腸内細菌のバランスの乱れを解消、ぜんそくが改善

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                        
今日は筑波大学から発表された腸内細菌とアレルギーの研究記事について紹介いたします。
              
               
●腸内の悪玉菌がぜんそくを悪化 筑波大、マウスで仕組み解明
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO65372020W4A110C1CR8000/
                
筑波大学の渋谷彰教授らは15日、腸内の悪玉菌と呼ばれる菌がぜんそくを悪化させる仕組みをマウスを使った実験で解明したと発表した。マウスで効果的な治療法も見つけた。人間でも同じ仕組みで症状が悪化している患者がいないか探し、治療することを検討している。
ある種の抗生物質を飲み水に混ぜてマウスに2週間与えた後、アレルギーの原因物質を吸入させてぜんそくを発症させたところ、症状が重くなった。そのマウスの腸内を調べたところ、乳酸菌などの善玉菌が減り、カンジダというカビの一種が異常に増えていた。
その結果、プロスタグランジンE2と呼ぶ物質が血液中で増え、肺の中で免疫反応を引き起こす細胞が増えてアレルギー反応が強まった。炎症を悪化させてぜんそくがひどくなると分かった。カンジダを殺したり、プロスタグランジンE2が増えないようにしたりする薬剤をマウスに投与すると、ぜんそくの症状が改善した。
腸内細菌のバランスが崩れると、炎症性腸炎やアトピー、糖尿病など様々な病気を引き起こす。ぜんそくもその一つだが、詳しい仕組みはわかっていなかった。
            
              
かなり興味深い研究内容だと思います。
今回の研究は、ぜんそくの発症要因というより、悪化要因に関わってくる部分が多いのでしょう。
腸内細菌については、昨年末にブログで何度か取り上げましたが、アレルギーに対する関与はこれだけ多くの報告から考えると明らかだと思います。
今回の研究結果からは、腸内で真菌(今回はカンジダ)が増殖すると、血液中に起炎物質(今回はプロスタグランジンE2)が増加することで、アレルギー反応が強まった、ということが分かります。
これまで腸内細菌とアレルギーの関係は、どちらかというとヘルパーT細胞のバランスの中で生じている、と考えられていましたが、今回の研究結果からは、腸内環境の乱れが「悪い菌の繁殖」により、血液中にアレルギーを引き起こす要因(起炎物質)を増加させていることが原因だと考えられるわけです。
もちろん、今回はマウスでの実験ですので、ヒトに対して応用されるのかどうかはこれからですし、また、プロスタグランジンE2を増加させる菌がカンジダ以外にないのか、なども調べていく必要があるでしょう。
腸内環境が乱れる際、悪い方の菌種は、いろいろと考えられます。
仮定として、Aという悪い菌であれば喘息(免疫の標的部位が肺、など)に、Bという悪い菌であればアトピー(免疫の標的部位が皮膚、など)に、などという傾向が出てくる可能性もあるかもしれません。
乳酸菌の研究は各メーカーで行われていますが、その結果は今一つ安定していないのも、もしかすると、こうした菌種が関係していることも考えられます。

もっとも、プロスタグランジンE2は、腸内の細菌(悪い菌)のみが関与するわけではなく、腸内細菌の関係だけでアレルギーの問題が解決するわけではありませんが、一つの要因に対する方向性としては、今回の研究結果は、いずれかなり面白い発展につながるように感じます。

                                   
おまけ★★★★東のつぶやき

プロスタグランジンE2は、単独でヒスタミン顆粒を放出、マスト細胞を活性化させる働きを持っています。そして抗ヒスタミン薬でプロスタグランジンE2が持つ炎症惹起作用をブロックすることも分かっています。
こうした観点から考えると、プロスタグランジンE2は、アレルギー反応において、大元の免疫作用、というよりアレルギー反応が生じた結果、炎症反応を起こす段階の中で関わっていると考えて良いでしょう。
つまり、悪化要因には関わりますが、必ずしも発症要因につながるとは限らないことは忘れないようにしましょう。
す、症状を治す、この違いも認識しておいた方が良いでしょう。
なお、筑波大学のニュースリリースでは、図表を使って詳しく研究結果が報告されていますので、興味のある方は、リンク先でご覧ください。

http://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/p20140114am2.pdf