫力を抑制することにより、感染症そのものを悪化させるリスクも生じます。
皮膚のバリア機能が正常化することで、こうした感染症のリスクが軽減してくることは確かですが、皮膚の機能以外にアトピー性皮膚炎の原因を抱えていた場合、掻き壊しそのものが継続することで、ステロイド剤の長期連用にいたりやすくなるリスクはどうしても抱えてしまいます。

では、炎症状態が強くみられる場合、ステロイド剤治療を選択した方が良いのか、続きは明日にしたいと思います。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

実は、アトピー性皮膚炎の多くは、「軽症」で終わることが多い。また、当然のことじゃが、アトピー性皮膚炎の「最初」の状態は、「軽症」で始まるか「急性」の疾患として現れるものじゃ。
最初から「慢性化した状態」で病態が現れることはまずないと言っても良いじゃろう。
じゃが、「一部の方」は、「軽症」あるいは「急性」の状態で終わることができず、慢性化していくことになる。
これは、アトピー性皮膚炎の原因そのものが複雑であること、またステロイド剤治療でカバーできるのが「限定」されておることがあるからじゃが、こうした長期化していく過程の中で、「長期化していくマイナス要因」は早めに考えることは大切なことじゃ。
ステロイド剤治療のリスクももちろんじゃが、仕事や勉強が忙しく睡眠時間がとれていない、運動不足が続いている、食事の内容が不規則だったり片寄っている、ストレスが継続して続いている、こうした生活内の要因も、アトピー性皮膚炎の「原因」に関わることで、症状を慢性化させておる原因になることがある。
風邪を引いて高熱が出て寝込んだ時、解熱剤を飲んで体が動けるようになったからといって、無理に仕事に行ったら、どうなるじゃろうか?風邪をこじらせることも考えられるじゃろう。そういった場合に必要なのは、「さらにゆっくり休みこと」じゃr。
同じように、アトピー性皮膚炎の場合、炎症を薬剤で抑えたのであれば、アトピー性皮膚炎を治していくために「必要なこと」をしっかり行うことが大切、ということじゃな。