インフルエンザ治療の勘違いと、アトピー治療(1)

月一、ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

                               
今日は、「治療の勘違い」をテーマに話をしたい。

先日、Webでインフルエンザ最大の危険は「治療の勘違い」にある、という内容の記事が出ていた。

                                                  
●コラム:インフルエンザ最大の危険は「勘違い」
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE99S07B20131029

今年もインフルエンザの季節がやってくる。本格的な到来を前に保健当局が予防注射を呼びかけているが、世界では毎年、最大500万人がインフルエンザで重篤な状態になり、25万─50万人が命を落としている。

米国では毎冬インフルエンザによって1億1100万日の労働日数が失われているが、これは病欠や生産性低下による年間約70億ドル(6800億円)の経済的損失を意味する。

極めて感染力が強いインフルエンザは、ウイルスによって引き起こされる。感染者の咳やくしゃみを通じた飛沫感染で急速に広がり、死に至るケースもある。万能薬とまではいかないが、ワクチンはインフルエンザの予防に効果を持つ。

しかし、米国や欧州での啓発活動にもかかわらず、インフルエンザについては今も多くの人が誤った知識を信じている。つまり、インフルエンザの治療で最も効果的なのは抗生物質という誤解だ。そして多くの医師も、子どもを心配する親たちが抗生物質を望む場合には、インフルエンザには効かないという科学的・医学的な真実を無視して処方してしまう。

最近欧州で行われた調査では、回答者の半数が通常の風邪とインフルエンザの両方に抗生物質が効果的だと認識していた。──抗生物質という言葉はそもそも誤解を招く名前だ。厳密に言えば、抗生物質とは微生物が作った化学物質を指すが、実際には大半の薬は人工的に作られたものであり、まとめて「抗菌薬」とすべきだろう──。

米国やオーストラリアなどでも調査の結果は同様だった。抗菌薬は細菌に効果があるのであって、ウイルスには効かない。インフルエンザはウイルス感染する病気である。

抗菌薬はインフルエンザに効果が無いどころか、以下に挙げる3つの理由から有害とも言える。まず、いかなる薬にも副作用が起き得るという点だ。まれに深刻な症状になることもある。抗菌薬が下痢を引き起こすことはよく知られているが、1万分の1の確率でアナフィラキシーと呼ばれるアレルギー反応を起こし、早急に治療しなければ命を落とすこともある。

2つ目は、薬にはお金がかかり、効果の無い薬を買うのは無駄遣いということだ。ある研究によると、米国では、上気道感染症(かぜ症候群)にかかった成人に対し、不必要な抗菌薬の処方箋が年間4100万件出されており、これに10億ドル以上が費やされている。

3点目は最も重要だ。抗菌薬を服用すると、菌を殺すことはできるが、抗菌薬に耐性を持つ「耐性菌」が成長し、増殖するということだ。薬を誤って使用してきたことで、耐性菌は世界的な脅威となり、だからこそ抗菌薬は高い治療効果が期待できる時だけ服用することが重要だ。言い換えれば、何に感染しているのか、感染の元を断ち切るのに最も効果的な薬は何なのかを知る必要があるということだ。

インフルエンザに抗菌薬が効かないということは、これまで長きにわたって科学者や医師、医療専門家らの知るところであった。しかしこれまで見てきたように、患者や臨床医の行動を変えるところまで情報が行き届いているとは言えない。米シンクタンクのランド研究所が行った研究によれば、医師は子どもの親が抗菌薬を期待していると感じた場合に、より高い確率で抗菌薬を不適切に処方するという。

一般の人々や専門家らの注意を喚起しようと、数々のキャンペーンも行われている。フランスでは2002年から啓発活動が実施されているほか、米国では疾病対策センター(CDC)が1995年から毎年、「賢くなろう、抗生物質が効く場合を理解する」と銘打ち、健康な成人や子どもの親が抗菌薬を欲しがるのを抑える目的で活動を行っている。両国では、処方された抗菌薬の数が4分の1減り、子どもへの処方が最も少なくなった。

啓発活動が不適切な処方の減少につながっていることは称賛されるべきだが、今なお医療専門家はインフルエンザに抗菌薬を処方しているし、われわれも病気になった時に抗菌薬を求めてしまう。これからインフルエンザの本格的なシーズンを迎えるにあたって、われわれ全員には責任がある。効かない薬は求めない──危険かつ反社会的な行為だからだ。

                                                                          
記事にあるように、インフルエンザはウィルス性疾患のため、効果が認められるのは「抗ウィルス剤」で「抗生物質」はインフルエンザウィルスに対して、直接の効果はない。
だが、日本の医療現場においても、簡易のウィルス検査を行ってインフルエンザと診断された場合でも、抗ウィルス剤と抗生物質の両方が処方されることがある。
さすがに、薬剤を処方する医師自体は、インフルエンザには抗ウィルス剤が有効であることは分かっているので、記事にあるようにインフルエンザと診断しながら、抗生物質のみ処方するケースは、あまり聞かない。

だが、抗ウィルス剤と抗生物質の両方が処方されることはある。
これは、インフルエンザ感染により、免疫機能は活性化されるが、発熱による体力の消耗などにより、一部の臓器に対する病原性細菌の感染が(例えば、気管支炎など)二次的に生じる恐れがあるため、その予防を兼ねている、あるいはすでにそうした細菌性の感染が併発している可能性もあるため、と以前、医師にお聞きしたことがある。
抗生物質もいろいろな種類があり、それは、対応する細菌の種類により異なる。したがって、そうした抗生物質の効果がどれだけみられるのか、同時に、そうした未知の段階(感染が検査で確定した段階でないため)での使用による「リスク」がどれだけあるのかは、分からないところだが、これは、医師の経験則に基づくものでもあるため、一概に否定はできないだろう。

記事は外国で書かれており、外国の場合、基本的に「多剤併用」は行われないことが多く、抗ウィルス剤と抗生物質が併用されるケースは多くないため、こうした内容になったと思われるが、日本でも、実際に患者がインフルエンザには抗生物質は効かない、と知っている人はあまり多くないのではないだろうか?

また同時に、こうした薬剤の使用が、ウィルスや細菌に対して、どのように働いているのかも、知っている一般の患者は少ないだろう。多くの人は、薬剤がウィルスや細菌を「殺してくれる」と考えることが多いようだが、実際には、一部を除いて薬剤の主な働きはウィルスや細菌の「増殖を防ぐ」ことで、体が持つ免疫力が、こうした外敵に対応しやすくなるようにする「お手伝い」に過ぎない。
エイズなど免疫不全の疾患を抱えている方が、最終的に一般細菌などの感染症で予後不良になることが多いのも、いくら薬剤で増殖を防いでも薬剤が全ての細菌やウィルスを消滅させてくれるわけではなく、細菌やウィルスに対応するために必要な免疫力がないことが致命的になる、といえるだろう。

このような「治療の勘違い」はインフルエンザだけに限ったことではない。
アトピー性皮膚炎の治療においても、同様のことがいえる。

長くなるので続きは明日にしたい。

                            
おまけ★★★★博士のつぶやき

「病気は病院でなおすもの」、という考えは多くの人が持っているように思う。
だが、正しくいうならば「病気を治すために病院で最良のお手伝いをしてもらう」ということで、結局のところほとんどの疾患は、自らの治癒力が働かない限り、「確実」に治すことはできないことを、忘れてはならんじゃろうの。