【Q&A】キムチがアトピーに効く?(2)

今日は、昨日の続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                
乳酸菌が、アトピー性皮膚炎の症状に対して、一定の効果を示す場合があることは昨日述べた通りじゃ。
昨日の記事を見ると、症状の度合いが「27.6→20.4」に減少したから、このまま乳酸菌の摂取を続ければ、その症状度合いはやがて「20.4→0」になるのでは、と考えがちじゃ。
じゃが、他でも研究報告が出ておるアトピー性皮膚炎に対する乳酸菌の成果は、かなり昔から発表されておるにも関わらず、治療法として定着してはおらん。
おそらく、今回のキムチの乳酸菌についても、「完治に至る」という報告がされることはなく、このままネットの情報の一つとして埋もれていくと思われる。

では、なぜそうした改善効果が継続して現れないのじゃろうか?

実は、今回の逆の例が、今年の9月13日に東君がブログで取り上げた京都大学のフィラグリンの研究にあたる。
          
●フィラグリンの化合物(2013年9月13日のブログ)
http://blog.atopinavi.com/2013/09/18/%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%a9%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%81%ae%e5%8c%96%e5%90%88%e7%89%a9/
             
          
アトピー性皮膚炎の原因は、必ずしも「アレルギー的な要因」に限られるわけではない。
フィラグリンの研究により改善したとするアトピー性皮膚炎は、これは「皮膚のバリア機能の要因」が関わっており、免疫の抑制などアレルギー的な要因が最初の原因として関わっておるわけではない。
皮膚のバリア機能を改善することで、それが原因のアトピー性皮膚炎の症状は改善するが、皮膚のバリア機能を改善すれば、食物アレルギーが改善するかというと、そうではない。
皮膚のバリア機能の改善をしても、アレルゲンとなる食物を摂取すれば、結局のところ、かゆみが生じることになる。無論、その際に、皮膚のバリア機能が強化されておれば、掻き壊しのダメージが軽減されることはあるじゃろう。
じゃが、皮膚のバリア機能の改善が、全てのアトピー性皮膚炎の改善にはつながらない、ということじゃ。

今回の乳酸菌の研究は、フィラグリンの研究とは逆の位置に属しており、乳酸菌で体内の免疫活動を良いものにすることで、アレルギー的な要因の一部は解消されるじゃろう。
じゃが、乳酸菌が直接、皮膚のバリア機能を高める働きはもっておらん。もちろん、乳酸菌の生成物質が何らかの作用で間接的にバリア機能の一部に働きかえる要因はあるのかもしれんが、仮にあったとしてもバリア機能の一部に対してじゃろう。
つまり、乳酸菌により改善できるのは、複合した原因により現れるアトピー性皮膚炎の症状に一部に過ぎず、他の要因により生じているかゆみや炎症が退かなければ、摂取を継続することはなくなる。

また、アレルギー的な要因も、一つに限らておるわけではない。
確かに免疫活動の70%は腸内で行われておるかもしれんが、残りの30%は、体の他の部位になる。
仮に70%を良い状態にできても、残り30%のうち10%が悪い状態のままだとすれば、やはり1割程度のアレルギーに対する悪化要因を抱えておることになる。
もちろん、アレルギー的な要因が軽微で、また皮膚機能の低下も少ないアトピー性皮膚炎の方であれば、乳酸菌の摂取で「治る」ことはあるじゃろう。
じゃが、繰り返し症状が現れておる方の場合、アトピー性皮膚炎の症状を引き起こしておる原因が多岐にわたることが多く、その原因の全てを「乳酸菌が解消することはできない」ということじゃな。

また、ヒトによっては、乳酸菌の摂取が、アトピー性皮膚炎の悪化要因となる可能性もあるようじゃ。
         
         
●乳酸菌とアレルギー発症予防
http://www.nyusankin.or.jp/scientific/matsumoto.html
         
         
論文の「乳酸菌のアレルギー発症要望効果」の最後の部分、

これら3報のうちの2報では乳酸菌の投与はアトピー性皮膚炎の発症は抑制していたが、これらの報告でも血清中のIgE値には差が認められず、また最後の報告ではむしろ乳酸菌群の方がアレルギー感作率は有意に高かった。またその後の追跡調査でも他のアレルギー疾患(気管支喘息など)の発症にも差が認められなかったとの事実15)は乳酸菌が単純にインターフェロンγなどの産生を誘導し、IgE抗体の産生抑制を介してアトピー性皮膚炎の発症を抑制したとはとうてい考えられない結果であった。
にあるように、乳酸菌の摂取によりアレルギーの感作率が高かった、というのは、他の要因により症状が悪化する可能性を示唆しておると言えるじゃろう。

では、結局のところ、乳酸菌は摂取した方が良いのか、摂取しない方が良いのか、どのように考えていけば良いのかは、明日に述べたい。

                       
おまけ★★★★東のつぶやき

昨日は、博士が、乳酸菌のアトピー性皮膚炎やアレルギーに対する効果を発表している論文をいくつも見つけていましたが、今日の最後で紹介していた国立成育医療センター研究所、アレルギー研究室室長の松本先生が書かれた「乳酸菌とアレルギー発症予防」の論文は、そうした各メーカーが報告していた内容を、否定する部分が多くありました。
こうした真逆の結果が報告されていることが、乳酸菌がアトピー性皮膚炎に対して影響を与えられる「限界点」があることを示しているのでしょう。
消費者は、良い情報は、その「良い」部分を拡大解釈して考える傾向があり、発表するメーカーもそれを期待しています。
今回でいえば、「改善する」という研究結果を、消費者は「治る」という結果で解釈してしまいがちだ、ということです。
もちろん、「改善する」が「治る」に結びつく方もいますが、全員がそうではないこと、そして「改善」と「治癒」は、似た言葉ですが、意味するところは違うことを理解しておいた方が良いでしょう。