グリチルリチン酸にステロイド様の働きは?(1)

中田です。

 

 

 

 

 

                       
最近、何人かの方から「グリチルリチン酸」に関するお問合せをいただきました。
過去に、ブログで何度か取り上げていますが、まとめの意味も含めて、考えてみたいと思います。

                
●ご質問の内容

グリチルリチン酸は、ステロイド剤と同じ働きをするから良くない、とネットで知りました。
使っていた化粧品の中に、グリチルリチン酸が入っていたので、メーカーに電話で聞いたところ、「グリチルリチン酸は化粧品の成分で認められているし、ステロイド剤と同じような働きはないし、もちろん副作用もない」という説明でした。
でも、心配だったので、その化粧品から他の化粧品にかえたところ、赤みが強くなり、体液も出てきて、ステロイド剤を使っていたころのリバウンド症状と同じような状況になりました。
慌てて、化粧品を元に戻したら、2日ほどで体液は止まって赤みも引いてきましたが、効果があったことで逆に怖くなってきました。
グリチルリチン酸は、本当に副作用はないのでしょうか?

                            
グリチルリチン酸に対するWeb上での情報は、ステロイド剤に対する情報と似た状況にあるのは確かでしょう。
ステロイド剤を処方する医師の多くが、ステロイド剤が安全に使用できるという情報を伝え、実際にステロイド剤で悪化したと感じている患者はステロイド剤は安全に使用できない、という情報を発信しているのと同様です。
グリチルリチン酸を使用した化粧品を販売しているメーカーは、グリチルリチン酸は薬剤ではなく安全で副作用はない、と情報を発信して、実際に使用して症状が悪化した方は、副作用があったと情報を発信する状況です。

もちろん、そうした症状が悪化された方が必ずしも、ステロイド剤やグリチルリチン酸の影響により悪化したとは限らないわけですが、そうした症例が複数重なって現れてくると、また、使用を中断後に結果的に症状が良くなっている現状があれば、その因果関係は疑わざるを得ないでしょう。

では、グリチルリチン酸はどういった点が問題なのでしょうか?

アトピー性皮膚炎の方が使用した場合の大きな問題は「ステロイド剤の働きと似た働きを持つ」ことにあるのですが、その説明の前にまずは、副腎皮質ホルモンについておさらいしたいと思います。
                                  

●副腎皮質ホルモンについて
                                      

アトピー性皮膚炎の方に対して、病院が行う治療は、ステロイド剤やプロトピック軟膏による薬剤治療です。
この中でステロイド剤の薬についた添付書を読むと「副腎皮質ホルモン」という言葉が書かれていることに気が付くでしょう。
ステロイド剤は、副腎皮質ホルモンを含有する薬剤のなのですが、副腎皮質ホルモン、と呼ばれるホルモンは一つのホルモンのことを指しているのではなく、複数のホルモンの総称です。

腎臓の上にある臓器が「副腎」と呼ばれる臓器です。
この副腎からは、皮質部分と髄質部分から異なったホルモンが産生されます。
副腎の皮質部分で産生されるホルモンが「副腎皮質ホルモン」です。

副腎からは30種類以上のホルモンが分泌されていますが、副腎の束状帯から放出される「糖質代謝ホルモン」、球状帯から放出される「塩類代謝ホルモン」そして網状帯から放出される「性ホルモン」の3つのホルモンが代表格です。
性ホルモン(男性ホルモン:アンドロゲン)はわずかのため、一般的には、「糖質代謝ホルモン(糖質コルチコイド:コルチゾール)」と「塩類代謝ホルモン(鉱質コルチコイド:アルドステロン)」の二つに大別されているようです。

糖質代謝ホルモン(糖質コルチコイド)は、その名の通り、糖質の代謝(タンパク質異化作用など)などに関わるホルモンですが、それ以外にも免疫抑制作用、抗炎症作用、そして抗ストレス作用を持っています。
塩類代謝ホルモン(鉱質コルチコイド)も、名前の通り、塩類(ナトリウムなど)に関わるホルモンで、腎臓におけるナトリウムの再吸収に関わり、体内の電解質代謝に関与するホルモンです。また強くはないのですが免疫抑制作用も持っています。

ステロイド剤に配合されている「副腎皮質ホルモン」は、コルチゾールなど主に「糖質コルチコイド(コルチゾール)」の働きを持つホルモンが配合されています。
そして、グリチルリチン酸は、「鉱質コルチコイド(アルドステロン)」に似た構造を持っているため、擬似アルドステロン作用を有しています。

では、次にグリチルリチン酸について見ていきたいと思いますが、続きは明日にしたいと思います。

                            
おまけ★★★★中田のつぶやき

あとぴナビには、毎月、数多くのスキンケアアイテムが、各メーカーの方から持ち込まれますが、「アトピー性皮膚炎の方に良かったので」というアイテムの8割ぐらいには「グリチルリチン酸」が配合されています。
「炎症を抑える」効果は、アトピー性皮膚炎の方が望む効果なのかもしれませんが、その効果に「見合った副作用」を受けることは使用者は望んでいないでしょう。
もちろん、ステロイド剤のように副作用が強く現れる成分ではありませんが、副作用が皆無といえる成分でもありません。
また、最近は、皮膚に刺激を少なくする(刺激を受けることで生じる炎症をあらかじめ抑える)ために、配合されていることも多く、「低刺激性」の表現がされている化粧品やスキンケアアイテムに、グリチルリチン酸が配合されていないかは、しっかり成分表記を見て確認するようにしましょう。