ステロイド剤を使わない患者は悪者?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                

さて、今月のあとぴナビは、電子版での発行のみとなっておりますが、3月号の「みんなのアトピー相談 相談2 白内障手術を控えて皮膚科医の言葉に動揺」をご覧になった方からご質問をいただきました。
          
            
●ご質問内容
「みんなのアトピー相談」にあったような白内障の件ではないのですが、先月、転居したため新しい病院で診てもらいにいったところ、「アトピーはステロイド剤を上手く使わないといけない。副作用を怖がってはいけない」と言われました。
私自身、アトピー歴も長く、個人クリニックだけでなく、大学病院にも数年、通院して、ステロイドの治療を続けて、結局のところ、皮膚もどんどん悪くなる一方だったため、ステロイド剤以外の治療を選択していたわけです。
今も、乾燥気味でかゆみもありますが、ステロイド剤を中断して数年、お肌の状態は、当時と比べると見違えるほど良くなりました。
今回は、首から肩にかけて水泡状のものが現れてきたため、ヘルペスが心配で診てもらおうと思ったのですが、その先生は、「ヘルペスでも炎症が生じているならばステロイド剤の治療が必要」と言われます。
これまでの症状の経過も写真で撮っていましたら、それも見せて、ステロイド剤以外の治療を望んでいることを伝えたのですが、アトピーの標準治療は、ステロイド剤を使うもの、という一点張りで、最後には「ステロイド剤を使わない患者は悪い患者だ」みたいに言われました。
転居したのが田舎のため、近所には病院が少なく、どうしようかと悩んでいます。
なぜ、医師はステロイド剤を使いたがるのでしょうか?
ステロイド剤を使わない患者は「悪い患者」なのでしょうか?
              
               
まず、現在のアトピー性皮膚炎に対する「医療」は、治療する対象は「痒み」が中心になります。これは患者の主な訴えが「痒み」に対してのものになるため、仕方がない面はありますが「痒み」に対して即時に対応できる治療は、免疫抑制作用を持つ薬剤(ステロイド剤やプロトピック軟膏など)にならざるをえません。
しかし、ステロイド剤などの薬剤は、確かに「痒み」に対しては抑える強い効果を持っていますが、アトピー性皮膚炎という疾患を直接治癒させる効果は有していません。
「病気」とは疾患の原因となった状態を指し、「症状」は病気により体に生じた反応を指します。
例えば、風邪を引いて熱が出た場合、病気は「風邪を引いたこと」そして症状は「熱」になります。
では、熱を下げるために解熱剤が処方されたとして、確かに熱は解熱剤で下がりますが、解熱剤は直接、風邪を治す効果を持っているかと言うとそうではありません。
基本的に「病気」の治療と「症状」の治療は、似通ったイメージがありますが、本質的な意味合いで考えると別物といっても良いでしょう。
また、症状は体にとって「不要」なものではなく、何らかの理由があって生じています。
例えば、風邪で熱が出ることは、内臓など生体にとってもダメージを与えますが、同時に細菌やウィルスにもダメージを与えられます。つまり、体温を上げることで、風邪やウィルスに対抗しようとしているわけです。
アトピー性皮膚炎による「痒み」も生体にとって無意味に生じているものではなく、何らかの意味があると考えてよいでしょう。
アレルギーは、本来それが生じないように「抑える力」を誰しもが持っていますが、生活要因や外的な要因で抑える力が弱まることで、相対的にアレルギーの反応が現れます。そうした点から考えると、今の生活を続けること、あるいは今の生活環境に問題があることを「警告」してくれる側面もあると言われています。

では、「症状」を抑える治療が無意味かというと、そうではありません。
続きは、明日にしたいと思います。

                         
おまけ★★★★大田のつぶやき

こうした医師による患者への「動揺」を招く言動は、昔より少なくはなっていますが、未だに相談を受けます。
「言葉」は、受け取り方によって、それ自体が「治療」になるほど大きな意味合いを持つことがありますが、逆に働けば、病気を「悪くする」こともあります。
治療を行う側は、患者の受け取り方も考えて欲しいと思います。