ジニ係数の縮小とアトピーの現状と・・・(1)

月一ブログを担当している西だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
先日、アトピー性皮膚炎とは全く関係ないのだが、日本において、ジニ係数(所得格差を現わす数値)が過去最大になったが、実際の所得格差自体は、どんどん縮小している、という記事が出ていた。
最大に格差が拡張しているのに、なぜ格差が縮小しているのかについては、記事を読んでいただくと分かるだろう。

                                  
●日本の格差はなぜ広がったのか/「ジニ係数」が過去最大に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131021-00000001-wordleaf-soci

                                 
厚生労働省の調査によれば、日本の所得格差が過去最高になっているそうです。一見、お金持ちがますますお金持ちになっているように見えますが、必ずしもそうではありません。
        
10月11日に発表された最新(2011年)の所得再分配調査の結果では、所得格差を示す「ジニ係数」が過去最大となりました。ジニ係数は数字が大きい方が所得格差が大きいことを示しています。しかしここでいうところの所得とは、年金や医療といった社会保障による所得再分配を行う前の数字です。
社会保障による所得再分配後のジニ係数はあまり変わっておらず、前々回(2005年)との比較ではむしろ低下しています。つまり、最終的な所得の格差は逆に縮小しており、日本はより平等になっているのです。
では所得再分配前の格差はなぜ拡大したのでしょうか? それは世帯収入が50万円未満という低所得者層の割合が大幅に増えたからです。前回の調査(2008年)では、世帯年収50万円未満の層の割合は23.2%でしたが、最新(2011年)の調査では24.9%に拡大しています。所得が少ない人が増えているのは事実なのですが、お金持ちの人がますますお金持ちになっているわけでもありません。世帯年収1000万円以上という高額所得の世帯数は逆に減っているのです。
お金持ちの人が減れば、所得格差は縮小するはずですが、それ以上に、年収50万円未満という世帯が増えたことで、全体としては格差が拡大する形となりました。総合的に考えれば、全体的に所得が下がり、まったく稼げないという人の割合が増加したことで、格差が拡大したというわけです。
          
全体の所得が下がった最大の原因は高齢者の増加です。日本が高齢化していくことはあらかじめ分かっていたことですから、本来であれば、より少ない労働人口で高い生産を実現するよう工夫しなければなりません。しかし日本は国際競争力の低下もあって、思うように生産性を向上させることができませんでした。このため所得のない高齢者が増加する影響をモロに受ける形で全体の所得が低下したわけです。
一方、社会保障による再分配後の所得格差は逆に縮小しています。それは不景気が続いていたことが大きく関係しています。実は歴史的に見ても不景気が続いているときほど、最終的な所得格差が小さくなるという現象が見られます。景気がよくなるとお金持ちの人がますますお金持ちになり、逆に所得の格差は拡大するのです。
日本でもっとも所得格差が縮小したのは、世界恐慌から太平洋戦争にかけてという最悪の時期でした。逆に所得格差が急激に拡大したのは、列島改造ブームからバブル景気にかけての好景気の時代なのです。ここ10年はデフレで不況が続いていましたから、再分配後の所得格差は縮小しより平等になっていました。アベノミクスがうまく機能して景気が回復すると、逆に所得の格差は拡大することになるかもしれません。
                    
                               
「ジニ係数が過去最大になった」というと、貧富の差が大きくなった、と感じることになると思うが、実際には年金や生活保護費など社会保障費を加えると、その差は世界恐慌太平洋戦争にかけて、世界全体が不況と混乱を招いていた時期に等しく小さくなっている、という内容だ。
これは、逆から考えると「実際の生活上においては平等になった」状況であっても、その根底にあるのが「国の補償」があってこそのものであり、仮に国の補償が受けられない状況に陥れば、所得の格差は、現在では過去最大の状況にある、ということを意味している。
つまり、私たちの生活を支える経済活動が著しく停滞していることを指し示しているといえるだろう。

今日、なぜこの話題を取り上げたのかと言うと、最近のアトピー性皮膚炎の方を取り巻く環境も「似たような状況」が見受けられるからだ。

最近のアトピー性皮膚炎の方たちの症状は、昨年から「落ち着いている状況」にあるように感じる。
これは「アトピー性皮膚炎が治った」わけではない。実際に、アトピー患者は増加の傾向が続いているのだが、一人あたりの「症状の重さ」が軽くなっている、という状況だ。
ジニ係数でいうと、「全体の収入が落ちてきている状況」に近いといえるだろう。

実際の生活において、収入の格差を縮めているのが社会補償費だとすると、アトピー性皮膚炎の方の症状を落ち着かせているのは「ステロイド剤」などの薬剤によるものだ。
以前と違い、今の医師は確かに「上手に薬を使う」ようになったと思う。
だが、ここで問題なのは、この状況がアトピー性皮膚炎という「病気」自体が落ち着いてきたと考えてしまうと、後々、問題を抱える可能性がある、ということだ。

所得格差が過去最大に大きくなっていることを社会保障費が覆い隠しているように、アトピー性皮膚炎の患者自体が増加=アトピー性皮膚炎の病気自体が悪化、の傾向にあっても、薬剤を上手に使用することで、アトピー性皮膚炎の症状(かゆみや炎症)は抑えている状況は、所得格差を縮めて平等な社会を作り上げている社会保障費が万一なくなれば、一気に貧富の差が急激な速度で拡大して社会が混乱するのと同様に、ステロイド剤やプロトピック軟膏で症状が抑えきれない状況になれば、患者数自体が増えた今の状況においては、大きな混乱が生じても不思議ではない。

何が言いたいのかと言うと、今の「落ち着いた状況」は、「症状が落ち着いている」だけで「病気そのものは増悪」傾向にあり、落ち着かせている「ステロイド剤」「プロトピック軟膏」という薬剤の支えが弱くなることが、危険視される状況にある、ということだ。

もちろん、薬剤が真の意味で「長期間(ヒトの生涯の範囲内で)」問題なく症状を抑え続けることが可能ならば良い。
だが実際には、長期使用が続けば続くほど、ステロイド剤、プロトピック軟膏ともにいくつもの問題が生じる可能性がある。

では、どのような問題が生じるのだろうか?
詳しくは明日、述べたいと思う。

      
おまけ★★★★博士のつぶやき

「一生使い続けることが可能」という説明を医師が行う時、その意味合いは「医師の考え」と「患者の考え」は必ずしも一致しないものじゃ。
患者は、「一生使い続けることが可能」という言葉の意味合いには、「一生使い続けても、生活していく上で支障は生じない」ことを「安全」と主に考えるのだが、医師は「一生使い続けても、命に重大な影響を生じない」ことを「安全」として説明しているケースがあることを忘れてはならんじゃろう。