アトピー性皮膚炎克服のために考えること。(3)

昨日の続きで3回目じゃ。

 

 

 

 

 

 

                     

今日は、ステロイド剤治療における、もう一つの注意点から書いていきたい。

その、もう一つの注意点とは、ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎、という疾患を治すための薬剤ではなく、あくまでアトピー性皮膚炎という疾患により生じた「かゆみ」という症状を抑える役割だ、ということじゃ。
患者はどうしても「症状が治る」=「病気が治る」と考えがちじゃが、必ずイコールにつながるわけではない。
インフルエンザに罹って熱が生じた場合、解熱剤で熱を抑えればインフルエンザが治った状態ではない。解熱剤はあくまで熱を抑える役割を果たしておるだけで、インフルエンザから直接治す役割は持っておらん。
したがって、一時的に解熱剤の使用により熱が下がっても、インフルエンザそのものが治っておらん限りは、解熱剤の効果が薄れれば再び熱は上がることになる。
アトピー性皮膚炎も同様で、アトピー性皮膚炎により生じたかゆみをステロイド剤で抑えても、アトピー性皮膚炎、という疾患そのものが治癒している状況でなければ、ステロイド剤の効果が薄れれば、再びかゆみが現れることになる。

ここで大切なのは、ステロイド剤を使用するのであれば、同時に「アトピー性皮膚炎の治療も行う」ということじゃ。
先のインフルエンザの例でいえば、解熱剤で熱を下げ、熱による消耗を避けながら、インフルエンザを治す治療を同時に行うことが大切、ということじゃな。

昔、アトピー性皮膚炎が子どもの疾患で大人になれば治りやすい、と言われておったのは、アトピー性皮膚炎を引き起こしている「原因」そのものが成長の過程の中で解消されやすかったからと言える。
じゃが、最近ではその「原因」の解消が難しくなっており、そのため小児を過ぎてもアトピー性皮膚炎が治らない、という傾向があるわけじゃ。

では、なぜ元の「原因」が解消されづらくなっておるのじゃろうか?
そこに、最近の増加した傾向と関連してくる「生活環境」「生活習慣」の二つが関わっておると言えるじゃろう。

まず、一つ目は、生活環境じゃ。
もっとも大きな影響として考えられるのは、内分泌への影響としては「摂取する化学物質の増加」、そして皮膚機能への影響としては「界面活性剤による影響」の二つが考えられるじゃろう。

ヒトが一日に摂取する化学物質は、80%は呼気により摂取される。つまり大気中の化学物質の影響を受けておる、ということじゃ。
農薬や添加物を気にして、食に気をつける人は多いのじゃが、どれだけ食に気をつけても、化学物質そのものの影響は20%までしか軽減できん、ということじゃな。
今の日本における、特に都市部における社会環境で考えると、車の排気ガス、工場の排煙、そして室内においては家具や家電から放出されるホルムアルデヒドなどの化学物質で大気中は、室内外を問わず一定の濃度を保つ環境にある。
田舎でも、田畑の周囲では散布される農薬などの問題もあるじゃろう。
よほど山奥の人の手が入っていないところでない限り、呼気から吸収される化学物質を少量にすることは難しいのが現状じゃ。
そして、化学物質の問題点は、化学物質が内分泌かく乱物質として作用することじゃ。
つまり、内分泌機能に対する影響が見られやすい、ということじゃ。
ヒトの免疫機能は、単独で働いておるのではなく、自律神経と内分泌の影響を受けて機能しておる。
内分泌機能が乱れることで、大きくはなくとも免疫機能に「ズレ」が生じ、そのズレを解消できないと、やがて免疫機能そのものに異常状態が生じやすくなる、ということじゃ。
アレルギー的な要因で考える限り、アトピー性皮膚炎が増加してきた背景には、こうした化学物質の影響は避けられんじゃろう。

そして、皮膚機能への影響として考えられるのが「界面活性剤」の使用じゃ。
界面活性剤は、本来、混じり合わない油と水を「つなぐ」働きを持っておる。
ヒトの皮膚は、皮脂が汗などで乳化して作られる皮脂膜で覆われることで、角質層の水分を一定量に保ち、そして外部の異物からのバリア機能の働きをすることになる。
じゃが、今の私たちの生活環境では、皮脂を取り去ることで囲われておるのが現状じゃ。
体を洗う洗浄剤(石鹸やシャンプー、ソープ)、衣類を洗う洗浄剤、食器を洗う洗浄剤、そのほとんどが界面活性剤から作られておる。
よく合成の洗剤は良くないが、純石鹸ならば安全、と考える人がおるが、毒性など安全性の面での違いはあるかもしれんが、皮脂に対する影響で考えれば、合成であろうとなかろうと、同じと言える。
毎日、反復して使われるこれらの洗浄剤が、少しずつ皮脂膜を弱めることで、角質層の水分保持機能が低下し、同時にバリア機能も低下することで、皮膚の機能を低下させている状況につながっておると考えて良いじゃろう。

生活環境面で考えるならば、「化学物質を避ける」あるいは「摂取した化学物質を排除する」そして、同時に「できるだけ界面活性剤の影響を避ける」ことがアトピー性皮膚炎の「原因」を排除していくには大切なことと言えるじゃろう。

明日は、生活習慣面について考えていきたいと思う。

                            
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎が増加してきた背景には、免疫機能に対する異常を引き起こすような原因、皮膚機能に対する異常を引き起こすような要因を、それぞれ分けて考える必要があるじゃろう。
どうしても、アトピー性皮膚炎の「原因」を一本化して考える傾向が研究者にはあるようじゃが、どちらかというと、原因、そして症状の現れ方から、単一の疾患というより「症候群」としての傾向を示すアトピー性皮膚炎の場合、違う原因に該当しない治療を行うことで行き詰ることも多い。
結果が一つに見えても、その結果に導かれる「原因」は必ずしも一つでないことは、考えておいた方が良いじゃろうの。