食べるとアレルギーが治る食品?

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

               
疾病に対して効果を示すものは、著効がある場合には、医薬品になるわけだが、穏やかな効果の場合、サプリメントなどとして販売されることも多い。
同様に、これは食品の分野にも広がっている。
例えば、乳酸菌がアレルギーに良い、インフルエンザに良い、という情報は、テレビの情報番組でも取り上げられることもある。
しかし、そうした情報を受け取る側は、情報が意味しているところを正しく把握しないと、誤った認識を持つことも多い。
先日、朝の情報番組で、遺伝子組み換えで食べるとアレルギーに効果が期待できる、といった情報が出ていたが、それがWebでも記事になっていた。
               
              
●<未来の食卓 アレルギー番外編> ご飯食べれば花粉症が治る
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014040302000138.html
              
杉林(すぎばやし)家のダイニングキッチン・二〇二〇年春
夫の茂(しげる)(36)、妻の花(はな)(33)、長女の舞子(8)が朝食のパンを食べている。
             
茂 「へっくしょん」
舞子 「くしゅん」
花 「二人とも花粉症ひどいわねえ。そうだ! 明日からパンやめて、ご飯食べよう。ご飯」
茂、舞子 「ご飯?」
花 「お向かいのご主人もご飯で花粉症治ったんだって。コシヒカリだからおいしいよ」
茂、舞子 「???」
            
          
将来こんな情景が現実になるかもしれない。
国民の二~三割が悩むスギ花粉症。現在普及しているのは抗ヒスタミン剤などを服用してアレルギー症状を抑える対症療法。毎春、薬を飲む必要がある。医療費は年二千三百億円程度とされ、家計にも国の財政にも負担となっている。
農業生物資源研究所(茨城県つくば市)が研究するのは一度治せば花粉を浴びても発症しなくなる原因治療(根治治療)だ。
コシヒカリの遺伝子に花粉症の原因物質を組み込み、これを半年ほど「一日一膳」食べれば免疫がつき、アレルギー反応が起きなくなる。「現在の根治療法は花粉エキスの注射を打つか、舌下にエキスを垂らす方法で数年かかる。ご飯を食べるだけなら簡単です」。高野誠・遺伝子組換え研究センター長が言う。
              
◆遺伝子組み換え利用 「食べる薬」開発加速
              
約三百匹の野生のサルを餌付けする「淡路島モンキーセンター」(兵庫県)。農業生物資源研の高野誠氏は花粉症に苦しむサルに「スギ花粉症治療米」を与える実験をしている。
「血液を調べるとアレルギー症状を起こすヒスタミンが減っており、有効性は確認できた」という。自身も花粉症の高野氏は「安全性審査などが順調に進めば十年弱で医薬品として認可される」と意気込む。
            
「食べる薬」の開発が急速に進んでいる。植物が持つ遺伝子を細胞から人為的に取り出し、別の作物の遺伝子に組み入れる「遺伝子組み換え」(GM)技術が利用される。米国で害虫に強い農作物を生産するために発達した技術を応用、病気治療など人間に直接メリットがある効果を植物から引き出そうというのだ。
食べるとアトピーや胃潰瘍がよくなる-。奈良先端科学技術大学院大学と京大は、こんなレタスを開発した。「野菜ジュースとして一本二百~三百円なら普及するのではないか」。同大学院大学の横田明穂特任教授は期待する。従来のGM農作物は手間を省きたい農家のために開発され、消費者視点に乏しかった。一方「治療薬は人の命や健康のために開発される」(横田氏)ため、社会的に受け入れられやすいとみる。
すでに市販の例も。先月、イチゴが原料の犬の歯周病の治療薬が発売された。北海道の農薬会社「ホクサン」と産業技術総合研究所(産総研)などの共同開発。GM植物が原料の動物用薬品の商品化は世界初だ。国内の犬の八割以上がかかる歯周病。心臓疾患も起こす怖い病気だが、従来は全身麻酔で歯こうを削るしかなかった。「新薬は粉末状のGMイチゴを自宅で週二回、愛犬の患部に塗れば五週間で完治する。犬の負担は軽く、治療代も安い」(松村健・産総研植物分子工学研究グループ長)。研究所の植物工場で年間百万匹分のイチゴを栽培、薬は動物病院で処方する。
「食べる薬」は製薬業界だけでなく世界競争にさらされる国内農業への波及も期待される。だが、課題も多い。
GM治療薬の原料作物は自然界には存在しない。拡散した場合、自然の植物との交配で新しい特性を持つ植物を生み生態系への悪影響を及ぼす可能性がある。実際、国の調査では輸入したGMトウモロコシが熊本・八代港で自生しているのが確認されたこともあり、自然界への拡散を防ぐ仕組みをつくれるかがカギだ。
先端の科学技術を紹介する日本科学未来館の科学コミュニケーター・堀川晃菜氏は「GM技術は放射性セシウムを吸着する植物など市民にメリットがあるものなども研究され、来館者への聞き取りでも許容する人は増えている」と指摘。だが「最終的に選ぶのは消費者。情報公開をつくし消費者の理解を得ることが課題になる」と話している。 (山口哲人)
                    
<遺伝子組み換え(GM)作物と医薬品> GM作物の輸入や栽培は環境への影響や、食品安全性を国が審査・承認する。国内では消費者の目は厳しく、「青いバラ」以外は商業栽培されていない。ただ、海外からは大豆、トウモロコシなど年間1600万トンが主に食用油や飼料用に輸入されている。一方、GM作物を原料とする医薬品は薬事法の承認も必要。市販されたのは犬の歯周病治療薬が初めて。
               
             
記事にある「食べるとアトピーや胃潰瘍がよくなる-。奈良先端科学技術大学院大学と京大は、こんなレタスを開発した。」とある部分を、一般の方が読むと、アトピー性皮膚炎や胃潰瘍という疾患そのものが「良くなる」あるいは「治る」というイメージを持つだろう。
だが、仮に影響を与えられるとしても、その範疇は「限定範囲」となることが多い。
なぜなら、アトピー性皮膚炎の場合、病気の原因となる部分が、免疫機能に限らず、皮膚機能の部分も考える必要があるからだ。
また、記事にある「お米」の部分は、いわば減感作療法と同じ意味合いとなるわけだが、免疫機能の異常状態は、体が何らかの状況で「必要」としたからこそ、特定のものに反応を示すようになったわけだ。
花粉症の場合も、体がスギ花粉に反応しない状況になったとしても、アレルギーを「出したい」状況に置かれていれば、他の花粉をアレルゲンとして認識するようになることも否定できない。
もちろん、症状を抑えながら、アレルギーを必要と考えている体の状況を変化させられることができれば話は別だが、主眼が「症状」において治療法を模索している以上、症状の解消=病気の解消ではないにも関わらず、それが等しいものだと考えてしまうと、話はややこしくなることもある。

遺伝子組み換えが抱える見えない問題点を置いておくとしても、「症状を抑える」治療を目指すだけではなく、「病気を治す」治療が最も大切であることは忘れてはならないだろう。

                         
おまけ★★★★博士のつぶやき

薬品の多くは、植物などの抽出物を出発点に作られておることが多く、食物そのものに、そうした効果の一部が含まれておることは確かじゃろう。
人為的に遺伝子組み換えで作られたものは、まだ解明されていない部分での問題もあると言われてはおるが、現状だけで見れば貢献しておる部分も多いとは思う。
ただ、西君が今日のブログで書いておったように、結果的に得られるものが「症状を抑えられる」だけでは、必ずしも「病気を治す」ことに直結するとは限らない。
一般の情報では「症状を治すこと」と「病気を治すこと」が、いわば混同して表現されておることが多いが、本質的な意味合いにおいて、目的そのものの違っておることは忘れてはならんじゃろうの。