グリチルリチン酸にステロイド様の働きは?(2)

中田です。

 

 

 

 

 

 

                           
昨日は、アトピー性皮膚炎の方に使われているステロイド剤が、副腎皮質ホルモンの中の「糖質コルチコイド」の働きを持ち、そして、グリチルリチン酸が「鉱質コルチコイド」に似た作用を持つことを説明しました。

今日はまず、グリチルリチン酸について述べたいと思います。

                       
●グリチルリチン酸について

                                            

グリチルリチン酸は、甘草と呼ばれる漢方によく使われている薬草の根に含まれる成分です。
砂糖の30~50倍の甘味を持つことから、代用甘味料として1970年代頃から使われるようになりましたが、薬学的な作用(アルドステロン様作用)を持つことが分かり、1978年に厚生労働省(当時の厚生省)から通達が出されました(薬発第158号 昭和53年2月13日 厚生省薬務局長「グリチルリチン酸等を含有する 医薬品の取扱いについて」)。
この通達においては、「量の違いはあるにしろ、約1カ月で、体内の塩類コルチコイドが過剰に分泌されるアルドステロン症と類似の症状である疑アルドステロン症が現れた」とされ、その摂取量に制限が加えられるようになりました。
このように、グリチルリチン酸は、アルドステロン(鉱質コルチコイド)と似た作用を持ち、同時にアルドステロンによる副作用と似た症状も現れているということが言えるでしょう。

そして、このグリチルリチン酸は、化粧品の成分としても使われています。
薬効を有するため、医薬部外品として分類される成分になりますが、化粧品として配合も可能な成分です。
その効果として認められているのは、抗炎症、抗アレルギー、細菌発育阻止などの作用で、そのため、にきび防止やアトピー性皮膚炎の方など肌トラブルを抱えている方のスキンケアアイテムに配合されることが多い成分です。

配合される成分の名称はさまざまですが、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸2K、カンゾウエキス、甘草エキスなど、「グリチルリチン」「グリチルレチン」「カンゾウ」「甘草」という部分が入っている名称が「グリチルリチン酸」の成分に該当します。

                                 
●グリチルリチン酸の問題点とは?

                            

グリチルリチン酸に副作用がない、とする意見としては、主に

                              

1.グリチルリチン酸には、ステロイド剤と同じ副作用はない
2.グリチルリチン酸は化粧品の成分としても認められているから安全
3.グリチルリチン酸は高分子のため、皮膚から吸収されにくく、副作用は起きにくい

                                        

とするものがあります。
まず「1.グリチルリチン酸には、ステロイド剤と同じ副作用はない」というのは、一部は正しく、一部は誤っていると言えるでしょう。
これについては、説明が長くなるため、最後にしたいと思います。

次の「2.グリチルリチン酸は化粧品の成分としても認められているから安全」というところは、今年、美白で問題になった成分が医薬部外品で認められる成分だったように、化粧品に使用される成分だから安全とは限らないことは言うまでもありません。

「3.グリチルリチン酸は高分子のため、皮膚から吸収されにくく、副作用は起きにくい」という部分は、これは確かなことだと思います。
グリチルリチン酸が配合された化粧品は、現在、数多くありますが、アトピー性皮膚炎でない方が、そうした化粧品を長年使用してきて、使用をやめたからリバウンド症状が起きた、という話を聞くことは、ほとんどありません。ネットで検索すると、そうした事例の報告はあるようですが、あくまでレアケースでしょう。
アトピー性皮膚炎の方でも同様で、ステロイド剤のように長期間の継続使用で、使用中断による症状の悪化が見られやすい、ということはありません。
             
その理由が、この皮膚から吸収されにくい、という部分にあると考えられます。
                    
つまり、健常な皮膚においては、体内に吸収されにくいため、「良い作用も、悪い作用も起きない」ということになるからです。
実際、アトピー性皮膚炎の方で、グリチルリチン酸による影響がみられた方に共通しているのは、「掻き壊しなどの症状が現れている状態で継続使用した」という点があります。
掻き壊しなどがあれば、表皮のバリア機能が低下しているため、高分子であっても皮膚下への侵入が容易になります。
その状態で、グリチルリチン酸が配合された化粧品、スキンケアアイテムを使用すると、グリチルリチン酸が持つ「抗炎症効果」により、炎症やかゆみは、ステロイド剤と同様に、一時的に緩和されますが、効果(作用)=副作用、という表裏一体の関係にありますから、効果が見られるような使い方を継続することで、マイナスの作用も生じやすくなる、ということでしょう。

この部分は、裏返せば、ステロイド剤の利点と同様の利点があることは確かです。
つまり、かゆみを抑えることで「掻き壊し」がなくなれば、皮膚のバリア機能は復元しやすくなります。かゆみの原因が一時的なもので解消されやすかった場合には、「かゆみを抑える」ことで、皮膚のバリア機能が回復、その後、グリチルリチン酸が配合されたアイテムを使い続けても、バリア機能が回復することで、グリチルリチン酸の侵入を許さなくなり、効果も得られなくなる代わりに副作用の心配もなくなる、といった部分は考えられるでしょう。
しかし、かゆみの原因が解消されなければ、当然、皮膚のかき壊しは継続されますから、その中でグリチルリチン酸が配合されたアイテムを継続使用し続けることは、「かゆみを抑える」効果は継続して得られるかもしれませんが、同時に、効果に合った「リスク(副作用)」も生じてくると言えるでしょう。

では、どういったリスクが考えられるのか、そしてグリチルリチン酸の問題の根本的な部分はどこにあるのかは、明日、述べたいと思います。

                             
おまけ★★★★中田のつぶやき

グリチルリチン酸は、確かに副作用が強い成分ではありませんが、副作用が全くない場合、それは同時に「作用(効果)」も、ほぼ得られていないことを示しています。
その理由の一つは、最後に書いたように皮膚から吸収されづらいからですが、炎症が生じていれば、作用(炎症を抑える、かゆみを抑えるなど)は得られても副作用のリスクが生じますし、炎症が生じていなければ吸収されづらいため、副作用は現れなくても作用も得られない、ということであれば、成分が持つ目的(抗炎症など)を考えた場合、配合する意味合いすら、疑問な点があります。
昨日のおまけで書いたように、その「目的」が「刺激を緩和する」部分にあった場合には、「刺激があることを隠している」だけとも言えますから、反復継続して使用していけるアイテムなのかは、十分に検討した方が良いのかもしれません。