【Q&A】キムチがアトピーに効く?(3)

今日も昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

乳酸菌によるアトピー性皮膚炎への効果は、全てのアトピー性皮膚炎の症状に対してではなく、限定的な部分に対するものであることは、昨日までに述べた通りじゃ。
効果が限定できだからこそ、一部の症状に対する改善効果が見られても、アトピー性皮膚炎を治していくための決定打にならず、そのため、十年以上前から乳酸菌の効果が報告されておる、しかも複数の論文での報告があるのにも関わらず、乳酸菌の「治療法」がアトピー性皮膚炎の治療法として定着しておらん、ということじゃ。

では、結局のところ、アトピー性皮膚炎の方は乳酸菌を摂取した方が良いのか、摂取しない方が良いのか、どちらが良いのじゃろうか?

特定の乳酸菌を摂取することで、腸内環境が良くなることは、さまざまなエビデンスで明らかと言える。
問題は、腸内環境を良くすることが「アトピー性皮膚炎を良くする」さらに、その「良くする」という度合いの部分じゃろう。

これまで述べたように、腸内環境を良くすることがアトピー性皮膚炎の一部の症状に対して改善効果は見られる。じゃが、その「一部の症状」の範囲は、あくまで免疫機能に関わるアトピー性皮膚炎の部分であること、また、免疫機能をコントロールする自律神経や内分泌機能は腸内環境を改善することだけで正常化するわけでないため、アトピー性皮膚炎の免疫機能に関わる部分の一部に有効性が見られる、とういところを考えなければならない、ということじゃな。
個々人により、アトピー性皮膚炎の病気としての原因、そして症状が現れる原因は異なるが、仮にそうした原因が10個あった場合、腸内環境を良くすることで解消できる原因は数個にすぎん、ということじゃ。
そのため、「アトピー性皮膚炎を良くする」の「良くする」度合いも、限定的な部分に限られることを認識しておくべきじゃ。
もちろん、原因が10個ではなく、数個しかなく、その数個全てが腸内環境を良くすることで解消されるのであれば、結果的に、その方にとってアトピー性皮膚炎は乳酸菌で「治った」という結果が得られる。
じゃが、そうした腸内環境を良くすることで解消できる原因のみ抱えたアトピー性皮膚炎の方は、全体のアトピー性皮膚炎の中で、一部にすぎん、ということじゃな。

では、乳酸菌は摂取しても無駄なのか、というとそうでもない。
ただし、乳酸菌の摂取は、毎日の食事の中で摂ることが可能じゃ。

乳酸菌は、植物から作られる乳酸菌群と動物から作られる乳酸菌群がある。
一般的は、ヨーグルトなど、動物から作られる乳酸菌がイメージされるようじゃが、日々の食生活の中で摂取している乳酸菌は植物から作られるものも多い。
味噌、醤油、たくあんなどは植物から作られる乳酸菌を含んでおる。
動物性の乳酸菌と植物性の乳酸菌の違いは、乳酸を作るための「えさ」の違いと言えるじゃろう。
植物性の場合、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖など、多糖類を代謝して乳酸を生産するのに対して、動物性の場合は乳中の乳糖のみをエネルギー源としておる。醤油や味噌などを見ても分かるように植物性の乳酸菌は塩分が高くても生存できるのじゃが、動物性の場合は、塩分が高かったり栄養分が低い環境下では生育しない。

そう考えていくと、日本人が古くから食べてきた毎日の食事の中には、植物性の乳酸菌がしっかり摂取できるようになっておると考えてよい。
一般的にじゃが、アトピー性皮膚炎の方は、日頃の食事を和食にかえることで症状が良くなるケースを多く目にする。
これは、洋食が脂質が多くなることも、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させやすい要因として関係しておるのじゃが、同時に、和食の方が知らず知らずのうちに乳酸菌を多く摂取できることが「良い要因」として働いていおるのじゃろう。

しがたって、腸内環境を整えることは、体内の免疫活動を考えていく上では、大切なことでもあるから、そうした観点から見ると、乳酸菌を摂取することは良いことと言える。
同時に、日本人は西洋人と違い、牛乳に含まれる乳糖を代謝する酵素が少ないと言われておるため、反復継続して毎日摂取していくことを考えると、また乳製品に対するアレルギーの感作率が上昇する可能性を考えると、ヨーグルトよりも「和食」を中心とした食事の中で摂取することの方が無難と言えるかもしれん。
もちろん、ヨーグルトの摂取が悪い、ということではないが、日本人が営んできた食生活週間から考えると、ベネフィットとリスクを対比させた場合、よりリスクが少ないのは、植物性の発酵食品の方が相性が良いのではないかと思うのじゃ。

以上のことを踏まえてNさんの質問に答えたいと思う。

乳酸菌の摂取を行うことは、悪いことではない。じゃが、乳酸菌の摂取がアトピー性皮膚炎の全てを解消できるわけではないから、アトピー性皮膚炎に対する対策の「一つ」として考えておくのが良いじゃろう。
また、反復継続して摂取を行うことが、継続的に腸内環境を整えることにつながってくるわけじゃから、まずは、毎日の食事の中で摂取できるような食生活習慣を考えてみると良いじゃろう。
なお、キムチについてじゃが、キムチが食文化として定着しておる韓国の方は、さほど問題はないじゃろうが、日本の方の場合には、辛さへの耐性(製造方法での違いや辛さの度合いの問題はあるにしろ)の問題もあるので、和食の中で摂取できる乳酸菌を考えた方が良いかもしれんの。

Nさんが、いち早く回復されることを祈っておる。

                             
おまけ★★★★中田のつぶやき

腸内環境を整える上で、乳酸菌は役立ちますが、乳酸菌だけではなく、摂取した良い乳酸菌が腸内で増えるための「環境づくり」も大切です。ヨーグルトなど乳製品から作られた動物性の乳酸菌の場合、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖などの摂取が大切であるともいわれています。
ですが、博士が書いていたように、そのエサはヨーグルトの乳酸菌では「乳糖」になるため、乳糖の分解酵素が少ないと言われる日本人の場合には、注意が必要な部分があるでしょう。
いろいろな研究結果においては、プラスの面が強調して発表されますが、実際の現場において、その方法がなぜ定着しないのかは、考えていった方が良いこともあるでしょう。